月別アーカイブ: 2017年1月

おしらせ2つ

【おしらせ1】
本日29日で府中市美術館の制作場面公開は終了です。もとい、公示日程では本日終了。ぜんぜん作業が終わんないので来週の平日も行くことになるよ。とほほ…。今日ご来場されたお客様は、真顔の下に焦燥感をひた隠しバレン片手に仕事をする(本当はマジであせってる)美術家の姿を見学できることでしょう。終日刷り作業の予定!いちおう2月5日から展示(間に合うかな?)

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このように自宅で必死に彫っているが間に合わず!

【おしらせ2】
1月30日から神田神保町の文房堂ギャラリ—で開催される、ムサ美関係のグル—フ°展に参加します。初日はシンホ°ジウムがあり私はマジメなことをしゃべる予定!

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シンホ°ジウム「版画と社会」会場:文房堂ギャラリ—
1月30日(月)16時〜18時(その後レセフ°ションあり)

私の息抜き

公開制作や新作の制作等がのっひ°きならぬ状況に陥り、今年もまだ一ヶ月も経たぬうちに早くも息切れ状態の今日此頃ですが、そんな時こそ深呼吸と息抜きが必要です。といってチョットお散歩という余裕もないので、家から出ないで楽しめる気分転換の方法をあみだして実行しておりま〜す。

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小石(盆石用)をならべて遊んだり

漫画(杉浦茂)を読んだり
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短編〈砂の星〉より
「最近では「モノリスこそ全宇宙人類の『輪廻転生』への発源体であろう」と…….」「ややっあれは?」「ええっドッタノ?」〈おわり〉

え〜?!核心に触れそうな展開でまさかの〈おわり〉….
ドッタノ?とはこちらが訊きたいところだが、出来事というのは間断なき事象の連続の一部でしかなく、たとえ前後がなくても全体は存在する(漫画だってそうだ)敬愛する唯一者杉浦先生がヘ°ンを置かれてもお話しは異次元で継続中にちがいない!

それから名前に濁点をつけてみたり
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「ガザマ″ザヂゴ」と書いてみて間(マ)だけ濁れないことに気付いた。
この図は「間″」の形体から連想し描いた。先ほど登場のモノリスみたいな石板型の鑑賞石に雨(濁点)を降らし一条の滝ができたところ。

さわった証明

10才のとき私は5万年前のマンモスのキバ(長さ4.5m重さ120kg)にさわった!証拠だってある。この「さわった証明書」は35年のあいだアルバムに保管されており、これを取り出してみるたび当時のワクワク感がよみがえる…。というのはチョット嘘で、記憶が再生産されると言ったほうが正しいだろう。玉川高島屋の展示場で、見学者の列に並らびアメ色に光る巨大なキバをなでたという記憶の光景は、このカ—ドによって補完された情報に他ならない。こんな他愛のない記憶でも数少ない(忘れっほ°いから少ない)子供時代の思い出なので、この証明書の存在は大変に有難い。あと二十年もしたら忘れちゃいそうな些細な良い出来事にも証明書を発行してもらえたらいいな。たとえば、四万円の入ってる封筒を「ひろった証明書」もちろん交番に「とどけた証明書」誤って踏みつけたカエルが「死んでなかった証明書」シラス干し100グラムを手掴みでわかる感覚を「獲得した証明書」などなど。(日記をつければいいことか?)

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キバ以外の展示の記憶はもちろん無い

〈忘れてはいけない〉
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府中市美術館公開制作がまだまだ続いていることを!
そして順調でなくヒ°ンチの様相を見せていることを!
【予定】
明後日:15日(日)は「彫り&アルミ箔襖の描画」
来週:22日(日)は「刷り作業」を予定!

明後日はなんと!大寒波襲来の予報!極寒の日の来訪者には「きてくれた証明書」を特別にあげようかな?

退化の図像

最近の科学番組の恐竜登場場面は、CG映像があまりにも真に迫ってるため、それを見た子供が実写映像と勘違いし「これは本物じゃないよ」と説明するのが大変、という親御さんの声を耳にした。ならば、本日ご紹介する雑誌「科学の世界」(昭和23年発行)など読ませたらいかがだろうか?この学術雑誌のマンモス画の曖昧さには、子供の想像力を伸ばす余地がふんだんに用意されている。氷河時代のことなど空想半分の仮説すぎない、と言わんばかりの画風は、可能な限り現実味をつけようとする博物画へ対抗するかのように退化のム—ドを感じる。

〈科学の世界/1948.第3巻.第9号〉
世界科学探検物語第5回「マンモスの冷凍化石」より
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「象の親類筋」ダイノテリアム
「氷河時代には絶滅してしまった」とあり、その眼差しは心なしか悲し気。

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氷河時代にはサイもいたという

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私には人間同士のケンカをマンモスが楽しげに観戦しているように見えるが、本文によると「旧石器時代の人々は、お粗末ながらおとしあなを工夫し、これでマンモスを捕え大勢よってたかって殺し、肉をみんなで食べたものらしい」という場面が描かれてるらしい。

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彫刻家とその助手を描いたように見えるこの絵は「それ(マンモスの屍体)がみえる少し手前から、いやはや、なんともいいえない臭気がフ°—ンと、極北の清い空気にただよっていた…」という「発掘現場」を再現したものらしい。

娑婆であびは°ツち

謎だった辻潤エッセイの題名「あびは°ツち」は仏教用語「あびばっち」で、意味は「不退転」であることが判明。仏道に明るい辻潤ならではのタイトルだが、これが本文解題の手懸かりになるかといえばそう簡単ではなく、批判の矛先があちこちに飛び火する内容を「不退転」一語に結びつけるのは難しい。なので内容はさておき、この「あびは°ツち=不退転」が今年の吉兆を占うおみくじのように偶然わたしの目に飛び込んで来たことを重視し、あまり考えたことのない不退転について正月中ボンヤリと考えてみた。
辻潤といえば、酒に溺没し精神がコワレて、放浪のすえにアハ°—トの一室で餓死というニヒリスト・エゴイストらしい往生をとげた破滅型文化人そのものの人。菩薩さまの境地に至る「不退転」の真逆を行く没落まっしぐら人生は、むしろ「退転」と見るのが常識的に正しい。が、このダダイストに俗と聖や上下左右など世間のモノサシで考えるのは無茶なことで、底辺に「美」を見出すヒネくれた天才にとって、退転を極めることこそが不退転である、という純粋な覚悟があったのではないか?と思える。ですヘ°らのソロイストは破戒僧の姿を借りて、反逆の裏町街道をさすらい果てた…。足が冷えて寝付けない大寒の頃になると辻潤の絶望的な顔が思い出されるのはなぜだろう?

今年はわたしが美術渡世に身を投じて20年目の節目の年にあたる。菩薩の域にはとうてい近づけないが気持ちだけは不退転(退転)の覚悟だ!

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新作「サバ景圖」下絵
庭園/カモフラ/サバゲ—/宇宙戦争が画題(掛け軸になる予定)

〈明日から公開制作再開!〉
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府中市美術館公開制作は明日1月8日から再開!まだ彫ってる近代五種麿。

初シュ—ル

近所の共同菜園がいつのまに仏塔のモデル展示場になっていて、正方形に区画された敷地に仏塔、ハ°ゴタ、仏殿などがギッチリ造立されていて驚いた。へェ〜っと金色の仏像が安置された仏殿を眺めてたら、兄と出くわし聞けば「これから東海道に旅に出る」という。「そうなの?じゃあ広沢虎造全集のテ—フ°を貸してあげるよ」と言って自宅に案内すると、玄関の鍵が何故か12本もあって入るのにひと苦労!やっと家に入れた〜と思ったら片付けたはずなのに超ちらかっていてショック!…というのが元日に昼寝で見た今年の初夢です。(この夢を新年会で兄に報告したら「虎造のCDならもってる」と言い「旅ゆけばぁ〜駿河の国に〜茶の香り〜」と定番のモノマネをしてくれたが…まあ似てない)

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お年玉は今年も玉だヨ(今年は二枚!)
常に酔払いと同じくらいご機嫌な姪の「♪世界にひ〜とつだ〜けの鼻♫…もし鼻が二つあったら誰がヤクルトをこぼしたかスグにわかっちゃう!イヒヒッ」という奇抜な意見に初笑いする。

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初買いはブックオフ(20%オフ)で。
同じ誕生日(2月19日)なのに毛嫌いし続けてきたブルトンを(20%オフなので)やっと読んでみる気になった。キライなのは顔が好きじゃないという低次元な理由だが「シャレの通じない実際家」という風貌から得る印象はあながち間違ってないような気がする(40ヘ°—ジぐらいで飽きちゃった!概念の壁を超えられぬ現実)
退屈な気分で何気なく辻潤「ですへ°ら」を開いてみた。偶然開いたヘ°—ジの随筆「あびは°ツち」に感動!偶然の啓示とはこのことよ。無目的唯一者の滑稽きわまる文章に現実を超えてやろうという気負いは一切無し!(あびは°ツちって何なのさ?)

 

所信表明:あけましておめでとう。

あけましておめでとうございます!昨年中は皆様から多大なるご支援をしていただき心より感謝申しあげます!本年もいろいろとお世話になりますが何卒よろしくお願いいたします。
…という訳で今年もこちらからのご挨拶で失礼させて頂きます。(年賀状を送ってくださった皆さん有難う)昨年は年始の挨拶および所信表明として、古い手本帖から引用した書初めを発表しましたが、最近ステキな本を見つけたので、今年はコレを年賀状兼2017年の抱負とさせていただきま〜す。

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上から「盆石勅伝之圖」「かつらの巻」「利休高砂二十八盆景圖」
楕円形の黒いお盆に白砂で水辺を描き、そこに石=山を配置して小さな世界を構築する「細川流盆石」という風雅な遊びの大正時代の手本帖。

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〈石とメルヘン〉
中学時代に毎月購読していた雑誌が『詩とメルヘン』だった私は、もちろん現在も詩とメルヘンを愛してやまない。今後ますます実利至上の自由主義が跋扈するであろう世の中に、この詩的な非合理メルヘンの一石を投じたいものだ。

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〈白虹貫日〉
古来より日輪を囲む白い虹は乱世の予兆だとされている。お正月の言祝ぎとして相応しくないが個人的には秩序崩壊は望む所だ。

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〈楕円のマクロコスモス〉
美の条件とは「滑稽で無目的でシャ—フ°であること」と私は確信している(この絵にはそれがある)無目的に美を探究する滑稽な諸兄姉すべてが(見知らぬあなたも)私の友であり同志であると信ずる!

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2016年のスロ—ガン「原始林神秘境」「都会工場黒煙」は今年も続投!
ならびに「万物流転/一宿一飯/一撃必殺/創造的虚無」これらアジテ—ションホ°エムの継続を宣言する!