月別アーカイブ: 2018年2月

度胸千両入りで

本格的に彫りの作業に入り、今後1ヶ月あまり続く隠遁生活に備えて、昨日久しぶりに街で買い物しました。徒歩20分先にある隣町の大型スーパーでこれでもかというほど食料品を買い込むと、豆乳や赤ワインをパンパンに詰め込んだ背嚢は登山装備と同等の重量に達し、その肩ひもはグイッと双肩に食い込んだ。数歩あるきかけたところで「ヤバい失敗した…」と即刻後悔!私の帰る家は長〜い坂の上にある。普段こんな時は「人生劇場」など口ずさみ自分を鼓舞するのですが、もう息をして足を前に踏み出すだけで精一杯です。こんなことならお値段高めだけど近所で買い物すればよかったかも?(ミノちゃん印の麩菓子はここででしか売ってないからしょうがない)

【最新ピープル】
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お馴染みグーグルフォト選出の最新ピープルは村田英雄!
ムッチーのような男気あふれる九州男児は大歓迎だが、残念ながら彼はすでに鬼籍の人だ。(候補者に存命する人間はいない)

比較対象

予定より2日遅れてトレースが終わった〜!拡大コピーして不鮮明になった画像から、線を拾ったり修正したりしながら絵をなぞる作業は、緊張と退屈が連続する地獄ですが、今回は「風雲13号地」の倍サイズ、縦2.4m× 横6.4mなので地獄度もズバリ倍!(労働奉仕団の学徒隊列とブルマ少女団の人文字の版では、動員人数過多すぎて職場放棄の危機が…)そして恐ろしいことにコレを彫る作業が次に待っている。だがしかし私は、無人島P社長からもらった魔法の言葉『大したことない』を復唱し、6mなんて大きさは現生ホホジロザメの体長と同等サイズで、メガロドンと比較したらたったの三分の一に過ぎない。と古代鮫の巨大さと作品サイズを比較することで「なんて小さい作品を作ってるのだろう!」と頭の中で事実を矮小化しまーす。頑張れ!かざまランド!

【メガロドンは18m】
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この黒光りする物体は巨大古代鮫メガロドンの歯の化石(の半分)
鮫は軟骨なので歯のみ化石で残る。なので体長は歯の大きさから推測されたものだという(単に歯が異常にでっかい普通の鮫だったりして…)

【トレース終了〜】
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石化した女が悲劇的なディスリンピアの右端部分

そのとき私は3000グラムだった

太陽系で一番高いという火星のオリンポス山の標高は21.9Km。そして過日2月19日は私の誕生日でした。46年前のこの日、3000グラムちょうどの大きさで産まれたと母から聞かされています。この不自然でキリのいい新生児の目方3Kg は、母が覚えやすいように端数を切った数字に違いありません。
お相撲さんなら出生時にジャンボベビーであれば「やっぱり」普通の場合は「意外!」という楽しい話題になりますが、中年美術家が何グラムで産まれたか?このつまらない質問をする人は今後も皆無であろうと思うので、(3000ジャストの真偽のほどは定かでないまま)あえて公表してみました。

(トレース19版目)
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コリント式円柱(を模した杭打機)の柱頭の装飾は、理想の父母間から出生したてのプーチン似の健康優良赤ちゃん。優生思想を広告するこの天使たちもまた、ディスリンピック開幕式典を高所から見守っている。

冬のオリンピア

おもいつきで事を始めて、後になってその無計画と無謀さに苦しめられる。といういつもの行動パターンで今現在も遭難しかけてま〜す。楽勝と過小評価して登り始めた山は、高尾山でも六甲山でもなく気がつけば(火星の)オリンポス山だった!…そんな幻覚に襲われる日々のなか、冬季オリンピックをTV観戦して折れそうな心を奮いたたせてます。
昨日はカーリング男子を観戦。的であるハウスに石を集めず、なぜ手前に散らかったように置いてそのまま終わる時があるのか?また、ハウスに誰もいなくなりご破算で終了する理由は?解説で言う「見えない石」とは?など数々の疑問がわき、見えない石を想像してみたりと、これは良い現実逃避となりました。(石を厚く当てるというのも変だ)

(トレース13版目)
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これは版木と拡大下絵の間にカーボン紙をはさみ、描線をボールペンでなぞって転写してるところ。一枚60.6×91.5センチの版木を28版使用。過酷すぎる…一日3版のノルマは(勿論)こなせてない!

明るくて重い!

昨年の夏。横トリ開催中に横浜美術館会場で行った中高生への作品レクチャーでは、私の話が長いのと、絵柄が白黒でどぎつく、さらに内容が重いことが要因となり、いたいけな生徒2名を卒倒させてしまう、という事態が起きてしまった。昨日、その当日の報告写真が送られてきて、そこには私の印象が「明るく重い人だった」とズバリ大書きされていた(まさにそのとおり!)この明るくて重い私は来週(19日)また一つ歳を重ねる。ますます人生は重たく、己の迷妄ゆえにタガの外れた(一見すると明るい)人物像となるだろう。それもまた良し!

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「こんな人間でも生きていける」という見本

ホヨトホー!ハイアハー!

下絵の作業がやっと終わった〜。地下生活者のように在宅中心の生活を余儀なくされた私は、三度の飯は食べなくても、一日三度、ワーグナーのヴァルキューレ(ハイライト集)を欠かさず聴くのを日課とし、ロマン主義の茫洋たる黒雲に駆けてゆく天馬の群れを想い、自分の怠け心に鞭を打った!
ちゃんと怠けず黙々と仕事したのにナゼか大遅延…遅れに遅れた下絵を28分割し、渋谷のコピー店に持ち込み、435%拡大コピーを指示して本日仕上がる予定。この拡大下絵を版木にトレースし、彫って刷るのを残り2ヶ月ちょっとでこなすのは通常では無理。だけどやるしかない!

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(薄暗くて見えないけど)すり鉢状のスタジアム(地獄)中央にトレーニングセンター(煉獄山)が鎮座する。天上界からは不気味な手が…。(細部は後程)

朝用・昼用・夜用

かなり昔から化粧クリームに朝用・昼用・夜用が存在していたことを、昭和十五年刊行『學べ!独逸國民生活』本文の記述で確認された。これによると…ドイツ女性は美人ではないが、化粧を施さなくとも素晴らしい健康美を誇っている。それにひきかえ「白粉のない顔を見るのに苦しまなければならない日本では、朝のクリーム、昼のクリーム、夜のクリーム、練白粉、粉末、粉末も一色ではいけないとあって、白と黄、赤いのに茶褐、それに香水、香油、ポマード等が鏡台にヅラリと陳列されている。」とある。日本人が贅沢すぎることを批判するために、著者の思いつくまま化粧品を文章上にヅラリと並べてみたようだ。
いかにドイツ国民が質素倹約に努め(ケチくさく)堅実かを、まさか!?と思うほど誇張し賞賛しまくるこの爆笑古書には紹介したいエピソード満載!でも今日は割愛!「贅沢は国を亡す」と日本国民に警鐘を鳴らしクリームを全否定した著者だが、従姉妹がくれた夜用クリームを朝昼夜使いまわしている件ぐらいは見逃してくれるハズだ。

【キミから学ぶことはない】
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半ズボンで元気いっぱい!健康の秘訣はやっぱり菜食主義?(平和の王国かざまランドに肉食文化は無い!)

ブレの命日

昨日2月4日はフランス革命期の建築家、エティエンヌ.ルイ.ブレの命日でした。摩訶不思議な完成予想図で有名な「幻視の建築家」御三家・ブレ、ルドゥ、ルクーの中でも、ひときわスケールが大きく静謐な雰囲気のあるブレの建築(の絵)が好きです。暗い色調で厳格に描かれた建物を見てると、巨大な空間に自分が一人ポツンと佇み、遠い天井を仰いでるような気分になれます。
ブレの「ニュートン記念堂」の冷徹な眼差しが、昨年秋からディスリンピック制作を監視し続けていますが、遅々としてはかどらない様子に呆れかえっている。…私にはそのような顔に見えます。

【見張り番】
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座席から向かって正面のフスマに貼られたニュートン記念堂コピーには「絵がゴチャゴチャに煩くなる失敗を繰り返してはいけない」という自戒の念が込められている。が、しかしその絵の確認ができぬほど机上がゴチャゴチャだ!

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薄眼を開けて諦観しているようにも見える虚ろな表情…
(登山家は山に登らずに山を想像すれば良い)建築家はこのように美しい完成予想図を描いてくれるだけで私は満足だ。

コーヒー無罪

慢性的な胸苦しさの原因はコーヒーの飲み過ぎによるカフェイン中毒か?という私の憶測は見事にハズレた。というのも、コーヒー1日一杯のみと決めて2ヶ月経過し、調子がよかったのは最初だけで、その後は胸の上に置かれた漬物石の重さは増すばかりで、この荷重から解放される日など一日もない。それもこれも大遅延のディスリンピア競技場建設の所為で、その責任の所在はすべて私にあることは言うまでもない。
自分を救済できるのは自分自身しかいない。とゲーテは言い、解放とは自身の気持ちのありようだ。とシュティルナーは言った。ドイツの先達が残した箴言に従い(自分を甘やかし)コーヒーを飲んで自己の救済と解放に取り組もう!

【コーヒー解禁】
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「やったー」歓喜に沸くコーヒーの妖精