月別アーカイブ: 2018年3月

告知(顔と抽象展)

「すべての葉っぱの裏に暗示が潜んでいる」黒々と執拗に描かれた樹木になんともいえない胸騒ぎを覚えたのは、渋谷区松濤美術館で河野通勢の風景画をみたときのことで、たぶんそれは10年も前の話になる。3日前その河野通勢の油絵の隣にわたしの木版画が展示してある、という報告が写真付きで突然届き、あの北方ルネサンス風フロム長野・ペトル河野通勢先生の横に飾られたこともさることながら、全く知らないうちに展覧会に参加していることにとても驚いた!

(左:河野通勢 中:田中角栄 右:有島生馬)
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 高橋コレクション 顔と抽象———清春コレクションとともに展
 山梨県 清春芸術村にて 3月18日– 5月6日

卒業式

この写真は24年前、(大学ではない)武蔵美術学園 版画科卒業式その当日の写真で、写っているの校内風景と懐かしい学友ではなく、宣伝活動のため米国より来日し、渋谷ウェーブに現れた目玉3名ドクロ1名の四人組音楽グループ「ザ.レジデンツ」です。
現代社会における通過儀礼のほとんどを軽んじて来た私は、成人式はもとより卒業式まで欠席し、共に学業に励んだ学友との別れを惜しむ大切な時間を、このような得体の知れない青春の偶像に捧げてしまった!結果ゆうまでもなく、薄情な私に学生時代のお友達は非常に少ない。

(卒業式当日)
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新作「ジンジャーブレットマン」の宣伝トークショー
異形の彼等は終始一語も発することはなかった。代わりに左端のメガネの男性がひとしきり告知をして「トーク」は終了した…一体これは何の会だったのか?そして彼等は本物レジデンツなのか?その確たる証拠も無いのだ。

エコエコアザラク

先程ニュースで、恐怖漫画の第一人者である古賀新一先生がお亡くなりになったとの訃報を知る。享年81歳。先生の代表作『エコエコアザラク』は、むかしゴミ集積所で12冊拾って、20数年たった今も漫画用書棚に並んでいる。しかし、拾った当初から「なんで捨てたんだろう?」という薄気味悪さから、読むと呪われるような気がして、これらをちゃんと通読した記憶はない。先生の訃報をきっかけに、さっき試しに一巻だけ目を通して見たがすっごく怖くて残酷なので、こういう漫画は気持ちと時間にゆとりがある時に読むべきだと断念した。

(第1巻より)
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古代エジプトの黒魔術を用いて、
クラスメイト達に嫌がらせを仕掛けたこの学生(茨木くん)は、強力な呪力のはね返りを受けて、このような姿勢で何時間も鉄棒にぶら下がっているという。コワい!

闇スナック

闇スナックとはどのような酒場か?推測するにおそらく、昨年夏に岡本太郎美術館主催の漫画道場で描いたこの漫画のような、人目を忍んで裏町に棲息する、ちょっと変わった半人半獣の女のコ達が接客をしてくれる、スネに傷持つ淋しい宿命の男女が集う夜のオアシスではなかろうか。そして離島またはどこか地方都市の繁華街の片隅で、今夜もひっそりと灯をともしているに違いない。

「くちマスク」登場!
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この色っぽい女のコたちは、下半身が馬と蛇でホステスさんとして最高の人材。(私はマスクに口の描かれた右の人物が大変に気に入った)

「くちマスク」再登場!
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ディスリンピア競技場「生コン沼」
ここは除外された落伍者の魂が、生コンクリートとともに基礎工事の人柱として埋設される地獄。
彼等の顔は「丙・丁・戌」の漢字で構成されており、一目で選別対象だということがわかる。一番奥の傷だらけの人物が再登場した「くちマスク」で、この顔は「戌」すなわち傷痍者だ。

御神火ぐらし

私の愛唱歌のひとつ『波浮の港』は、伊豆大島の不便さとそこに暮らす島娘の健気さを、野口雨情が他所様目線で描写したロマンチック叙情歌です。この歌の中で「島で暮らすにゃ乏しゅうてならぬ」と嘆かれてる離島の辺鄙さも、時には良いなと思わせる『八丈島で闇スナック摘発、経営者の女2名をヘリコプターにて本土警察に移送』との報道が昨日ありました。闇スナック(?)という耳馴染みのない形態の飲み屋を無許可で開店してヘリコプターで空中散歩(東京に連行)楽しそう〜!しかしこれで八丈島から飲食店の灯がひとつ消えた…。(吉祥寺の美術学校ちかくにあった闇太郎って飲み屋、今でもあるかな?)

【波浮=ハブ(毒蛇)だと思ってた】
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ダイナミックな火山活動により生成された「元爆裂火口」を利用して波浮港が建設されたという歴史がわかった。だがこの「火の国」と題された絵を学生時代に描いた理由は今もわからない。

黒サポーター

長年エゴイスト連合に籍を置く私にとってスポーツ観戦は、自分の心に人間らしい感情がまだ(少しは)あることを認識させてくれる希少な機会です。先日閉会した冬季オリンピックでは、超人的選手たちが目眩く高次元なドラマを繰り広げ感動の連続でした。(終わってツマラナイ)
スポーツはいつも人間臭い物語を提供してくれる。例えば…妹のように寵愛してたドジっ子ひろみの天賦の才に気づき葛藤するお蝶夫人や、家族からの冷遇に屈せず、野球と男気で見返した岩鬼。歪んだ愛情から息子・飛雄馬に「野球ロボット」オズマという刺客をおくる一徹のお話など、濃密で(面白い)愛憎劇は競技スポーツの背景無くして語れませんね!漫画だけど。
(私は過去にオズマ、マー君と顔が似てるといわれた。似てるかな??)

(シコ名は黒左保°田で)
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「スポーツ・力仕事」のどちらでもない板木を彫る作業でヒジに負担が!
お相撲さんなら「白いもの」と歪曲表現されるサポーターも黒なら「黒いもの」だ

(娘たちは北に帰った)
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我がハウス、玄関ストーンの配置は今日も盤石の布陣で〜す。

万人の石

先日、素晴らしい光景を目にしました。なんと!再会をあきらめていた旧居の庭石たちが新しいお家に飾られていたのです!庭ではなく敷地を縁取る植え込みに彼等は居ました。しかも、私がトーチカに擬して鑑賞してた当時の姿そのままに…思わずウルっと感涙。♪庭石かわいや別れのつらさ/せめて又逢うそれまでは/おなじ姿で (ララ)いてたも〜れ ♪ とカチューシャの唄(庭石バージョン)がとびだすほどの歓喜が込み上げてきます。
彼等は道ゆくすべての皆様に、潤いと安らぎを提供する「万人の石」として立派に戻ってきた!建設中、現場から撤去されたとき、一時の気の迷いでも「貰っちゃえばよかったなぁ」など我が物にしたいという所有欲に駆られた自分の卑しさが恥ずかしい…。
あの日、赤い「残す」シールに見た再生の予感と光明は本物でした。

おかえりなさい
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おお!懐かしいその姿!かわいい!

そして不正解のまま…
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(不正解の答案用紙をカンニングしたかのように)石灯籠は誤った積み方で再建された。おそらく私がトーチカ石に改造したことを知らず、家主さんはそれを正解と勘違いし再現したのであろう。

三年前の旧居庭園
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かつてこの元石灯籠は、作為を感じさせない野趣あふれる格好いい石灯籠だったが、その自然に溶け込んだ姿が災いして(存在を忘れ)私の不注意で倒壊させてしまった。

トーチカ風にしてみたの
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各パーツ、特に笠の石が非常に重く自力での再建不可能(仕方なく)陣地の防御を担う監視哨に見立て楽しませてもらった。そしてこれからも楽しませてもらえる!