月別アーカイブ: 2018年9月

暗中模索

画集掲載用の漫画原稿を詳しい描き方もわからぬまま手探りで(やっと6p)描きました。「次回作は漫画ディスリンピックで〜す」と丸木美術館展覧会のオープニングトークでもハッキリと公言してしまい、この発言は米国の有名美術誌『Artforum』にも記載されて、私の漫画宣言は公約とまでいかないが世界の皆様との約束となってしまった!
どんな内容か?読者の皆様に特別先行お知らせすると…〈これは体育の祭典『ディスリンピック2680』の開催を控えたとある大都市での物語。優生学の権威・永井幽源博士に見出され育成された、最も優れた遺伝子をもつ美しい男子体操選手・日出鶴丸と、先天性障害を理由に、断種手術を施された地下アイドルグループ〈永遠ニ乙女団〉のセンターを務める美少女・月光。この正反対の宿命を背負った少年少女が出会い、そして彼らに今後どんな展開が待っているのだろうか…?乞うご期待!〉…以上が漫画の梗概です。
このファンタジー漫画の目指すところは、19世紀フランスの作家・ヴィリエ・ド・リラダン伯爵の小説に描かれた「耽美と変態趣味に隠匿された批評性」の漫画化です。と説明するほどに「?」ですが、これの断片である漫画原稿はさらに謎作品になりました…。

〈月光参上〉
A(月光)のコピー
頭上に飛来する夜間戦闘機『月光』はいうまでもなくこの少女の名前の由来である。
B29を下方から狙い撃ちする斜銃は、ドイツ軍では「ジャズ銃」と洒落た名で呼ばれている。先端に搭載されたレーダーが蛾の触角みたいで大変好ましい。

DAM

8月最後の「朝日:俳壇歌壇」挿画のタイトルは〈DAM〉。正確にいえばダム施設上流に造られた貯水湖がこの絵の画題です。コップの底に沈んだ山間の集落…この空想絵画は学生時代から何度か制作しており、たぶん今回で4度目のような気がします。
コップ内で水道水に浸された村は、説明するまでもなくダム造成時に犠牲となった村の残像で、取り壊されることもなく水棺に納められた故郷の亡霊です。画学生のとき小冊子『岩波写真文庫・電力』誌面で見た〈湖底に沈む村〉を追った記事のたまらない哀切の情景に、若い感傷が刺激されこのような寂しい絵を描いたのでした。
(あれから二十余年経ち)この度また、お気に入りの人造湖を描いたわけですが、実は約20年前にも同じく朝日新聞の挿絵を依頼され、これと同じ絵の木版画を掲載したことを俳壇歌壇原稿を提出後に気がついた!なんたる失敗!…しかし本人が忘れたぐらいだから、新聞購読者もおそらく忘れているに違いない…そう思うことにしました。

〈静物クイズ:答はコップでした〉
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明日日曜日(9/2)朝刊からは、9月の新シリーズ『シューベルト歌曲集』が始まりまーす。
第一弾はどの曲かな?(ヒント:小夜啼鳥)