月別アーカイブ: 2023年3月

ゼニを洗え!

わんこ90杯を胃袋に納めたのち「苦しい苦しい…」と喘ぎながら我々は銭洗弁天を目指して長い坂を登る。

ここ鎌倉〈銭洗弁財天〉は小学生のときに遠足で訪れたことがあり、薄暗い銭洗い場で硬貨を数枚流失してしまったという悲しい思い出がある場所だ。親からもらった大切なお小遣いを、金運UPの欲にかられて逆に失ってしまったことを恥ずかしく思い、このイソップ寓話的な失敗談は遠足から戻ってから今も親に話せずじまいである。(今回は流失させず銭洗いを完遂するのだ!)

IMG_6565-1
「増えますよ〜に、大きくな〜れ」
小銭を洗う中年たちの声が銭洗洞窟内に響く…

IMG_6562
岩窟に掲示された訓戒
「清められたお金は有意義にお使いください」
(はい了解です) 洗った銭は知人の店でチーズとワインに交換され有意義かつ優雅に使用。
どちらかというとお酒はザルだし銭はアブク

誉のワラ人形

わんこそば80杯オーバー達成し見事勝者となった我々に授けられた記念品は何かというと、可愛い馬のワラ人形だった。店員さんの説明では盛岡に古くから伝わる縁結びのお守りだそうで、我々全員が独身中年なので大変有難い呪術人形を頂戴した。(わんこチャレンジに勝利して孤独死回避だ)

ワラ人形を大切に持ち帰ったその晩に見た夢は…
「夏休みの宿題やってないけど登校する!」と決心したのに新学期の朝に大寝坊し「どうして起こしてくれなかった」と母を責めて号泣する夢と、美術館で外国人キュレーターから「アナタ、私のお気に入りの作家の悪口を言ったでしょう!」と身に覚えのない詰問をされ困惑し「ええ!? そんなぁ〜料理も作品もお上手な人ですよね」と不本意なおべんちゃらでごまかす悪夢の2本立て。
精神をキリキリと絞り上げる不快な夢の要因は、無論ワラ人形ではなく、私の胃袋が今まで経験したことのない90杯わんこの過重のせいだと言える。

〈名誉の記帳〉
IMG_6557
3/25 風間幸子 東京(在住) 51(歳) 芸術家 90(杯)
おいしかったでーす♡(感想)

〈賞〉大量に食べてもらおう忍び駒
IMG_6574
縁起良き郷土玩具(ワラ人形)をありがとう!
みんなも横浜市白楽〈たち花〉でわんこチャレンジ!(私はもうやらないが)

わんこの戦い

昨日の昼下がり、横浜市白楽にある〈わんこそば たち花〉で食べ放題にチャレンジ。お椀の中にちょろっと入った麺を客が食べ終わると、横に立った給仕係が「はいどんどん」の掛け声とともにすかさずどんどん麺を追加していく、あの〈わんこそば〉だよ。

わんこ未体験の中年女3人で挑戦した結果は、たったの30分間で私とMちゃんが90杯、Rさん100杯で、女性は50杯程度が普通とのことなのでなかなかの好成績。80杯以上(男は100杯)食べると記録ノートに記入できて、記念品(何だろう?)がもらえる特典を前に負けられない戦いがそこにはあった!そして勝負の後には激しい満腹感との戦いがあった(朝昼抜いて空腹で臨んだのに腹の皮がはちきれそう!!)

18個のオハジキ=90杯と記録ノート
IMG_6569

食前に冷酒を飲んでから…と思ったのに、その猶予すら与えられず、蕎麦入り椀15個を乗せたお盆を持った給仕係のお姉さんの指導のもとわんこスタート!
5杯が1単位で、このお盆の椀が空になると我々3人が各自5杯食べたことになる。そして5杯完食ごとにオハジキ1個を卓上に並べるのがこのお店のルールだ。

私は90杯でギブアップ(椀の蓋を閉めて友人を応援)
IMG_6555
ミニ天ぷらや卵焼きは「いつでも食べていいですよ」と言うのだが、おかずに手をつけた誰かが遅れると「3人のテンポが狂うと杯数が乱れる」と助言され、乱れた場合のカウントは自己責任になると忠告される。蕎麦を補充しにお姉さんが厨房カウンターに行って戻る一瞬が薬味投入のチャンスだ!このスピード感あふれる給仕をしながら「これは早食いではない」とも言う…

初わんこは蕎麦もスリルも味わえて大変面白かった(帰りの電車内で数々の攻防を思い出し、泣くほど笑った)

オンバサラヒドラ

知人の結婚パーティーに出席する夢を見た。祝いの席上にはチョコ充填不足のパイの実とおっとっとモドキしかなく、他に料理や酒が給仕される気配はなかった。壁にはビデオが投影され、まるでインドの苦行祭のように顔面に無数のシャーペン芯を突き刺した得意満面の男児は子供時代の新郎だという。私はとても居た堪れない気持ちになり、こっそり地下道を使って外に出ることにした。

暗く狭い通路のあちこちには路上生活者が寝ており、彼らを慎重に避けながら直進すると行止りに打ち当たった。焦って数メートル戻ると横道があり、そこからさらに下ると地下茎に囲まれた真っ暗な地底ホールに出た。巨大暗黒空間は無音で恐ろしく「早く脱出せねば!」と思った瞬間、何者かに足を捕まれ身動きが取れなくなってしまった!
パニックに陥りながら「オンバサラヒドラ、オンバサラヒドラ…」と呪文を唱えると次第に歩けるようになり、這う這うの体で地上に脱出することができたのだった。

(目覚めてすぐに「オンバサラヒドラ」を調べてみたが、そのような真言はなかった。)

IMG_1827

風姿花伝

このまえ下北沢のカラオケBOXにて知人と知らない人の団体11名で歌って夜を明かした。(始発で帰宅してから自分の歌唱を◎◯△×で自己採点)

◎南国土佐を後にして/祇園小唄/網走番外地/南部牛追唄
◯ 砂の船/時をかける少女/赤いスイトピー/命預けます/かえり船
△ 恋は桃色/彼女によろしく/石狩挽歌/みだれ髪
× 黒のクレール/万事快調/ガンダーラ

世阿弥『風姿花伝』によると、時世の雰囲気にあった演目を選ぶことが舞台を成功させる秘訣なのだいう。世阿弥アドバイスに従うとカラオケでは皆さんが楽しめる楽曲を優先するのが正しいが、今後も私はたいていの人は好きじゃない演歌及び民謡を歌い、こうした場を大いに盛り下げるだろう。

〈黒のクレール学園〉
IMG_6421
どこかの学校内をボディコンワンピース姿の女が一人でぶらぶらしてるだけのカラオケ映像。甘く儚い砂浜の光景を描いた歌には、学校の教室も黒板も同窓会も登場しないはずだ。
『黒のクレール』は中学時代の愛聴カセット.大貫妙子[クリシェ]の中の一曲で、38年経っても大貫妙子の繊細な声質が再現できず歌唱上達の見込はない。

続・偶像崇拝

みんな大好き私も大好き『ちいかわ』は言わずと知れたナガノ先生の傑作漫画で、ぬいぐるみ等の人気グッズは入手困難。なので私は比較的入手しやすい特別仕様チャリメラをスーパーで買って、即席麺の袋に描かれた躍動するちいかわ達を眺めて充足している。
〈ホタテだしねり込み麺〉の表示に垂涎禁じ得ないが開けるのが勿体ないので、このまま暫し鑑賞するとしよう。(単行本全5巻を買おうか買うまいか本気で迷っている/ 買ったら本が増えちゃう!)

IMG_6522
早生まれ(2~3月生まれ)っぽいちいかわと遅生まれ(4~5月生まれ)っぽいハチワレ、そして泰然自若としたウサギは仲の良い友達。
一見平和だが実は巨大異形化のトリガーが潜む不穏な世界に住み、労働と防衛に勤しむ健気で(小さくて)かわいい彼らに幸あれ!! ちなみに私の好きな登場生物は元モブの古本屋(カニ)ちゃんだヨ

偶像崇拝

聖母マリアはイエスを懐胎したときに原罪が消され無原罪となり、不老不死の高次的存在へと昇格したので、時空を超え世界各地を神出鬼没に出現可能になったという。

私の地元には仏教寺院は無く、なぜだか色々な宗派のキリスト教会が4つもある。その一つにグアダルーペの聖母出現を崇めるメキシコ伝来の教会があり、この教会は私のお気に入りの遊び場だった。信者でもないのにどうして頻繁に出入りしていたかというと、修道女さんたちが寛大で優しく、X’マスにはメキシコ人修道女が作った珍しい特大クッキーやすごく甘いお茶を与えてくれたりと子供の天国で、何より礼拝堂に祀られた生々しいキリスト磔刑像を見るのが楽しみだったからだ。(彩色彫刻の聖人達は写実的なのに人間より一回り小さくてちょっと怖い)

(壁画ならメキシコだ)
IMG_6512
本家メキシコ・グアダルーペの聖母像をそのまま模写した礼拝堂外壁。
或る男がメキシコシティ郊外の丘で聖母と思しき人物から「聖堂を建てなさい」と突如言われ、マント裏にこの絵が浮かび上がった!!という奇跡の縁起物語があるらしい。(もしかして世田谷区にもマリア様の司令が?)

なんちゃら聖母幼稚園

隣町のスーパーに行く途中「ねえねえ聖母幼稚園って知ってる?なんちゃら聖母幼稚園…」「え〜日体幼稚園なら知ってるけど」と会話しながら歩く小学2年生ぐらいの男児2名とすれ違った。
「聖母幼稚園!知っているとも。なぜなら私はそこの卒園生だ。なんちゃらの答えは世田谷で、設立当初の名前は無原罪聖母幼稚園というのだよ。」と教えてあげたい気持ちになったが、ここで知らない子供に話しかけると明らかに不審者なのでやめた。

私は当時導入されたばかりのモンテッソーリ式教育の実験クラスで〈幼児の創作意欲を邪魔しない、幼児の意思を尊重する〉という方針の元、ひらすら粘土遊びに耽り大人に叱られることなくのびのび学習。おかげで自己肯定感が強固な好きなことしか集中できない(社会不適合)人間になれた!ありがとう無原罪の幼稚園。(秩序ある体育教育に特化した日体大経営の幼稚園に入園してたら真逆の性質になったかというと、それは怪しい。)

IMG_6501
無原罪ってな〜に?

特別な領収書

今日は3月15日。みんな確定申告は無事に終わったかな?私は領収書の整理と簡単な計算だけして、あとは実家の老父にお任せしてとっくに申告を済ませたよ。

大量のレシートの山の中には新幹線や飲食店など愉快な行楽にまつわるものもあり、ファイルに貼る作業をしながら「あんなことこんなことあったなぁ」と思い出す。この水色の〈秩父珍石館〉拝観料領収書もその一枚で、愛らしい人面石のハンコが捺されており何とも味わい深い。私はこれを事務的に支出ファイルに貼るのはやめて(400円計上チャンスは諦めて)、代わりにコレクションボックスに保存することにした。

IMG_6465
ニコニコかわいい人面石ハンコ

IMG_2935
ハンコのモデルである珍石館第1号人面石
知人から「不気味だからいらない」と創立者の翁に譲渡されてから、この石が招き寄せたかのように続続と河原で人面石たちが見つかったという!! 霊妙不可思議な珍石館縁起だ。

IMG_2917
ナガノ先生の漫画『もぐらコロッケ』みたいなかわいい石にまた会いた〜い♡

藤井書店

先週金曜日に用事があり吉祥寺へ行った。吉祥寺は母校の(今はもう無い)武蔵野美術学園があった街で、本科~研究科と5年間も通った思い出のある街だ。

間違えて早く着いてしまったので商店街をブラブラしてると、サンロードを抜けた五日市街道にある古本屋〈藤井書店〉が昔と変わらず営業しているではないか!懐かしい〜(勝手に廃業したと思っててすみませんでした)。ここは当時私が一番好きだったお店で、1階は美術関係と学術書、階段書棚には映画/演劇/音楽の本。2階に上ると古い小説と詩集があり、そして大小様々な大量のコケシを背後に従えた老店主がいつも静かに鎮座していた。
このお爺さんと喋ったのは1~2回しかなく、はっきり覚えているのは
高校時代から欲しかった萩原朔太郎詩集『月に吠える』の復刻版を2階で発見し購入したときのことで、感激して思わず「やっと手に入って嬉しいです」とお話しすると「そうですか」と言葉すくなに答え、詩集を包装紙で丁寧にくるんで輪ゴムでパチンと留めてくださった。本当に嬉しかったな〜

30年も前だから既に御存命ではないはずなのに陳列の傾向は全く変わらず、あたかもタイムスリップしたかのような錯覚に…。微細に売りつつ同じような細胞=古書を仕入れて代謝してるのか?(古本屋さんの不思議)

〈藤井書店購入〉
IMG_6427
19歳の頃に藤井さんで買った3冊
萩原朔太郎『月に吠える』復刻版、萩原恭次郎『死刑宣告』復刻版、稲垣足穂『人間人形時代』
同じ苗字だから朔太郎と親類かと勘違いして購入した詩集『死刑宣告』の衝撃!すごく影響を受けた。
怒涛の変態博識タペストリー『人間人形時代』は読者の理解を置き去りに稼働する高速機織り機のようで、なんだかよくわからん本だ(未だに)。

IMG_6429
そしてこれは先日購入した本『そばちょこ』¥200
物欲から解放されるために大量の猪口写真を見て充足しよう!私は鴨(長明)になりたい…