幼児は保護者と(私は一人で) タイヤに乗ったり下りたり一頻り遊び、この奇観の公園を立ち去る。母親がちっちゃい子供に「ゴジラさんにまた会いに来ようね」とお話してるのを聞き「あの恐竜はゴジラだったのか?いやちがう」など自問しつつ20分ほど歩くと、六郷用水暗渠の上に整備された緑化公園にたどり着いた。その先に見えるのが赤いレンガ造の排水機場と〈六郷水門〉だ。
わ〜いと喜び勇んで近づきたいが強いヘドロ臭にたじろぐ。用水路跡の入江は釣船の船溜りになっていて、岸辺のあずまやには老人たちが公営賭博の話などしてたむろっており、臭いさえ無ければなかなか良い風情だ。とはいえ堤防の向こう側は爽やかな多摩川河川敷なのに、どうしてわざわざ(臭い)この場所に集うのか?(まあいいや) 私が長年見たかった水門はなんと重厚で美しいことか!!
ぼってりとした重量感と、伸びる垂直線・下りる曲線の軽やかさ!(こんな石があったら欲しい)
アウトドアー装備の中年カップルと「こんにちは」の登山流挨拶を交わし3人で並んで澱んだ川面を見る。
そこには無数の小魚がウジャウジャ蠢いており、水中で忙しなく押し合ってピョンと弾かれた銀色の幼魚が光る。見知らぬ男性は「たぶんボラだな」と連合いに言うが、女性は無言だ。私は声には出さず心の中で「ボラだと思います」とお返事をした。