2月20日付毎日新聞夕刊に掲載された赤瀬川原平写真展を紹介する記事には、私が「拾わないとどうにかなっちゃう」性格だと書かれている。どうにかなっちゃうとは穏やかでないが、これは物を拾い損ねたあと何年も継続する〈心残り〉のことで、自分自身は未練に苛まれ狂おしいが、他に危害を及ぼすような性質のものではない(だから安心してください)。
路上で見つけたマーガリンや煎餅の空缶、電車内で発見したゲーセンのコインなど、極めてつまらない品々の幻影が時折脳裏に浮かんでは、その場で理性を働かせた自分を恨めしく思うのだ。
これは写真展会場に掲示された私の解説文に登場する〈二十歳のときに拾ったマジョリカタイル〉
お風呂屋さんの解体現場に侵入し発掘したお宝です。たぶん大正時代のもので、非現実的な桃色の川岸にゆったりと流れる水色の川がなんとも美しい光景。拾ってよかった!(でかしたぞ過去の私)