問うて曰く/答えて曰く

奇書『視実等象儀詳説』は「△問うて曰く」と「△答えて曰く」の 問答が50回も繰返されるQ&A方式の本です。大多数の人から質問されそうな厳しい問いを佐田介石自身が想定し、それに対し仏教天文学の理屈を並べ立てて解説してゆく。このいわば自問自答の自己完結な攻防戦を私達はどう読めばよいのか?

西洋天文学の説(地動、ドーム型の天空、球形の地球など)は見かけの宇宙、即ち〈視象〉であり、仏教天文学の説(須弥山を中心に旋回する天道、ぺたんこの天空と地球)は真実の姿、即ち〈実象〉だという。そしてこの両説(視実)の宇宙は矛盾せずに同時に存在するという謎…。これを理論的に説明することは困難で、屁理屈と化した問答集を読んでると「もう諦めて太陽暦を受け入れちゃえば?」とつい言いたくなってしまう。こんな気持ちでは最後まで読めない。

Q&A古文書(ヤフオクで2000円)
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最初の問うて曰く「すでに西洋の天文学が普及してるのに、今さら説を覆したり蛇足する必要あるの?」という鋭い質問(自問)に対し「大砲からピストルの発明に進歩して、そのピストルも日々モデルチェンジしてるんだから、天文学だって新しい説が出現してもいいんだよ」という答えで、ちょっと腑に落ちない…。

これが視実等象儀だ!
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ケーキのように平な海に浮かぶ4つの洲(陸地)はドーム型の宇宙(視象天)に覆われ、遥か上空のぺったんこ天空(実象天)に太陽系があり、須弥山(真ん中の棒!)をグルグル廻りながら28日周期で上下する!?らしい…正直いうと理解不能です。