カテゴリー別アーカイブ: 古本

本が割れて頭も割れて

20年前に現代美術を勉強するために購入した、ドイツTASCHEN社のズバリ『現代美術』という画集を久々に本棚から出しみていたらパックリ割れてしまいました。そこは当時いちばん気に入っていた絵の見開きページ(写真参照)なので、たぶん何度も開いて閉じて弱くなっていたのでしょう。
この本の現代美術というタイトルを鵜呑みにして熱心にみていたものですが、全体の9割が元気いっぱい意味不明のニューペインティングで、ちっとも現代美術の勉強にならねぇということは後に知るのでした。本で紹介された荒々しく汚く巨大な絵画こそが先端芸術と騙されて、こういう作品を作れるように頑張ろう!と大志を抱き触発され、ペインティングを(一枚だけ)描きました。最近押入れから発見されたのでご覧下さい(写真参照)これは折込みチラシのモデルハウス写真の模写です。木パネにペンキと石膏で描かれており、ペンキも白黒青の3色しか持ち合わせておらず(当然アクリル絵具はもってない)黄色っぽい箇所はニスです。大変に表面がもろく、押入れには石膏の白い粉が落ちています。私はこれを厳重に梱包し後々高値で販売しようと(売れないか?)目論んでおるのです。

2015-11-25 02.33.21
これがその割れたページ。
ヴァルターダーンは斧で頭を割られた二名の四角い人物を描いたが、その深淵なる意味を汲み取れぬまま今に至る。

2015-11-25 02.36.06
A.ウールン作、おおらかな弱肉強食の大気を感じさせる恐竜画

バゼリッツ
逆さまの大家G.バゼリッツの有名な作品

ペインティング
住宅をよく描いてた。角張ったものは今も好き。

防コレ(1)

今日もひきつづき堆積資料集のなかからご紹介しましょう。これは昭和11年締結の日独防共協定と15年締結の日独伊三国同盟に関連した紙ものです。国際社会から孤立した日本が強い独逸と同盟を結べた!という熱狂的な歓喜と浮かれ具合、そして鉤十字と日の丸という鮮烈なデザインにひかれてウッカリ集めた代物です。こういうハーケンクロイツとか満州国国旗などの図案のものは人気があって割と高価なので、安く入手できる好機のみの購入でボリュームに不足を感じますが…。
ファシズムの力強い広報に負けて散財しそうなところ自制できたのだから良しとしよう。

防コレ1
日独伊の親密な交流が記録された雑誌、防共記念の木版画、松岡外相の訪独をつたえる写真絵葉書や各国大使の訪日祝賀大会と合唱用?の歌詞カード(ドイツ国家/ナチスの歌/ファシスト党の歌/黒シャツ隊の歌)片仮名で書いてあるのでみんなで歌える。

防コレ2
少国民用の本と着物生地。

国防軍
防共とは無関係ですが、ドイツ国防軍のグラビア誌「ディーヴェーアマハト」
ポーランド侵攻直前の38年から後の40年の国防軍のキビキビした様子がわかります。
ナチ色は薄く、巨大砲台の建設現場、塹壕やバリケード設営が写真付きで報じられてる。
(6冊2000円という破格値で買ったような…そんな記憶がある)

平和は特車にのって

先日につづき今日も蒐集絵葉書の一部です。とにかく戦前の博覧会絵葉書を集めまくった時期があり、特に国防博覧会のヘンテコな戦車や軍艦型のパビリオンにはハマりました。これはその残滓の末尾をかざる戦後の国防博絵葉書です。戦後の防衛部隊といえばもちろん自衛隊ですが、この絵葉書は「平和」にたいする配慮からか、あきらかに自衛隊の広報イベントなのに主催も明記されておらず、会場がどこの自衛隊なのかも不明。だいいち博覧会の名称が『近代科学博覧会』で、どこまで意味をぼやかせるか?そんな挑戦すら感じる!敗戦国だから最新科学を利用してはならんのは重々承知。しかし武器を科学と言い換えるところに戦争の機械化の肯定がある!!科学(なら)素晴らしいよネ。

科学博2
『平和と防衛のための近代科学博覧会』開催年不明
利用するのはあくまでも近代科学!(カタ落ちで我慢!)
主催と開催地はどこなのか?この「藤崎」というのは仙台のデパート。そして絵葉書に塩釜港と書かれてあるので宮城県のようです。ってことはデパート主催で仙台駐屯地で開催されたのかもしれない。戦中も大丸や松坂屋で小規模の国策博覧会が開催されてたので、デパート主催で防衛博がひらかれるのはぜんぜん不思議ではない。

科学博
メインは武器だけど科学だから宇宙開発にもふれてる(一応)

特車
ひゃっほ〜い!楽しそう。「特車展示場で少年達に試乗サービスするM24型軽特車」
M24軽戦車は第二次世界大戦で活躍した米軍の戦車。「特車」というヘンな呼び方は平和に配慮した自衛隊発足当時の名称。戦争に使わないから「戦車」ではない。
定員5名なのに13人以上の児童と隊員が乗車!平和に配慮して安全にはあんまり配慮してない模様…。
今では陸自の音楽隊がパンツァーリート(戦車の歌)を披露するぐらい…時代はかわった!

これは慰められない!

蔵書紹介のために本箱(衣装プラケース)を引っ掻き回してたら「ああ、こんなのもあったけ?」と色々発掘!それはかつてのブームの残滓である戦前戦中の防空/防共/慰問/博覧会/国策広告/オリンピック/エログロナンセンス等々の紙物の類いで、劣化著しくページを繰るごとに紙片が落ちてあんまり触れたくないのですが、せっかく苦労して重たい箱をおろしたのだから、と一部を写真に収めてみました。本日は「慰問絵葉書」のコレクションの一部を紹介いたしましょう。

いもん1
小学校の初等科から高等科までの学童の筆による絵画の数々。
地元の神社の仕切りで慰問袋用に描かされた作品のようです。
これなら慰められそう、という絵は僅かでほとんどが無気力と暴力に支配されている。

いもん2
「悪い人をやっつけろ」のスローガンに行き届いた教育を感じる。
それにしても戦闘場面と兵器の描写が上手すぎる!

いもん3
戦場の記憶に苛まれ夜ごとの悪夢にうなされる蒼白の男。
帰還後の悲壮を予想した学童の絵画をもらった兵隊は何を思うだろうか?
しかし絵葉書が散逸しないでまとまって残ってるということは、学童に描かせてみたら凄く不安定で不吉な作品が多くて、送るのやめてボツにしたものと推測されます。

いもん4
個人的に好きな一枚。
スキー?サーフィン?鑑賞眼の秀でた兵隊さんにしか理解されないような素敵な絵画。

 

吹き溜まりより

29日にロンドンで一日限りのアートイベントがあり、私もそれに蔵書の紹介(画像とコメントのみ)で参加します。影響を受けた本や作品資料を、ということなので、いままで資料の口実で漁ってきた本の吹き溜まり(堆積物)から選んでみました〜。私の解説文は英訳への配慮が足らず自己完結なところを、仲間ががんばって翻訳してくれました。申し訳ない。
一冊目は一番影響うけた本として萩原恭次郎の詩集「死刑宣告」。二冊目はヤル気が出る本としてキッペンベルガーの画集。あとは資料数冊で戦中の雑誌を用意しました。(ロンドンっ子にわかるかな?)

死刑宣告
「死刑宣告」20年あまり愛読してるのでだいぶボロボロ。

キッペンベルガー中身
ドイツのニューペインティングは新表現主義といわれてたっけ?

戦中雑誌いろいろ
戦時下の空元気がつたわるヒロイックな表紙で!

モガからの手紙

大正時代のモダンガールから手紙が届いたよ!(ヤフオク経由)

2015-11-02 19.56.19
絵葉書のイラストは蕗谷虹児氏作『絶望』
サインには1923年とあり関東大震災の凄惨を描いた作品と思われます。絶望に耐性のない児童の仕業か?ガシャガシャと鉛筆で心乱れる落書きがされてます。

2015-11-02 19.57.52
「レター有りがとう。貴女のシスターの御らんになったバーセルメスの映画ってバンパイヤーの出るのなら「経験」じゃあなくて?何しろお話ししてね。私ね都合がよかったら三日に伺うわ。文子さんと一しょではいけない?一人だと何だかはづかしいんですもの。私も伺うから貴女もキット家にいらっしゃいネお約束してヨ。 イタンペスター」
(….なぜお友達の家を訪問するのに一人でははづかしいのか?イタンペスターとは何?)

消印は大正13年9月2日。関東大震災から丁度一周年に当たる1日に筆をとったのでしょう。しかし震災に一切触れることなく乙女ちっくな日常が綴られてます。宛先は渋谷で差出しは青山です。死んだ祖父母が「代々木野っ原」「渋谷くんだり」と言ってたのを思い出しますが、渋谷は今よりずっと田園で被害が少なかったのかもしれませんね。東京人のノンシャランな気質からか…。案外こんなふうにケロっとしてるのもいいかな?

2015-10-29 00.27.36
大正時代といえば、今日は東京ステーションギャラリーで「月映展」を観ました。
目次<つくはえ—伴病めり>。。か細くも確かな強撚糸の如き木版の文字に、感涙禁ずること能わざりしよ!!(20才頃から熱心に鑑賞し、ほぼ作品を暗記してるので図録は買わない)
詩画集を見ると詩を書いてみたくなりますが、でもここでは書かない。尾形亀之助も油絵ヤメて詩人になったしな。でも今は美術家をヤメない。

資料書籍!

愈々どおくまん『熱笑!!花沢高校』を全29巻を揃えてしまった〜。先きにバラで買ったり貰ったりした10冊とあわせて計39冊!こりゃ結構なボリューム。次回の作品のテーマを考察するにあたり重要な資料なので、引越しがあるので本を増やしてはいかんのだが購入です。この西日の容赦なく差し込む勉強部屋に長らく置かれていたであろう、背表紙の褪色ハンパない花沢高校はブックオフでも引き取ってくれそうにないな…。所望する人物にあげよう(いるか?)
ハンナ・アーレントが著書『暴力について』のなかで示唆した「暴力+機械=戦争」の図式を、この『熱笑!!花沢高校』は大胆に描写しているのではないか?という発見から、主人公のイジメられっ子の力(リキ)が、怪力と勝負強さという能力が仇となり不良の抗争に巻き込まれ、果ては「丸腰」のケンカから、改造バイクによる「武装」と組織化に至り「全大阪戦争」にまで発展するというストーリーをあらためて熟読し、考察してみたいと思ったのです。
「北大阪の虎」という機械化した支配力に対抗して、正義の武装集団「黒いゲリラ」が組織されていくプロセスは、いかに最小単位(個人)の感情からの行為と思われる「暴力」が、科学的助力(機械化)によって組織化され戦争に至るかという歴史を再考するにあたり、とても興味ぶかいものがあります。
と、呑気に読書したり考え事してる猶予はないのですが!しかし制作には確固たるテーマの確立が大切です…頑張ろう。暴力はスピードだ!!

hanazawa
暴力と戦争だったら「暴力大将」じゃない?とお思いになる方もおられよう。
しかし、主人公・力道の人望を中心とした立身出世物語はミラクル頻発(ヤクザ部隊のゲリラ作戦が面白いほど成功したり)で、正義は勝つというロマンと丸腰のヒューマニズムが色濃いのです。
読む順番は、ソレル「暴力論」→ファノン「地に呪われたる者」で焚き付けて、アーレントの「暴力について」で一旦鎮火。そして「熱笑!!花沢高校」。。漫画も含め読書スピードが超遅いので読破する自信はありません。

リラダン伯爵とボノメ博士

この夏はドストエフスキー「悪霊」を読破しよう!と意気込んだものの、上巻しか読めませんでした。その代わり(代わりにはならないが)弘前で入手したリラダン伯爵の「トリビュラ・ボノメ」は読破できました。「悪霊」のタイトルにも引用された、悪霊の憑衣した二千の豚が暴走し溺死する。という新約聖書の一説を想起させる物語で、19世紀に興隆した新思想にうつつを抜かす一選民、ブルジョワジーの先端的に知的であろうとする振舞いや欲求の過熱は、禍々しく怪奇の色をおび、破滅的な結末を迎えます。
解説に、奇人と称された没落貴族リラダンその人の人格が反映されているのでは、と書かれているがどうだろう?トリビュラ・ボノメ博士みたいだったら相当な変人です!
冒頭にボノメ博士の人となりを紹介する短編が3本と、主題に「クレール・ルノワール」そして「トリビュラ・ボノメ博士の不可思議なる幻想」という短編で締めくくられる構成になってます。冒頭の短編「白鳥扼殺者」…実証主義者のボノメ博士が「白鳥は死に際の声が一番美しい」という説を確かめるため、極上の外套と帽子、毛皮のブーツ、鋼鉄の鉤爪という変態じみた盛装で、深夜、庭の池に忍び寄り、計画通りに白鳥の首を鉤爪で仕留め、妙なる断末魔の叫びを捕獲し、ブルジョワらしい芸術愛護者の面持ちで反芻するのであった…この人物像ですっかりハマりました。科学的実証を重視し合理的であるはずの博士がド変態。こりゃ楽しみだ、どんどんページが進みます。
ボノメ博士はヘーゲル哲学と神秘主義をちゃんぽんに傾倒するルノワール夫妻宅に逗留し、交霊会じみた討論を繰り広げます。そして、その場を牛耳れなくなって癪にさわった博士は、ルノワール氏を救済と治療と称して毒殺。未亡人となった夫人も旅先で客死。すべての非合理を否定しつつ「今際の際に目に映った映像が眼底に記録される」という奇妙な説に興味を持った博士は、ルノワール夫人の死体でそれを確認してしまうのでした。その強烈な体験から体調を崩した博士は赤ちゃんプレイで回復を試みるも、昏睡状態に陥り、そこで神様に「お前みたいのは来なくていい」と拒否されて復活する。というのが端折ったあらすじです。
この怪奇(?)小説は不思議なアイロニーに富んだ作品ですが、19世紀の新興思想をとりまく空騒ぎのような実体が、不気味に漂うモヤとなって魅了します。…次はちゃんと「悪霊」を読んで、放置してある「未來のイヴ」も読みたいです。どうしてこんなに読書が苦手なのだろう?

レッテル
室内に飾ったレッテル。夫人の死んだ眼に焼き付いた映像とはこんなだろうか?
(夫人の不貞に激怒し、南の島の蛮人となって怨霊と化したルノワール氏。海岸で掻き切った浮気相手の生首を掲げて夫人を睨みつける。という光景が…怖い!)

殺戮のフトリスモ

奇特な窓黒読者のご厚意により「熱笑!!花沢高校」の約3分の一を読むことができ、全巻とおしたストーリーは解らないものの、回を重ねるごとに過剰になってゆくディティールに心を奪われっぱなしです!中でも15巻、主人公・力と派遣番長・幽鬼のタイマン勝負のシーンがもの凄く、繰り返し読んでおります。蒼白な鋭い面立ちに一際大きな赤い口。ドクロハットに長髪、丸眼鏡、学ランにマントを着用した小柄な高校生・幽鬼十三。風貌の異様さは群を抜いてますが、彼の必殺技「秘技 死転」はそれ以上に特異なものです。手の甲、つま先に鉄の爪を装着し、肩、肘、膝にはナイフが飛び出し、すべての刃を外側に向けたポーズを維持しながら片足で高速回転し続ける….。人間離れしたこの技は、正に殺戮バレリーナ。尋常でない設定を力技で描き切ったどおくまんの偉大さ!
「花沢高校」を読むことが出来ない皆さんにお奨めなのが、ウィキペディアでの作品解説です。登場人物、登場マシン、あらすじ等が的確に書かれており作品未読でも十分楽しめます。待ち時間などの退屈しのぎにもってこいです。

2015-05-16 01.39.10
回転!連続!速度!ファシズム的動力!紛うことなき未来派野郎!

2015-05-07 22.59.43
加速する装飾性。天界君主専用「悪魔号」

2015-05-06 11.10.55
その悪魔号と類似するキング・オブ・ソウル(演歌)の祭マシン

☆宣伝☆
2015-05-16 01.48.47
こんな素敵な紙類がお手頃価格で手に入る!
「五反田遊古会」本日16日まで開催で〜す
南部古書会館にて(10〜17時)

メンズワールド2

昨日に引き続き『アクションイラスト』からお気に入りカットをご紹介しま〜す!

2015-05-13 21.01.32
満ち足りた昼下がり…
俺たちイコール丸首シャツ。

2015-05-13 21.04.56
確執と孤立の予感…
俺とお前、セーター&カーディガン。

2015-05-13 18.02.27
ドンマイ!そんな日もあるよネ☆