カテゴリー別アーカイブ: 古本

ファッションアイテム(2)

熟語ホ°エムの宝典「新撰詩學活法」によると「軽装」とは旅の装いの意である。
この新聞広告の男達は、白銀の峰に腕組みをし整列する。紫外線に曝された黒い顔に白い歯をのぞかせた山男らしい笑顔と「軽装」の深長なる意味の確信を下界に投げかける。「肌着」の防寒機能に対する彼等の信頼は「本当かな?」という俗世(私達)の懐疑心を寄せ付けない。その鮮烈な白と黒のコントラストと同様の強度を備えて余りあるものがある。

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「ひだまり」という名の肌着の保温性を実証するため彼等はエベレスト山頂に集う
純白の肌着にティアドロッフ°と登山靴が効いてる

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「軽装」タビノヨソホヒ
「誰識」ダレモシラン「誰憐」タビヒトリカナシ「帰心」カヘリタキココロ…
旅人の孤独な影法師を熟語ホ°エムは切り取った

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小さくて厚い「新撰詩學活法」200円

少女と禁忌

明方寒いので布団をかぶって寝る、寒くて寝付けないので布団の中でネリカン(練馬鑑別所)ブルースを歌う….こんな何気ない行動のなかにタブーが潜んでいるという事実に、皆さんお気づきだろうか?
この可愛いポケットサイズの本『最新版ふしぎ写真大百科』の巻末に収録された「世界中で語られてきた時間帯別ジンクス集」によると「夜☆フトンを頭からかぶって寝ると、長生きできない。」そして前世の暗さのようなものが生くさく漂う暁暗の時間帯(夜明け前)に歌を歌うと霊を呼び寄せるという…。そうとは知らずに凶事をまねく禁忌行為を重ねてしまった!(そのうえ練鑑ブルースは放送禁止の歌だった)まぁヤサグレ演歌に毒されたヤツなんかに幽霊は依ってこないだろうし、長生き願望はもとから無いからいいや〜。

藤圭子版練鑑ブルースはとても良い歌です。「金で昔が買えるならカタギになります稼ぎます」「殴って夢が醒めるならなんでケンカをするものか」という歌詞から得る教訓は大きい。世に蔓延する「世界にひとつだけの花」は淘汰のフルイの存在から目を背ける弱虫な欺瞞。もうウンザリ!(生花店の花は長きに渡る交配の結晶で、品評会を勝ち抜いて来たエリートだ)矮小化する大衆にはウケる。さもありなん!放送出来ない練鑑ブルースのほうがよっぽど教育的なのになぁ。

2016-01-11 15.17.40
小学校高学年〜中学生女子を対象にした本(心霊写真=ふしぎ写真と呼称したのはオカルトを警戒する父兄に対する配慮か?)ふしぎ写真が勢ぞろい、という割には質の低い写真が20枚たらず。その希薄な内容をを補うのは、他愛のない心霊体験談/環境破壊による地球滅亡を警告しにやってくる親切な異星人の話(矢追氏談)/いろんなジンクス集。ふしぎ写真大百科のタイトルはほぼ虚偽でガッカリだ。
時間帯別ジンクス集には他にも「朝☆ウサギの話をすると、貧乏になる/午前10時前にアブを殺すと、アブがたくさん寄ってくる(日本)」という因果関係のつかめない謎なジンクスもある。…可愛いウサギの話をした楽しい朝の先に、爪に灯をともすような赤貧生活が待っている!朝のテーブルトークでウサギの話題は厳禁だネ。

2016-01-22 20.00.51
「これは、ある牧場でとったポラロイド写真でバッヂにするために、丸く切り抜かれている」とある。丸く切ったあとに人物の首がないことに気づき投稿、それをエラー写真の見本として掲載される。マヌケだ…私はこのボツ写真でバッヂを作ってみようかと思ったが、バッヂ製造マシンは2年前に放出してしまったのでした…マヌケです。

★おしらせ★
国立新美術館で出品中の『ドマーニ/明日展』は残す所あと2日!24日日曜日で終了しまーす。何卒ご高覧のほど宜しくお願いいたします!

防コレ(2)

民間防空を国民にひろく啓蒙するための冊子類は往々にしてドギツいものが多い。それもこれも昭和8年に催された関東防空大演習でのカタストロフ感じる光景に由来している。炎と煙幕の街にさまよう防毒面、高射砲の勇姿など日常の風景を唐突に破壊するビジュアルは、非常時の切迫した空気というものを、まだ戦時下という実感のうすい国民に知らしめるに余りある。その大演習の時に広められたイメージをそのまま継承しているので「防空」は激しい絵面なのです。
今日ご紹介する『家庭防空』という家族全員で読んで学習する雑誌は一際ヤバい。狂ってる!昭和13年に発行されたこの本では、大演習時で刷り込まれた「毒ガス」に対する恐怖に、あらたな脅威「焼夷弾」による大火災が加わり大変なコトになってる!防空テキストの主旨は「正しい予備知識の学習で、冷静沈着に行動しましょう」で、それは騒ぐな落ち着け逃げずに鎮火という民防空法にのっとった国民統制です。だが、しかし。この本を見て落ち着けというのは何とムチャなことか!まずご覧あれ!

家庭防空
第十六師団編纂「家庭防空」昭和13年発行
燈火管制の暗ぼったいお部屋でお姉さんは編み物、坊やは防毒面でお遊び。

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「備へあれば」とくれば次は「憂ひなし」であろう。
コラージュが秀逸すぎて不安だ!

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「列國の空軍」かっこいい戦闘機や爆撃機がいっぱい!

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「平時より準備すべきもの」
水、砂、防毒面に説明文はなくても私達はすでにその重要性を知っている(はず)

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それは「焼夷弾は最初の三十秒間に消火が肝要/水と砂も有効」ということだ。
「木造家屋は焼夷弾に對して大なる弱點をもつている」それは燃えやすいということだ。
(デマゴーグや流言にまどわされるな、と言うけど、焼夷弾が水や砂で消せるというは最悪のデマ!)

学童用クイズ「コレナーニ」
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「コレハ テフテフノ カムフラージュダヨ
ボクラノ オイヘモ コンナニスルト テキノヒカウキニ ワカラナイノダヨ」

なーるほど!私もこれを参考にお家の塗装をダズル迷彩にして敵機と近隣住民を幻惑しようかな?勉強になるネ。

 

本が割れて頭も割れて

20年前に現代美術を勉強するために購入した、ドイツTASCHEN社のズバリ『現代美術』という画集を久々に本棚から出しみていたらパックリ割れてしまいました。そこは当時いちばん気に入っていた絵の見開きページ(写真参照)なので、たぶん何度も開いて閉じて弱くなっていたのでしょう。
この本の現代美術というタイトルを鵜呑みにして熱心にみていたものですが、全体の9割が元気いっぱい意味不明のニューペインティングで、ちっとも現代美術の勉強にならねぇということは後に知るのでした。本で紹介された荒々しく汚く巨大な絵画こそが先端芸術と騙されて、こういう作品を作れるように頑張ろう!と大志を抱き触発され、ペインティングを(一枚だけ)描きました。最近押入れから発見されたのでご覧下さい(写真参照)これは折込みチラシのモデルハウス写真の模写です。木パネにペンキと石膏で描かれており、ペンキも白黒青の3色しか持ち合わせておらず(当然アクリル絵具はもってない)黄色っぽい箇所はニスです。大変に表面がもろく、押入れには石膏の白い粉が落ちています。私はこれを厳重に梱包し後々高値で販売しようと(売れないか?)目論んでおるのです。

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これがその割れたページ。
ヴァルターダーンは斧で頭を割られた二名の四角い人物を描いたが、その深淵なる意味を汲み取れぬまま今に至る。

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A.ウールン作、おおらかな弱肉強食の大気を感じさせる恐竜画

バゼリッツ
逆さまの大家G.バゼリッツの有名な作品

ペインティング
住宅をよく描いてた。角張ったものは今も好き。

防コレ(1)

今日もひきつづき堆積資料集のなかからご紹介しましょう。これは昭和11年締結の日独防共協定と15年締結の日独伊三国同盟に関連した紙ものです。国際社会から孤立した日本が強い独逸と同盟を結べた!という熱狂的な歓喜と浮かれ具合、そして鉤十字と日の丸という鮮烈なデザインにひかれてウッカリ集めた代物です。こういうハーケンクロイツとか満州国国旗などの図案のものは人気があって割と高価なので、安く入手できる好機のみの購入でボリュームに不足を感じますが…。
ファシズムの力強い広報に負けて散財しそうなところ自制できたのだから良しとしよう。

防コレ1
日独伊の親密な交流が記録された雑誌、防共記念の木版画、松岡外相の訪独をつたえる写真絵葉書や各国大使の訪日祝賀大会と合唱用?の歌詞カード(ドイツ国家/ナチスの歌/ファシスト党の歌/黒シャツ隊の歌)片仮名で書いてあるのでみんなで歌える。

防コレ2
少国民用の本と着物生地。

国防軍
防共とは無関係ですが、ドイツ国防軍のグラビア誌「ディーヴェーアマハト」
ポーランド侵攻直前の38年から後の40年の国防軍のキビキビした様子がわかります。
ナチ色は薄く、巨大砲台の建設現場、塹壕やバリケード設営が写真付きで報じられてる。
(6冊2000円という破格値で買ったような…そんな記憶がある)

平和は特車にのって

先日につづき今日も蒐集絵葉書の一部です。とにかく戦前の博覧会絵葉書を集めまくった時期があり、特に国防博覧会のヘンテコな戦車や軍艦型のパビリオンにはハマりました。これはその残滓の末尾をかざる戦後の国防博絵葉書です。戦後の防衛部隊といえばもちろん自衛隊ですが、この絵葉書は「平和」にたいする配慮からか、あきらかに自衛隊の広報イベントなのに主催も明記されておらず、会場がどこの自衛隊なのかも不明。だいいち博覧会の名称が『近代科学博覧会』で、どこまで意味をぼやかせるか?そんな挑戦すら感じる!敗戦国だから最新科学を利用してはならんのは重々承知。しかし武器を科学と言い換えるところに戦争の機械化の肯定がある!!科学(なら)素晴らしいよネ。

科学博2
『平和と防衛のための近代科学博覧会』開催年不明
利用するのはあくまでも近代科学!(カタ落ちで我慢!)
主催と開催地はどこなのか?この「藤崎」というのは仙台のデパート。そして絵葉書に塩釜港と書かれてあるので宮城県のようです。ってことはデパート主催で仙台駐屯地で開催されたのかもしれない。戦中も大丸や松坂屋で小規模の国策博覧会が開催されてたので、デパート主催で防衛博がひらかれるのはぜんぜん不思議ではない。

科学博
メインは武器だけど科学だから宇宙開発にもふれてる(一応)

特車
ひゃっほ〜い!楽しそう。「特車展示場で少年達に試乗サービスするM24型軽特車」
M24軽戦車は第二次世界大戦で活躍した米軍の戦車。「特車」というヘンな呼び方は平和に配慮した自衛隊発足当時の名称。戦争に使わないから「戦車」ではない。
定員5名なのに13人以上の児童と隊員が乗車!平和に配慮して安全にはあんまり配慮してない模様…。
今では陸自の音楽隊がパンツァーリート(戦車の歌)を披露するぐらい…時代はかわった!

これは慰められない!

蔵書紹介のために本箱(衣装プラケース)を引っ掻き回してたら「ああ、こんなのもあったけ?」と色々発掘!それはかつてのブームの残滓である戦前戦中の防空/防共/慰問/博覧会/国策広告/オリンピック/エログロナンセンス等々の紙物の類いで、劣化著しくページを繰るごとに紙片が落ちてあんまり触れたくないのですが、せっかく苦労して重たい箱をおろしたのだから、と一部を写真に収めてみました。本日は「慰問絵葉書」のコレクションの一部を紹介いたしましょう。

いもん1
小学校の初等科から高等科までの学童の筆による絵画の数々。
地元の神社の仕切りで慰問袋用に描かされた作品のようです。
これなら慰められそう、という絵は僅かでほとんどが無気力と暴力に支配されている。

いもん2
「悪い人をやっつけろ」のスローガンに行き届いた教育を感じる。
それにしても戦闘場面と兵器の描写が上手すぎる!

いもん3
戦場の記憶に苛まれ夜ごとの悪夢にうなされる蒼白の男。
帰還後の悲壮を予想した学童の絵画をもらった兵隊は何を思うだろうか?
しかし絵葉書が散逸しないでまとまって残ってるということは、学童に描かせてみたら凄く不安定で不吉な作品が多くて、送るのやめてボツにしたものと推測されます。

いもん4
個人的に好きな一枚。
スキー?サーフィン?鑑賞眼の秀でた兵隊さんにしか理解されないような素敵な絵画。

 

吹き溜まりより

29日にロンドンで一日限りのアートイベントがあり、私もそれに蔵書の紹介(画像とコメントのみ)で参加します。影響を受けた本や作品資料を、ということなので、いままで資料の口実で漁ってきた本の吹き溜まり(堆積物)から選んでみました〜。私の解説文は英訳への配慮が足らず自己完結なところを、仲間ががんばって翻訳してくれました。申し訳ない。
一冊目は一番影響うけた本として萩原恭次郎の詩集「死刑宣告」。二冊目はヤル気が出る本としてキッペンベルガーの画集。あとは資料数冊で戦中の雑誌を用意しました。(ロンドンっ子にわかるかな?)

死刑宣告
「死刑宣告」20年あまり愛読してるのでだいぶボロボロ。

キッペンベルガー中身
ドイツのニューペインティングは新表現主義といわれてたっけ?

戦中雑誌いろいろ
戦時下の空元気がつたわるヒロイックな表紙で!

モガからの手紙

大正時代のモダンガールから手紙が届いたよ!(ヤフオク経由)

2015-11-02 19.56.19
絵葉書のイラストは蕗谷虹児氏作『絶望』
サインには1923年とあり関東大震災の凄惨を描いた作品と思われます。絶望に耐性のない児童の仕業か?ガシャガシャと鉛筆で心乱れる落書きがされてます。

2015-11-02 19.57.52
「レター有りがとう。貴女のシスターの御らんになったバーセルメスの映画ってバンパイヤーの出るのなら「経験」じゃあなくて?何しろお話ししてね。私ね都合がよかったら三日に伺うわ。文子さんと一しょではいけない?一人だと何だかはづかしいんですもの。私も伺うから貴女もキット家にいらっしゃいネお約束してヨ。 イタンペスター」
(….なぜお友達の家を訪問するのに一人でははづかしいのか?イタンペスターとは何?)

消印は大正13年9月2日。関東大震災から丁度一周年に当たる1日に筆をとったのでしょう。しかし震災に一切触れることなく乙女ちっくな日常が綴られてます。宛先は渋谷で差出しは青山です。死んだ祖父母が「代々木野っ原」「渋谷くんだり」と言ってたのを思い出しますが、渋谷は今よりずっと田園で被害が少なかったのかもしれませんね。東京人のノンシャランな気質からか…。案外こんなふうにケロっとしてるのもいいかな?

2015-10-29 00.27.36
大正時代といえば、今日は東京ステーションギャラリーで「月映展」を観ました。
目次<つくはえ—伴病めり>。。か細くも確かな強撚糸の如き木版の文字に、感涙禁ずること能わざりしよ!!(20才頃から熱心に鑑賞し、ほぼ作品を暗記してるので図録は買わない)
詩画集を見ると詩を書いてみたくなりますが、でもここでは書かない。尾形亀之助も油絵ヤメて詩人になったしな。でも今は美術家をヤメない。

資料書籍!

愈々どおくまん『熱笑!!花沢高校』を全29巻を揃えてしまった〜。先きにバラで買ったり貰ったりした10冊とあわせて計39冊!こりゃ結構なボリューム。次回の作品のテーマを考察するにあたり重要な資料なので、引越しがあるので本を増やしてはいかんのだが購入です。この西日の容赦なく差し込む勉強部屋に長らく置かれていたであろう、背表紙の褪色ハンパない花沢高校はブックオフでも引き取ってくれそうにないな…。所望する人物にあげよう(いるか?)
ハンナ・アーレントが著書『暴力について』のなかで示唆した「暴力+機械=戦争」の図式を、この『熱笑!!花沢高校』は大胆に描写しているのではないか?という発見から、主人公のイジメられっ子の力(リキ)が、怪力と勝負強さという能力が仇となり不良の抗争に巻き込まれ、果ては「丸腰」のケンカから、改造バイクによる「武装」と組織化に至り「全大阪戦争」にまで発展するというストーリーをあらためて熟読し、考察してみたいと思ったのです。
「北大阪の虎」という機械化した支配力に対抗して、正義の武装集団「黒いゲリラ」が組織されていくプロセスは、いかに最小単位(個人)の感情からの行為と思われる「暴力」が、科学的助力(機械化)によって組織化され戦争に至るかという歴史を再考するにあたり、とても興味ぶかいものがあります。
と、呑気に読書したり考え事してる猶予はないのですが!しかし制作には確固たるテーマの確立が大切です…頑張ろう。暴力はスピードだ!!

hanazawa
暴力と戦争だったら「暴力大将」じゃない?とお思いになる方もおられよう。
しかし、主人公・力道の人望を中心とした立身出世物語はミラクル頻発(ヤクザ部隊のゲリラ作戦が面白いほど成功したり)で、正義は勝つというロマンと丸腰のヒューマニズムが色濃いのです。
読む順番は、ソレル「暴力論」→ファノン「地に呪われたる者」で焚き付けて、アーレントの「暴力について」で一旦鎮火。そして「熱笑!!花沢高校」。。漫画も含め読書スピードが超遅いので読破する自信はありません。