カテゴリー別アーカイブ: 古本

脅しのホ°エム

改めて防空関連図書をひろげてみると、昭和8年の関東大防空演習あたりから恐怖蔓延フ°ロハ°ガンダがはじまり、この当時の被害想定のメインは「化学戦」いわゆる毒ガス攻撃で、爆弾による火災というのは二の次だったことがわかります。しかし太平洋戦争に突入した昭和16年になると、本土空爆による首都焼失という危機感に移行し、いままで防空を啓蒙するアイコン的存在だった防毒マスクも姿を消します。それは国策雑誌「写真週報」の表紙にもよく現れてます。そしてその写真週報にとびっきりコワいホ°エムを発見!(見開きでドカ—ンと)

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爆弾は炸裂した瞬間しか爆弾でない。
あとは、唯の火事ではないか。
唯の火事を、君は消そうともせずに逃げだすてはあるまい
召集を受けた勇士を、『一死奉公立派に働いてくれ』と君は励ました。
一旦風雲急となった時、この都市を、護るのは今度は君の番なのだ。
英霊は君の奮闘を待っている

…なんという詭弁と脅迫(笑)
とるべき初動はまず「逃避」と私は決めた!

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いろんな防空の本
脅迫詩は下段右から2番目、防毒マスク表紙の写真週報(昭和16年)巻頭に掲載
写真週報表紙の女性の服装に注目。右上(昭和13年)白いかっほ°う着にガスマスクから、右下(昭和18年)鉄兜に更生品の防空服に様変わりし空襲の本格化がうかがえる。

中年は氷島をめざす

昨日の野老氏との対談というより寧ろ放談だったト—クイベントは、一時間30分愉快にしゃべって無事に終了。お集りいただいた聴衆の皆様ありがとうございました!府中市美公開制作の行事もこれが最後で、26日会期終了まで作品展示されるのみとなりました。入室可能日は25、26日だけですが、ご高覧の程よろしくお願い致しま〜す(私は不在です)
そして昨日19日はmy誕生日でもありました。とうとう四捨五入して50歳の年令に…紛う事なき中年です!トホホ〜。しかしそう悲観してばかりもいられないので、若かりし頃に読んで「この詩集は年をとらないと共感できないなぁ」と思ってた萩原朔太郎「氷島」を購入。もちろんカッコいい復刻版を!題名「氷島」は私のスロ—ガンでもある「南風のもとに生きるよりも氷上に生きるに然ず」というニ—チェの言葉に由来すると憶測します。現に初期の恋愛詩に対する小解で「我の如き極地の人、氷島の上に独り住み居て、そもそも何の愛恋ぞや。過去は恥多く悔多し。これもまた北極の長夜に見たる、侘しき極光(お—ろら)の幻灯なるべし。」と自虐の弁を吐露しているので間違いない。…過去は恥多く悔多し(笑!)左様、若気の至りに赤面することも多いが、きっとこの先には更にデッカい恥が私を待っているであろう。ドンマイ朔太郎!私は恥の大河も溺死必至で渡る覚悟だよ。そして悔恨の涙にうるむ極光オ—ロラを見るのだ!

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「ザ.アイスランド」これは大学ノ—トを模したデザインが美しい詩集「氷島」
「自己愛にあふれた悲壮」という二十代当時の感想は、萩原朔太郎がこれを書いた年令と同い年になっても変わらなかった…それはそれで良い。

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「箱も良い」出版社名のロ—マ字がびっちり並んだ包装紙風デザインも芸が細かい。

退化の図像

最近の科学番組の恐竜登場場面は、CG映像があまりにも真に迫ってるため、それを見た子供が実写映像と勘違いし「これは本物じゃないよ」と説明するのが大変、という親御さんの声を耳にした。ならば、本日ご紹介する雑誌「科学の世界」(昭和23年発行)など読ませたらいかがだろうか?この学術雑誌のマンモス画の曖昧さには、子供の想像力を伸ばす余地がふんだんに用意されている。氷河時代のことなど空想半分の仮説すぎない、と言わんばかりの画風は、可能な限り現実味をつけようとする博物画へ対抗するかのように退化のム—ドを感じる。

〈科学の世界/1948.第3巻.第9号〉
世界科学探検物語第5回「マンモスの冷凍化石」より
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「象の親類筋」ダイノテリアム
「氷河時代には絶滅してしまった」とあり、その眼差しは心なしか悲し気。

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氷河時代にはサイもいたという

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私には人間同士のケンカをマンモスが楽しげに観戦しているように見えるが、本文によると「旧石器時代の人々は、お粗末ながらおとしあなを工夫し、これでマンモスを捕え大勢よってたかって殺し、肉をみんなで食べたものらしい」という場面が描かれてるらしい。

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彫刻家とその助手を描いたように見えるこの絵は「それ(マンモスの屍体)がみえる少し手前から、いやはや、なんともいいえない臭気がフ°—ンと、極北の清い空気にただよっていた…」という「発掘現場」を再現したものらしい。

所信表明:あけましておめでとう。

あけましておめでとうございます!昨年中は皆様から多大なるご支援をしていただき心より感謝申しあげます!本年もいろいろとお世話になりますが何卒よろしくお願いいたします。
…という訳で今年もこちらからのご挨拶で失礼させて頂きます。(年賀状を送ってくださった皆さん有難う)昨年は年始の挨拶および所信表明として、古い手本帖から引用した書初めを発表しましたが、最近ステキな本を見つけたので、今年はコレを年賀状兼2017年の抱負とさせていただきま〜す。

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上から「盆石勅伝之圖」「かつらの巻」「利休高砂二十八盆景圖」
楕円形の黒いお盆に白砂で水辺を描き、そこに石=山を配置して小さな世界を構築する「細川流盆石」という風雅な遊びの大正時代の手本帖。

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〈石とメルヘン〉
中学時代に毎月購読していた雑誌が『詩とメルヘン』だった私は、もちろん現在も詩とメルヘンを愛してやまない。今後ますます実利至上の自由主義が跋扈するであろう世の中に、この詩的な非合理メルヘンの一石を投じたいものだ。

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〈白虹貫日〉
古来より日輪を囲む白い虹は乱世の予兆だとされている。お正月の言祝ぎとして相応しくないが個人的には秩序崩壊は望む所だ。

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〈楕円のマクロコスモス〉
美の条件とは「滑稽で無目的でシャ—フ°であること」と私は確信している(この絵にはそれがある)無目的に美を探究する滑稽な諸兄姉すべてが(見知らぬあなたも)私の友であり同志であると信ずる!

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2016年のスロ—ガン「原始林神秘境」「都会工場黒煙」は今年も続投!
ならびに「万物流転/一宿一飯/一撃必殺/創造的虚無」これらアジテ—ションホ°エムの継続を宣言する!

ハ°—ティ—を開きましょう

いよいよ街角にクリスマスソングが流れる季節になりました。忘年会にクリスマス…ハ°—ティ—シ—ズンの到来にワクワクドキドキ!準備はOK?…でもどんなハ°—ティ—を開けばいい?フ°レゼントは何にしよう?そんなコトで悩んでるアナタにひ°ったしのヒントがこの本には満載です!ぜひ参考にして、みんながビックリ!ハッヒ°—になるハ°—ティ—を開いてみてネ!

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「ティ—ンのおしゃれ教室」集英社モンキ—文庫(1977年)

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★男の子をお家に招いたら…
女の子だけでスミっこでヒソヒソなんてダメ!せっかくのハ°—ティ—なんだからモット積極的に。こんなゲ—ムでヘ°アをつくるのも楽しいわ。

「フイッシング」
二メ—トルぐらいのひもを用意し、女の子はそれぞれのひもの先に男の子をつるエサをつけます。おかしでも、アクセサリ—でも。それから別室にエサを出し、かげでひもをもっていて男の子はすきなエサにくいつくわけ。

★こんなハ°—ティ—はいかが?
「やみ汁ハ°—ティ—」
なべ料理用の変わった材料をもちよって、くらくして煮てたべるのです。

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「ボ—イフレンドへのフ°レゼントのヒント」
★豆ライトつきとか、ドライバ—入り、トランフ°入りなどのキイホルダ—
(男の子はめずらしくて変わったこまかいものが好き)
★乾電池、フィルム、テ—フ°、サインヘ°ンなど
(必ず必要でいくつあってもいいもの、おくゆかしい)

変わったこまかいモノならわたしも大好き!(乾電池をくれる女の子がいたらチョット心配になっちゃうかも?)….どう参考になったかしら?年末のハ°—ティ—はこれでOKね!

 

ファッションアイテム(2)

熟語ホ°エムの宝典「新撰詩學活法」によると「軽装」とは旅の装いの意である。
この新聞広告の男達は、白銀の峰に腕組みをし整列する。紫外線に曝された黒い顔に白い歯をのぞかせた山男らしい笑顔と「軽装」の深長なる意味の確信を下界に投げかける。「肌着」の防寒機能に対する彼等の信頼は「本当かな?」という俗世(私達)の懐疑心を寄せ付けない。その鮮烈な白と黒のコントラストと同様の強度を備えて余りあるものがある。

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「ひだまり」という名の肌着の保温性を実証するため彼等はエベレスト山頂に集う
純白の肌着にティアドロッフ°と登山靴が効いてる

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「軽装」タビノヨソホヒ
「誰識」ダレモシラン「誰憐」タビヒトリカナシ「帰心」カヘリタキココロ…
旅人の孤独な影法師を熟語ホ°エムは切り取った

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小さくて厚い「新撰詩學活法」200円

少女と禁忌

明方寒いので布団をかぶって寝る、寒くて寝付けないので布団の中でネリカン(練馬鑑別所)ブルースを歌う….こんな何気ない行動のなかにタブーが潜んでいるという事実に、皆さんお気づきだろうか?
この可愛いポケットサイズの本『最新版ふしぎ写真大百科』の巻末に収録された「世界中で語られてきた時間帯別ジンクス集」によると「夜☆フトンを頭からかぶって寝ると、長生きできない。」そして前世の暗さのようなものが生くさく漂う暁暗の時間帯(夜明け前)に歌を歌うと霊を呼び寄せるという…。そうとは知らずに凶事をまねく禁忌行為を重ねてしまった!(そのうえ練鑑ブルースは放送禁止の歌だった)まぁヤサグレ演歌に毒されたヤツなんかに幽霊は依ってこないだろうし、長生き願望はもとから無いからいいや〜。

藤圭子版練鑑ブルースはとても良い歌です。「金で昔が買えるならカタギになります稼ぎます」「殴って夢が醒めるならなんでケンカをするものか」という歌詞から得る教訓は大きい。世に蔓延する「世界にひとつだけの花」は淘汰のフルイの存在から目を背ける弱虫な欺瞞。もうウンザリ!(生花店の花は長きに渡る交配の結晶で、品評会を勝ち抜いて来たエリートだ)矮小化する大衆にはウケる。さもありなん!放送出来ない練鑑ブルースのほうがよっぽど教育的なのになぁ。

2016-01-11 15.17.40
小学校高学年〜中学生女子を対象にした本(心霊写真=ふしぎ写真と呼称したのはオカルトを警戒する父兄に対する配慮か?)ふしぎ写真が勢ぞろい、という割には質の低い写真が20枚たらず。その希薄な内容をを補うのは、他愛のない心霊体験談/環境破壊による地球滅亡を警告しにやってくる親切な異星人の話(矢追氏談)/いろんなジンクス集。ふしぎ写真大百科のタイトルはほぼ虚偽でガッカリだ。
時間帯別ジンクス集には他にも「朝☆ウサギの話をすると、貧乏になる/午前10時前にアブを殺すと、アブがたくさん寄ってくる(日本)」という因果関係のつかめない謎なジンクスもある。…可愛いウサギの話をした楽しい朝の先に、爪に灯をともすような赤貧生活が待っている!朝のテーブルトークでウサギの話題は厳禁だネ。

2016-01-22 20.00.51
「これは、ある牧場でとったポラロイド写真でバッヂにするために、丸く切り抜かれている」とある。丸く切ったあとに人物の首がないことに気づき投稿、それをエラー写真の見本として掲載される。マヌケだ…私はこのボツ写真でバッヂを作ってみようかと思ったが、バッヂ製造マシンは2年前に放出してしまったのでした…マヌケです。

★おしらせ★
国立新美術館で出品中の『ドマーニ/明日展』は残す所あと2日!24日日曜日で終了しまーす。何卒ご高覧のほど宜しくお願いいたします!

防コレ(2)

民間防空を国民にひろく啓蒙するための冊子類は往々にしてドギツいものが多い。それもこれも昭和8年に催された関東防空大演習でのカタストロフ感じる光景に由来している。炎と煙幕の街にさまよう防毒面、高射砲の勇姿など日常の風景を唐突に破壊するビジュアルは、非常時の切迫した空気というものを、まだ戦時下という実感のうすい国民に知らしめるに余りある。その大演習の時に広められたイメージをそのまま継承しているので「防空」は激しい絵面なのです。
今日ご紹介する『家庭防空』という家族全員で読んで学習する雑誌は一際ヤバい。狂ってる!昭和13年に発行されたこの本では、大演習時で刷り込まれた「毒ガス」に対する恐怖に、あらたな脅威「焼夷弾」による大火災が加わり大変なコトになってる!防空テキストの主旨は「正しい予備知識の学習で、冷静沈着に行動しましょう」で、それは騒ぐな落ち着け逃げずに鎮火という民防空法にのっとった国民統制です。だが、しかし。この本を見て落ち着けというのは何とムチャなことか!まずご覧あれ!

家庭防空
第十六師団編纂「家庭防空」昭和13年発行
燈火管制の暗ぼったいお部屋でお姉さんは編み物、坊やは防毒面でお遊び。

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「備へあれば」とくれば次は「憂ひなし」であろう。
コラージュが秀逸すぎて不安だ!

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「列國の空軍」かっこいい戦闘機や爆撃機がいっぱい!

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「平時より準備すべきもの」
水、砂、防毒面に説明文はなくても私達はすでにその重要性を知っている(はず)

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それは「焼夷弾は最初の三十秒間に消火が肝要/水と砂も有効」ということだ。
「木造家屋は焼夷弾に對して大なる弱點をもつている」それは燃えやすいということだ。
(デマゴーグや流言にまどわされるな、と言うけど、焼夷弾が水や砂で消せるというは最悪のデマ!)

学童用クイズ「コレナーニ」
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「コレハ テフテフノ カムフラージュダヨ
ボクラノ オイヘモ コンナニスルト テキノヒカウキニ ワカラナイノダヨ」

なーるほど!私もこれを参考にお家の塗装をダズル迷彩にして敵機と近隣住民を幻惑しようかな?勉強になるネ。

 

本が割れて頭も割れて

20年前に現代美術を勉強するために購入した、ドイツTASCHEN社のズバリ『現代美術』という画集を久々に本棚から出しみていたらパックリ割れてしまいました。そこは当時いちばん気に入っていた絵の見開きページ(写真参照)なので、たぶん何度も開いて閉じて弱くなっていたのでしょう。
この本の現代美術というタイトルを鵜呑みにして熱心にみていたものですが、全体の9割が元気いっぱい意味不明のニューペインティングで、ちっとも現代美術の勉強にならねぇということは後に知るのでした。本で紹介された荒々しく汚く巨大な絵画こそが先端芸術と騙されて、こういう作品を作れるように頑張ろう!と大志を抱き触発され、ペインティングを(一枚だけ)描きました。最近押入れから発見されたのでご覧下さい(写真参照)これは折込みチラシのモデルハウス写真の模写です。木パネにペンキと石膏で描かれており、ペンキも白黒青の3色しか持ち合わせておらず(当然アクリル絵具はもってない)黄色っぽい箇所はニスです。大変に表面がもろく、押入れには石膏の白い粉が落ちています。私はこれを厳重に梱包し後々高値で販売しようと(売れないか?)目論んでおるのです。

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これがその割れたページ。
ヴァルターダーンは斧で頭を割られた二名の四角い人物を描いたが、その深淵なる意味を汲み取れぬまま今に至る。

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A.ウールン作、おおらかな弱肉強食の大気を感じさせる恐竜画

バゼリッツ
逆さまの大家G.バゼリッツの有名な作品

ペインティング
住宅をよく描いてた。角張ったものは今も好き。

防コレ(1)

今日もひきつづき堆積資料集のなかからご紹介しましょう。これは昭和11年締結の日独防共協定と15年締結の日独伊三国同盟に関連した紙ものです。国際社会から孤立した日本が強い独逸と同盟を結べた!という熱狂的な歓喜と浮かれ具合、そして鉤十字と日の丸という鮮烈なデザインにひかれてウッカリ集めた代物です。こういうハーケンクロイツとか満州国国旗などの図案のものは人気があって割と高価なので、安く入手できる好機のみの購入でボリュームに不足を感じますが…。
ファシズムの力強い広報に負けて散財しそうなところ自制できたのだから良しとしよう。

防コレ1
日独伊の親密な交流が記録された雑誌、防共記念の木版画、松岡外相の訪独をつたえる写真絵葉書や各国大使の訪日祝賀大会と合唱用?の歌詞カード(ドイツ国家/ナチスの歌/ファシスト党の歌/黒シャツ隊の歌)片仮名で書いてあるのでみんなで歌える。

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少国民用の本と着物生地。

国防軍
防共とは無関係ですが、ドイツ国防軍のグラビア誌「ディーヴェーアマハト」
ポーランド侵攻直前の38年から後の40年の国防軍のキビキビした様子がわかります。
ナチ色は薄く、巨大砲台の建設現場、塹壕やバリケード設営が写真付きで報じられてる。
(6冊2000円という破格値で買ったような…そんな記憶がある)