先に紹介した雑誌『實業之日本』から、もうひとつ気になる記事「美術經濟學」です。
今回の個展「プチブル」でも、作品を展示をするさいには必ず「作品価格」を付けるのですが、作った当人ですら価格の妥当性というのははっきりしません。これはいつも悩みます。しかし美術作品という「魔力」の対価は「売れる」という結果で、自ずと相場のようなものが決まるような気がします。ここ最近やっと、分かってきました…。
この「美術經濟學」という記事では、そんな美術にまつわるお金の不思議を取材してます。
記事を書いたのは、これっぽちも美術を知らない無教養な記者です。そいつが野次馬根性で美術館をのぞいて、勝手にいろいろ値踏みして皮算用して書いてます。なんだか小馬鹿にした文章なので読んでいてイラっとします。しょせん「オール金儲け」の拝金主義雑誌の記者なのでしょうがないですけどね。….最初に記者さんが目をつけたのは「ハコ」である美術館の値段です。この雑誌が発売された昭和6年の7年程前、大正15年に建てられた『東京府立美術館』現・東京都美術館をまず値踏みしてます。総建築費のうち30万円が借金であることに対し「あの図体からしたら三十萬位何でもないのだが、全然生産能力をもたないのだから、豚が債務で苦しんでいるようなものである。」とコキおろしてます。工場ではないのだから生産能力など期待しないよね?
美術館の運営費、入場料、人件費など。作品一点に要する生産費(原価計算)、作品の運送費用などなど…数字で計算出来そうなもの全て算盤勘定してゆきます。ナンセンス!
「大衆はあおられて、いい気になって芸術鑑賞をやる。ところでこのあおっている、展覧会…興業主そのものはどんな算盤勘定になっているのか?…これはどうせ儲かっている気遣いはない。経済生活の進んだ現代には珍しい現象である。どの位人気のあるものだかはっきりした正体はない。だから入場者だってどの位入るのか分からない。絵の方にしてもいくらの値打ちのものだかわからない。タダでもいいようなものもあれば一枚千円のものもある。それからまた、この生産費がきまりがない、布にワクをつけて絵を書くのだからわかりきったことである筈だが、そこが芸術の神秘で、全然算盤科学では解釈が付かない。」…まあ、記者さんのおっしゃるとおりですな。要するに経済的損得の辻褄が合わなければ、どうにも気が済まない人間には美術の「生産 」は向いてないということです。そこは今も昔も変わらないみたいです。
「金儲け」に憧れる中産階級諸君、プチブル君には摩訶不思議な業界かもねー。

『實業之日本』より。「経済学」とは名ばかりの野次馬記事!

モデル代、材料費など…作品の原価を計算してます。ナンセンス!

昭和初期の東京府立美術館(現・東京都美術館)
☆リアル・プチブル君にも見てほしい〜!プチ回顧展『プチブル』は19日まで開催です。
