月別アーカイブ: 2014年2月

伯林オリムピック

2020年、東京オリンピック(ディスリンピック)開催。これで1964年開催のオリンピックとあわせて2回目となりますが、「もし」1940年に開催されていれば3回目になった訳です。
皇紀2600年、神武天皇が即位してから2600年という節目の年がこの1940年(昭和15年)にあたります。この記念すべきデッカイ節目を祝うために、国家をあげて奉祝イベントをガンガン催して、同時に「新体制」の教育、自覚の強化を計ろうとしました。この奉祝行事の二本柱が「東京オリンピック」と「万国博覧会」だったのです。しかし日中戦争の長期化、国際情勢の悪化を理由に開催を断念せざるおえなくなり、この2つの夢は64年の東京オリンピック、70年の大阪万博と、戦後の高度成長期まで実現は持ち越されました。
1940年東京オリンピックの前の開催は、いわずとしれた1936年開催のベルリンオリンピックです。第一次近衛内閣の昭和13年あたりから「新体制」の良きお手本として「ナチス・ドイツから学ぼう!」という気運が盛んにありました。このベルリンオリンピックの成功は日本にとって最大の目標になったはずです。ナチスの権力、アーリア民族の優秀性、ドイツの偉大さを大衆を動員してビジュアルで誇示するという格好のイベントは、リーフェンシュタールの「オリンピア」をはじめ強烈なプロパガンダの遺産として残されています。
では、日本ではどのように報道されたのか?この素晴らしい大会を記録した雑誌はかなりいろいろ出版されたようです。この『伯林オリムピツク大観』もそのうちの一冊になります。
日本の記者が取材したせいか、ナチスのマスゲームや式典よりも日本人選手の活躍の記事がおどります。屋外のトラックで陽光をあびながらの競技は、現代の「いかにも」なオリンピック競技場のキラキラ感とはまた趣きが異なりホノボノとした雰囲気です。ナチスの統率のきいた演出の絵柄を期待してたのですがちょっと肩すかし。ヒトラーもこの時だけは人種差別をグッとこらえて、すべての選手に拍手を送ったり、イギリス、アメリカの選手もドイツ選手とにこやかに記念撮影におうじたりと和やかムード。ヒトラー、大観衆、ハイルポーズのカットを除いてみると普通の「大きな体育大会」という感じすらします。
そして、この雑誌で一番気になったのは表彰台の写真…。一位になった選手が表彰台で受け取るのは金メダルではなくて「植木鉢」という事実!選手が首からメダルをさげてる図はまったく見当たりません!いやメダルの写真すら無い!(メダル授与は別にあったようですが…)
表彰台の一番高い所にのぼった名誉ある選手の手には「植木鉢」。この記事には樫の木と表記されています(柏との説もあり)。どうやらドイツの格言「樹木のようにもっと伸びよ!」に由来するそうですが。ベルリンオリンピック限定だったのでしょうか?謎です。調べてみます。
昨今のオリンピックみたいに「メダル!メダル!」と必死こいて、あげく大会後も誹謗中傷合戦を繰り広げるよりも、まずは「植木鉢」授与っていいな〜。クールダウンできそうです。

伯林
『伯林オリムピツク大観』中国新聞社発行 昭和11年10月 定価60銭
ビール
裏表紙の広告:「事実が示す一等国の一等品!この優良な四大ビール大壜各一本の栄養価は鶏卵四個、牛乳三合に匹敵す」マジで?そんなに栄養があるのか…どんどん飲もう!
水着
女子飛込の選手。胸にハーケンクロイツ水着のドイツ選手とアメリカ選手2名。
ブロンド髪のドロシイ選手はグラビアモデルさながら!仲良くパチリ。
ハイル
砲丸投げで金銀獲得したドイツ選手。植木鉢を片手にHeil!の敬礼。
孫選手
マラソンで優勝した孫選手。植木鉢を授与され壇上から降りたところを、パンツ一丁のドイツ青年たちが拍手で迎えます。…孫選手の浮かない表情は植木鉢のせいではなく、日本統治下の朝鮮半島出身で「日の丸」を胸に走るのは不本意だったからだと推測されます。ベルリンでサインをもとめらたさいに「KOREA」と書いた事で特高の監視対象になってしまったとか!ひどいね。
紋付
オリンピックの応援に乗り込んだ東京市議からヒトラー総裁へのプレゼント。
『紋付一式』!この気の利かない変な贈り物に総裁もビミョーな顔。。。。
(…「家紋」はやっぱり鷲に逆卍の第三帝国の国章を染め抜いたのでしょうか?)

オリムピック残像

先日、都立写真美術館で開催していた「第6回恵比寿映像祭」をみてきました。
朝海陽子さんの新作を観るのが一番の目的。正直いうと最近の映像作品の「尺」の長さ、そして全てが映像と想像するだけで「たぶん全部観れない。」と消極的な気持ちになってしまったのですがなかなかどうして!とても面白い展覧会でした。
パンフレットを確認したら結局は全部は観れてなかった(観たつもりだったけど!)のですが、内容的には皮肉が込められたような作品が印象にのこりました。
…極貧国アルバニアの首都ティラナの現状を政治家エディ・ラマが誇らしげに語り続ける、アンリ・サラの映像作品「Give me the colors」。投光器に照らされ暗闇に浮かぶペンキで化粧されたアパート群とまったく整備されていない水たまりだらけの街。モザイク状に塗られたケバケバしい壁は、まるで戦争中に施された防空迷彩のようです。「色彩の有効性」の持論を展開するラマ氏の口調と街の風景の違和感が容赦なく映し出されます。
…サンクトペテルブルグで、実際に起きた巨大都市開発をめぐっての市民闘争を歌劇にしたてた、シトー・ジェーラチの映像作品「The Tower」。舞台上段では政治家、司祭、ギャラリスト、芸術家(パブリック系)、企業家が権力を行使した開発の正当性を訴え、下段では詩人、市民芸術家、市民団体、労働者、ギャル、移民、革命家、老人たちが立場ごとに異を唱える。という内容。
ソチ五輪でロシアへの関心昂ってるせいか前のめり気味に観ました…。ところで作品に登場するマヤコフスキーみたいな革命詩人って今でも存在してるのでしょうか?
…タリン・ギル&ピラー・マタ・デュポンの作品。統率されたチアリーディング、一人トレーニングに勤しむボディビルダー、不健全な男子生徒と女子生徒の「盛り上がり」を同時進行で描いた「Ever Higher」と、レニ・リーフェンシュタールのナチスのプロパガンダ映画「オリンピア」のパロディ、健康的すぎて笑える「Gymnasium」。二つの作品ともスポーツという「健全」の裏側にひそむ国家権力の代理戦争的な役割や、健康優良を強要する(大袈裟にいえば…)ファシズム的な力を揶揄している作品です。「ファイヤー!ビクトリー!」と血眼に連呼する優等生女子たちに背筋が凍ると同時に笑ってしまいます。
私的に2020年、近未来TOKYO開催「ディスリンピック」を企画中なので、この作品に共感大。超統制、超健康、超スポーツ、超戦争!新暗黒時代ディストピアのオリンピア。

やたらと熱中したソチ・オリンピックも昨日で閉幕。今回は新しい競技が多くて面白かった〜。
スキーのハーフパイプとか「ストックは必要なのか?」と謎なところも楽しめました。
そして、真央ちゃんには学ぶ所がありました。想像を絶するような期待とプレッシャー。想像すらしていなかった失敗。本人も「取り返しのつかないこと」と表現するほど絶望的なショートの結果に「フリーは滑れるのだろうか?」と心配しましたが、そんな杞憂を払拭する世紀の大演技!
『失敗を返上するのは成功しかない。』そんな真央ちゃんの決意と実行に感動しました。
…真央ちゃんのプレッシャーには足下にも及びませんが、私も制作や展示で「大コケたらどうしよ〜。」という悪夢に悩まされます。どんなに心が傷ついて後悔の念に苛まれただろう…とフリーの演技中に想像して、滅多に他人事では泣かない鬼の目にも涙でした。
23歳の真央ちゃんとタツキ君、ぜひ次回の平昌オリンピックにも出場してほしいです!

消化せぬ惡思想

「武蔵美通信」というムサ美通信科の雑誌のインタヴューをうけるために昨日は人形町へ。
事前に「インスピレーションを受けた画集など持って来て下さい。」とのお達しがあったのですが、キーファーやキルヒナーの画集でひろがる話題って「こうゆう作品に影響されました。」程度かなと思い、実際に作品をつくるきっかけを得ているインスピレーションの素『古本』を持参することにしました。ビジュアル的にドッキリするほうがよかろう。国策、啓蒙、プロパガンダ満載の戦時中のドギツい雑誌をチョイスしました。写真週報、子供の科学、青年、主婦之友…等など。
あれもこれもとダンボール箱に詰めてたら結構な量に。お、重い…。
編集の人たちは、この手の本を見るのは初めてだったみたいで衝撃受けてました。だって極めつけドギツい幻の主婦之友「アメリカ人をぶち殺せ!」号もあるもんね〜!とても喜ばれましたー。
満員電車でひんしゅくを買いながら運んだ甲斐があったというものです。
…しかし、準備をするために「あの本はどこにしまったっけ?」の連続で骨が折れた。読書が苦手なくせに本の蒐集が好きという性分なので、いつか必ず読むつもりで、雑に未整理のまま箱にブチ込み所在の記憶が不鮮明…。そんな昨日のプチ家捜しの最中「どこだっけ?まあいいか。」と放置していた絵葉書がひょっこり出てきました。
それが、これ『陸軍省ポスター絵葉書』。大正12年11月10日「近年我國ノ民心漸ク浮華放縦ニ流レ軽佻詭激ノ風生スルヲ深憂アラサレシ」天皇によって「精神作興ニ関スル大詔』が下り、その精神作興の啓蒙のために陸軍省が制作したプロパガンダ絵葉書なのです。
大正12年11月というと、関東大震災直後の動乱に乗じた「甘粕事件」や思想家の不当逮捕など白色テロが横行し、「治安維持」の大義によって一段と統制が強化された時期です。取り締まりの対象である「軽佻詭激ノ風生」とは何か?日本臣民の剛健たる精神を蝕まんと狙う「悪思想」の姿が絵葉書に描かれています。…思想や言論の統制というと、戦時中のできごとのように思えますが、庶民の文化や思想に対する警戒や弾圧の歴史は思いのほか長いのです。
「万世一系」の国体を覆すような唯物論やら相互扶助論やら虚無思想が蔓延しちゃったら一大事!
なので悪い芽は早めに摘み取るべし!ということです。12枚組のうち一部を紹介します。

1號
『陸軍省ポスター繪葉書』(陸軍省版権所有)大正12年
<一號>危き選択
(白い玉には光輝ある我が国体、黒い玉に国体無視の外来思想)
通信子:昔からお家騒動は妾から
2号
<二號>消化せぬ悪食
(ヨダレかけに「日本」、お肉に「共産主義」、パンに「マルクス」水差しに「虚無思想」
酒瓶に「クロポトキン酒」)通信子:忠実に見へて危険な渡り者
3號
<三號>あぶない あぶない 憧れて酔ふて亡びゆく
(自動蝿取機「誤れる文化」、「享楽」の仕掛けの上でダンスするモボとモガ。)
通信子:羅馬(ローマ)の亡びたる一日にあらず
5號
<五號>過激思想の果て 子は親を 妻は夫を食らへり
(包丁をもった妻と夫の腐乱死体。死体に食らいつく子供達)
通信子:行詰り 野獣と共産主義を取る。
…貧すれば鈍するといった所でしょうか?貧者の選択する共産主義はケダモノの道であると警告。
グロテスクで稚拙な表現で「悪思想」への恐怖心を煽ります。統制すべき退廃文化よりも退廃!

42(死に)いいね!

2月19日。今日は連合赤軍があさま山荘に立て籠ったその日から42年。その日が私の誕生日。
もういいかげん誕生日など庭に穴を掘って埋めてやりたい!総括するか?
…正直、こんなに長生きすると思わなかった。小中学校と「健康不良少女」で夭折ロマンを胸に抱いていたので、自分の中年姿など想像だにしておりませんでした…。中学時代は校門をくぐれば「幽霊のくせに学校に来るんじゃねーよ!」と罵声を浴び、心のうちでは「お前らみたいな群羊と同じ空気は吸いたくない!ああ高原のサナトリウムに入所したい。」と叫びつつ勿論サナトリウムなど行けるわけでもなくサボタージュ。ふとんのなかでエドガー・アラン・ポオなど読みながら、小説に登場する死美人のディティールをひとつひとつ想像したりして日がな一日過ごしてました。
ただの自意識過剰なデカダン中学生。好きな言葉は「頽廃」「堕天使」「世紀末」笑!
義務教育おわってみれば三分の一ぐらいしか出席してなかった。今になって基礎学力の無さが骨身に沁みます。オール1のツケは大きい。…みんな学校には行った方がいいよ!一応ね。
高校は定時制に入学し、生活リズムが体調に合いみるみる元気に!いまでも夜型。そして作家活動をはじめてからは〆切や、展示の準備やらで社会的責任(?)の意識が芽生えたせいか、少しの事ではメゲないようになりました。よかったです。
しかし村山槐多や田中恭吉のような「夭折ロマン」は遠くなり(佳作を残さなければただの早死に)ジタバタと作家活動あがいているうちに早42歳。ランボーは37歳、萩原恭次郎は40歳、尾形亀之助は41歳で亡くなり、気づいたら自分の方が長生き。中途半端にとうが立ってしまったので、あとは「画狂老人」の道しかないか〜?天賦の才があっての話ですが…。
とにかく、いつ死ぬかはわからない。いつ死んでもいいように死ぬまで元気にがんばろう!

ピーポ
「警視庁略年表」にものってま〜す!My バースデイ☆
窓外
死ぬまで元気に!ひゃっほ〜い!
本家「窓外の化粧(部分)」古賀春江

 

プロレタリア・リアリズム

先日の都知事選をめぐって風間家B型グループで亀裂が発生。血液型0型のノンポリティカルグループの母と妹。そしてB型で左傾の父と兄と私。血液型占いなんてナンセンスですが、こうしてみると何か性質的な傾向があるのでは?とおもってしまうほどウチでは顕著です。
父からは「細川護煕に絶対投票して!周りの人にも投票するようにお願いして。」という電話が。
「これからは公安にツケられるようになるよ。」とプレッシャーかけられるし!…親とはいえ、こうやって指図してくるのが一番腹が立つし、そもそもこのローラー作戦を指揮してるのは、父が学生時代からツルんでる活動グループだろう。わたしもそう簡単にアジられるわけにはいかない!
兄はツイッターの人なので、たぶん細川支持の発信元も想像できる…。「打倒安倍」でポピュリズムに対抗するには同じく大衆煽動型の政治家(小泉さん)が有効だとふんだのかな?
とにかく選挙後も「バカ、おまえはわかってない!」と父。わたしも「投票数が結果。読み間違えたのはどっちだよ!」と応酬のこぜりあい。左翼はとかくセクト間抗争、内ゲバで自滅するという運命をここでも断切ることはできないのでした。
(…昨日のニュースで勝者、舛添さんのしたたかさには笑った!「憲法改正」と息巻いてる安倍を尻目に「憲法改正を政府主導でおこなうのは間違い」という内容の本出版と発言。飼い犬に噛まれるとはこのこと。いや、舛添さんは齧歯目っぽいけど。選挙に利用されたかたちの自民党は今になって臍を噛んでも時すでに遅し。ネズミのような前歯で安倍チーズにもっと噛み付いて!)

左翼のセクト間抗争の果ての組織のモロさは戦前からの歴史です。ロシア革命の熱気は日本にも飛び火し、マルクス、レーニンの思想が大ブームになった昭和初期。大正11年ごろから勃発したアナボル論争も多くのアナキストの転向によって、ほぼプロレタリアートに集約されました。
でもって、わたしの大好きなマヴォイスト達からも転向者続出!アナーキー非合理芸術やめて思想丸出し宣伝家に早変わり…村山知義も柳瀬正夢もプロレタリア本の表紙をロシア風労働者で飾ります。ブルジョア支配への反旗も、結局は没個性的な社会主義ビジュアル(ロシア・アヴァンギャルドのような高揚感も無く)におさまってしまったのが残念!漫画はノイエ・ザッハリヒカイト風。

プロレタリア芸術組織の内部抗争については先に『文芸戦線』の項目で書きましたが、今日紹介する『プロレタリア美術集』という画集の末尾には、岡本唐貴によってセクト抗争の経緯が事細かに記されています。攻撃的、粘着質な一面があるので面倒くさいな、と正直感じます。たぶんこういう気質の人が集まるので直ぐに抗争が勃発するのでしょう。一部抜粋…。ー『未来派芸術協会』『マボー』『D・S・D』の一部と合同して『三科会』を形成し、急進的な反アカデミーの旗の下に猛烈な運動を開始し、社会主義的要素、虚無的無政府的要素、形式主義的要素等の混成隊として、尖鋭な芸術闘争を開始した。だが明確な階級的根拠のない、いわば階級脱落者的なこの美術運動は、末期的な不健康性の故に、明治以来初めての元気な急進的美術運動であったにもかかわらず解体。ーとこの調子で延々と批判します。結論はブルジョア美術にたいする闘争の無い美術を全否定なんですが、このブルジョア、小ブルと敵対視する対象の多いこと!そして肯定される数少ない「美術」がこの本で紹介されているプロレタリア美術です。どんなに素晴らしいかって?見てビックリ。これか〜とガックリすること請け合いです!
プロ美
「日本プロレタリア美術集」1931年 日本プロレタリア美術家同盟編(内外社版)
音
「音」 矢部友衛
特高の気配に息をひそめる瞬間。
電気労働者
「電気労働者」 市村三男三
早く行つといで
「早く行つといで」 橋浦泰雄
労働者の家庭。病身の妻とビラを持つ子供が怖い…。これがプロレタリア・リアリズム。

 

BEATとHIP

「ビートになるか、ヒップになるか」…これは1968年に発行された北田玲一郎の著『乞食学(ビートロジー)入門』で提示された選択肢。さて、どっちになるか?
冒頭から、ビートとは?ヒップとは?その言葉すら意味が分かりません。なんら説明もなく、様々な考察をブっとばしてくるのがこの本の特徴。ビート=乞食と北田式に訳されてますが、これはアメリカ・ビートニク(筆者曰く隠者)に対して日本のビート族(哲学乞食)を意味してます。
では、「ヒップ」って何か?北田式にはヒップ=暴力団なのですが、たぶんヒップスターなのかな〜と察しつつ、いかんせんヒップスターと暴力団が結びつきません…。ヒップになるか、のヒップとはチンピラ、ヤクザ、ゴロツキのことです。むしろギャングスタ?黒縁メガネのクールなオシャレさんとは程遠いTheヤクザ。60年代にはヒップで通じる違う意味があったのかもしれませんね…。  タイトルは「入門」とまるで指南書のようでありますが、けしてヒッピーやフーテンを奨励してる訳でなく、空虚な時代を漂う若者の生態を観察し考察するのが本題なのです。この北田さん自身「タムタム芸術集団」を主催し芸術家(?)のたまり場を運営したりしてるのですが、ご本人はちゃんとカタギの暮らしをしてるので、観察対象のロクデナシ(私にはそう見える)との距離感が面白いです。
敗戦後の日本を反社会的な暴力行為で生き抜いてきた暴力団の「カツアゲ精神」vs 無銭飲食、無賃乗車、「旦那」からの貰い物で「自由」を実践する哲学乞食の「もらいもの精神」。ブタ箱行きへの薄氷を踏みながら狩猟的に生きるヒップと、虚無的、退廃的な世界観で絶対働かねぇ強い意志をつらぬくビート。反社会性と永久ストライキ実行という共通項以外は対立軸で語られる両者。
決定的な違いは、ヒップは極貧プロレタリアート出のしたたかさを生まれ持ってるが、ビートは中産階級家庭で育った受け身の弱さがある。というころらしい…。私はどっちもイヤですが。
…北田さんはビート族のなかから逸材「江良ビート」を見いだし密着取材をこころみます。取材のために旦那=タカりの対象になった北田さんと、取材をエサに巧妙にタカる江良ビートの「日本ビート大会」をめざす珍道中。哲学乞食=ビートの生態が道中明らかになってゆきます。
無賃乗車のテクニック、エピゴーネン(ビート模倣者、信奉者)を旦那にする方法、あえて無銭飲食して通報され「国立ユースホステル」警察の留置所を宿にすること、冬には「精神異常者」を演じて…キルケゴール仕込みのペシミズムの極北の芝居で精神病院(ビート語でいう〝白夜″の瞑想に耽り〝スイング″するには良い場所)で越冬。そして凮月堂やブルーノート、当時のゴーゴー喫茶では「天使」=ビートファンの女の子を「共有」!!
順応主義社会に背を向けた生き方に、そこはかとない逞しさやロマンを感じた北田先生も、このカタギの労働の上澄みをかすめ取るビートに次第に苛立ってきます。そりゃそうです。最大の目的だった「日本ビート大会」も江良ビートの勘違いか、計画的なミスか開催日を間違えて見れず!
しかも自分の失敗にもめげず「千円」を最後までねだる江良ビート。旦那になるまいと頑張った北田先生も、このしつこさに敗北。乞食=ビート生活3年生も伊達じゃない。
…で、その後江良ビートはどうなったか、という後日談はシラケました。就職して結婚!あんなに「ビートの姿を労働者に見せつける事で、労働が神聖という欺瞞を暴く」と鼻息が荒かったのにね。順応主義への反逆にも限界があると…。
北田先生の考察『乞食(ビート)ーこりゃいったいなんだろう。あんがい、戦後世代のこずるい、こざかしい、トッチャン小僧の青年たちがかんがえだした徹底的な利己主義(エゴイズム)の保身の術ではないのか。小市民(マイホーム)主義者後青年の思想発想と枝葉はちがっても、おなじ幹からでたものではないのか?一方が猫の額ほどの庭つき小住宅とマイカーのなかに閉塞するとすれば、一方はズタ袋と寝袋の座禅のなかに閉塞してこと足れりとするのではないか?』…..結局のところ、「おなじ幹」中産階級、プチブルから発生した枝葉は「スタイル」「雛形」に収まることで安息=閉塞の住処を得ることに帰結するわけです。どの雛形に落とし込むか?江良ビートが「乞食」から「小市民」へと、いとも簡単に転向したように境界は隔たっていそうで近い。プチブル土壌から発生した革命の、一瞬のキラメキを体現した江良ビートの顛末…。

ビートジェネレーション、アングリーヤングメンの波が、この日本ビート発生の起源のようですが、
ギンズバーグもスナイダーもバロウズも読んだことが無いので、今イチ背景がつかみずらかったです…。こういう本を読むと、戦前偏重の嗜好(自称・平成のアバンゲール)のせいで戦後の勉強が足らないことを痛切に感じます。恥ずかしながら坂口安吾も未読!だめだねー。
戦後日本=輝かしい復興という誇らしい図式の陰にかくれた風俗や犯罪に興味がわいてきました。
アプレゲールにあっきれげ〜る(こんなダジャレがあったような…)そんな事が知りたいです!

…この「乞食学入門」で、太平洋戦争の敗戦の要因を、首謀者「日本ヒップ」帝国陸海軍幹部が「暴力」は最終的に「金」に負ける法則に気づかずに開戦したこと(すぐジリ貧)と、日本ヒップの根底にある葉隠れの精神やヤマトダマシイが、真のヒップとして突き抜ける障害になっている。などなど独自の持論を展開しているところが興味深いです。(北田さんは軍事教練を受けた世代)
まだ60年代〜70年代には戦中派と「戦争を知らない子供たち」が混在し、いろんな世代で戦争を総括してたのかも…。空想的な民族主義、日本主義、国粋主義が亡霊のように浮遊し憑衣する今よりずっとマシな時代でした。

era
江良(阿部)ビート「一億総ルンペン化…これ、ぼくの革命観。」
永久ストライキ実現ならず…。

ビートvsヒップ
ビートになるか?ヒップになるか?…どっちも嫌だな。ていうか男しかなれないし。
(ウーマンリブを蹴散らす徹底した男性中心観点!タムタムイズム)

冷や飯よ燃えろ!

逢魔が時の路上にて擦違いざまに「舛添が当選したらサッちゃんみたいな人は公安に尾行られるようになるよ。」と父から細川に投票せよの圧力をうけたのが数日前。え〜ヤダ怖いっ!私ってそんなマークされちゃう対象?でもモリヒロには投票したくないしー。
鎌田慧さんの呼びかけも空しく反原発候補の統一は実現せず、じゃあどちらに入れる?となったら宇都宮さんに決まってる。数年前に「闇金バスター弁護士」としての活躍をテレビで観たことがある。コワモテの闇金業者相手に怯まず、法律を武器に冷静な口調で立ち向かう勇姿!もう悪徳サラ金業者も「宇都宮」の名を聞いただけでスゴスゴと引き下がるほど。…一方の細川さんは、不名誉なかたちで総理の座から降りてからは自ら「世俗」を断ち、趣味の世界に逃避した斜陽族。
選挙カーの上から「こんなに車に乗った事は今までありません!寒いのにダウンを着て頑張ってます!」…他の候補は寒空でも背広姿で頑張ってるよ。やっぱり発言からして浮世離れしてる。
パタゴニアのダウンに緑色のストールとか市民感覚に取り入るファッションが逆にロハスな感じ。小泉トリックスターの威光も今は昔ということか。本人が立候補して「脱原発」の本気度を見せるべきだったのでは?敗因はマスコミのせいだけでは無いような…。
報道ステーションでは田母神の「福島の危険区域は、本当は住めるぐらい安全」という妄言に対して宇都宮さんは的確な異を唱えたのに、細川さんはノーリアクション。だめじゃん。
それにしても、NHKは選挙の報道が少なかったな。ニュース9なんか北方領土の日には返還運動のアニメ映画を長々と流すし、オリンピック関連で国威発揚スポーツコーナーを拡大。NHKはもはや安倍ちゃんねる。しかも偏重報道はこれだけじゃない!
…シリーズ『金メダルへの挑戦/日本フィギュア男子』というオリンピック関連番組。番組に登場したのは高橋選手と羽生選手の二人だけ…あれ?男子フィギュアに出場するのは三人なはず…。
そう町田選手がはずされてる!何故だ〜!町田選手は金メダル候補でないってことか?人気者だけで番組構成出来ればそれで良しって感じかね〜〜憤怒!!!そして激怒!!! テレビ非情!
今日のフィギュア団体の男子フリー。プルシェンコ演技後の熱気さめやらぬ中、町田選手は若干のミスはあったものの堂々と演じきった!力強いぞ。(結果は3位…。)
「個人戦では、僕自身のプログラムにたいする純粋な愛を表現し、皆様にお届けします。」
…素敵よ!タツキ君!冷や飯を食わされても表現者の熱い熱い燃えるLOVEを見せつけろ!!!

雪中行軍

…雪は降る〜あなたは来ない〜♪とアダモの甘い歌声のような雪ではなかった今日の雪。
エーグルの長靴装備で挑みましたが、横に吹きすさぶ雪で黒いコートは瞬殺で真っ白です。気分は八甲田山!…台風の時は川を見に行きたいし、火事が起きたら駆けつけたい不謹慎な野次馬野郎なので、ニュースで「不要の外出は避けて下さい」などと言われたら余計に出掛けたくなるのが生来の悪いサガ。
それに大事な用事だった訳で…。神保町の東京古書会館にて「窓展」です!赤いドリルさんで注文した「土呂久鉱毒」に関する本を受け取りました。すごい久しぶりの東京古書会館。学生のときにバイトしたのは20年前だったかな?「窓展」はさすが神田、落ち着いた趣きです。ちゃんと本が棚に並んでる(笑)。五反田のカオス感はないですね、個人的には五反田派!…でも次回の作品「ディスリンピック」用の体操資料も入手できたし満足です。大雪も満喫出来た。
そして、今日のもう一つの目的は、ソチ冬期オリンピックの開幕式で使用されてたスヴィリードフの『時よ前進!』のCDを探すこと!ロシアの歴史を回顧するパフォーマンスのなかで、ロシア革命とロシア・アヴァンギャルド(構成主義のデザイン力は世界最強!キリル文字万歳)を再現したパートで流れてたのですが「えっ?何この曲!超かっこいいー!」と一聴き惚れしたので即検索しました。ヤフオクで一枚発見しましたが、もう倍の値段に高騰してました。一縷の望みで神保町のユニオンに行ってみたけど、この作曲家は日本ではマイナーのようです。クラッシックに詳しそうな店員さんも「はて、そんな作曲家いたかな?」という表情。在庫もゼロ。『時よ前進!』はオリンピックの熱りが冷めてから探そうかな…う〜ん欲しい。
…これ何か聞き覚えがあるな〜思ったら、ヤプーズの『VIP〜ロシアよりYをこめて〜』のイントロに似ていることに気づいた。参考にしたのでしょうか?この曲も大好きです!

私が予想してた最終聖火ランナーは(1)プーチン。褌一丁、男性美むきだしのプーチンが天翔る巨大トラにまたがって聖火台まで飛翔ファイヤー!(2)アンナ・チャップマン。…CIA vs 聖火ランナー・スノーデン氏の追いつ追われつのデッドヒート!空からヘリで美人スパイ・アンナ登場(ボンドガール風)スノーデンの投げた聖火をアンナがキャッチ、そしてヘリから着火!

…本番の聖火の点火は案外ふつうでしたねー。冒頭の偉人紹介の映像は良かった。20世紀初頭の芸術家あの人もこの人もロシア人!やっぱりすごいねっ。

ダダダイズム
Yapoos 『Dadada ism:』1992年(東芝EMI)
…主な先進諸国のバッシングなど序の口!放射能汚染無効!自然淘汰もふたりにゃ無縁!…
『VIP〜ロシアよりYをこめて〜』戸川純 作詞、革命チックなラブソングда!да!да—!
野球発祥の地
学士会館『日本野球発祥の地』モニュメント
ボールが地球になってたようですが古色を帯びて不鮮明です。読売本社の駅伝の像と同じ制作者。
寒い〜〜。立ち止まってるとすぐ雪まみれ。神保町駅A9出口すぐ正面です!

 

 

暗黒日記

カットが掲載された読売の朝刊が届いた。今回のテーマは「感情的世論の高まり×清沢洌」です。
この「時事×思想」の仕事していて良い事は、いままで関心のなかった思想家や文化人などを知ることができる事です。清沢洌も今回のお題ではじめて知りました。清沢洌は戦前から戦時中にかけて活躍したジャーナリスト、外交評論家で、自由主義的な言論活動を堅持し、均衡のとれた客観的で合理主義的な国際協調を訴えた人物です。
このカットを描くのにあたって清沢洌をザックリ検索したところ(もっと綿密に勉強しなければいけないのですが…。)代表作の『暗黒日記』という著書を知りました。このグッとくる題名!この著書の素晴らしさが直感で伝わるタイトルの力強さです!
太平洋戦争突入1年後の1942年から終戦直前の1945年(清沢は終戦の3ヶ月前の5月に急死)までの間、戦時下の報道の偏重、国民の無知、官僚悪、政治の愚かさ等を冷徹な観察眼でつぶさに記録した日記です。部分的にしか読んでませんが、新聞の切り抜きなどをはさみ客観的な資料としても大変貴重な書物だとおもいました。
…都知事選も近づいてきましたが、反原発候補も統一不可能なまま与党推薦候補の舛添さんが当選確実。NHK経営委員の暴言も野放し、ウヨ系ルサンチマンを利用した世論形成で冗談でなく新暗黒時代の予感…。今後もし新しい暗黒時代が到来しても冷徹に観察し続けることが出来るだろうか?『新暗黒日記』など無用の時代であってほしいものです。

清沢洌
2月3日 読売新聞(朝刊)
人外交差点のモチーフ転用しました…。

乞食学の入り口

今、わたしは乞食学の入り口に立ったのだ。…五反田で発見した雑誌「総合芸術」TAM-TAM芸術集団の代表、北田玲一郎氏の著書『乞食学(ビートロジー)入門』を手に入れたからである!
当時(1968年)の若者に支持されて人気のあるメジャーな本だったようですが、古書検索してみるとなかなかのレア本。青春の黒歴史として廃棄してしまう人が多いのか?折よくヤフオクで即決できたので即落札です!でもって、さっき届いたばかりなので序文ぐらいしか読んでません。まさに今、乞食学の入り口に立ったという訳です。
「乞食主義は、マルクス・レーニン主義を蹴落とすだろう。コミュニズムは、資本主義は、労働者の搾取によってなりたつゆえに、搾取なき経済社会ープロレタリアート独裁のための闘争を教示した。このかんたんな理論は、すでに小学生でもしっている周知の常識となった。ところで、このマルクス・レーニン主義が社会の常識となったということは、ぎゃくにいえばイデオロギーが、革命的魔力を失ったというこのなのである。」革命的魔力の死!デス。社会主義の描いたユートピアなき後の乞食学=ビートロジー。労働絶対拒絶!
この本が出版された頃、マルクスボーイで60年安保闘争でワッショイしてた私の父は、革命の夢から覚めてサラリーマンになった。革命的魔力の喪失でサラリーマンに転向した人間もいれば、日本のビートニクになった人間もいたのですね。お父さんが風間ビートになってたら私はこの世に生まれてなかったかも?お父さん、カタギになってくれて有難う〜!
…尾形亀之助の『無形国へ』、萩原朔太郎が辻潤に贈った跋文『低人教』は、後ろ向きな反体制テキストとして深く胸にささる文章です。何もしない、経済社会に貢献しない、あえてルンペン的に暮らす…。ビートロジーはこれらより更にラディカルですが共通するものを感じます。
これからじっくり読み進めて乞食学とは何なのか探ってみたいです。

ビートロジー
『乞食学(ビートロジー)入門』北田玲一郎 ノーベル書房 1968年6月1日初版
(江良ビート(偽名)こと阿部ビートの尊影が扉になってます!)