日別アーカイブ: 2014年6月7日

フェアリーテール

ウィキペディアって便利ですよね〜私もほぼ毎日「辞書」のように利用しています。図書館通いが資料探しの手段だった頃からくらべたら、検索ワードひとつで先ずは基本情報が得られるのだから本当に楽になりました。しかし、この便利なウィキも所詮は「書き込み」が情報源で、しっかりとした検証がなされていないという事をともすると忘れがちです。
先日「そういえば内藤良一って何年生まれなんだろう?」と知りたくなり例の如くウィキペディアに飛んだところ・・・「はぁ?なんじゃこりゃ!」もう酷いの一語です。内藤良一といえば戦争犯罪に関心がある人には731部隊の中心人物であることは周知の事実ですよね。それがこんな風に書いてあったんです「帝国陸軍軍医として活躍。731部隊と関係がないにも関わらず、戦時中731部隊に配属されていたというデマをばら撒かれ、創業した会社のカツアゲに利用される。」…これは無い。こんな下品で幼稚な文章なので、明らかに「信憑性に欠いてるな」ということが分かるのが唯一の救いではあるが…。懐疑心のない素直な学生がこれを鵜呑みにしてしまうと思うとやはり恐ろしい。
ついでに「731部隊」でググると「731部隊 ウソ」「731部隊 捏造」の順で関連ワードが出て来ます。それだけネット上で731に対する史観が偏重しているということ。他にも南京大虐殺や関東大震災後の在日虐殺に関する情報もこの傾向です。いわゆる自虐史観というやつですね。ネットでの史実改竄も世の中のボンヤリとした愛国心ムードが許し、こうやって改竄が重ねられることで何が本当なのか全く見えなくなって来る…。731といえば、私の身近に戦時中は部隊の経理にかかわり、戦後は住友鉱山の代表取締役にまでなったという興味深い人物がいたのですが、会った当初から痴呆が進行して喋れず、言葉は悪いが「秘密は墓場まで」連れて亡くなってしまいました。医療犯罪のこと、細菌兵器のこと、そしてなぜ戦後に「土呂久鉱山」を住友鉱山が買収したのか!(私はベトナム戦争での毒ガス需要を見越してヒ素鉱山を買ったのだと推測している)本当に訊いてみたいことが沢山あったのに残念!いや、絶対に教えてくれるはず無いが。
こうやって事実を語るべき人物は、自分の都合で秘密を墓場まで連れて行く。そして脆弱で曖昧な「歴史」は時代のムードで簡単に仕立て直される、とんでもない事だけど日本はそれが許される国だからしょうがない。そして安倍はこの愛国ストリームにうまいこと乗ってるというわけ。
憤懣遣る方無し!もう、こうなったら我等のような野良スパイは、鍛え上げた嗅覚で古本の山の中から隠された歴史の「しっぽ」を探すまでだ!巷に漂う捏造のフェアリーテールに幻惑されないためにも!

noborito
『ノボリトデトリック』2005年制作(カナリア・ガイガーカウンターより)
ABC兵器と日本をテーマした個展で展示した作品です。戦時中、秘密兵器の開発拠点だった「登戸研究所」とアメリカの「フォート・デトリック」の施設が同じ敷地に建っている…という分かりづらい絵。戦後、731部隊、516部隊、登戸などの研究資料をまるまる譲渡する事を条件に、アメリカはこれらの戦争犯罪を「免責」したそうです。