日別アーカイブ: 2014年6月15日

青い純血

NHKのワールドカップテーマ曲、椎名林檎さんの『NIPPON』の歌詞が右翼的なのではと取沙汰されてるようですね。私もさっそく聴いてみましたが、これはスポーツの国際試合を、ナショナリスティックな陶酔と高揚で応援する日本国民の姿を写し取った作品として良いんじゃないの?と思いました。平和の祭典オリンピックしかり、スポーツとナショナリズムの切っても切れない関係を、在ってそこに無いもののように多分に振る舞っている世間なので、敢えて民族主義を喚起するような表現は、それを顕在化する意味でよろしいのではないでしょうか。

またこの曲では「今日までハレとケの往来に 蓄えた財産をさあ使うとき」と日本経済を支える中産階級のみなさんが成人式の振り袖を買うため、一生の想い出になる結婚式を挙げるため、4年に一度のワールドカップ観戦するために、日々流す労働の汗水が「最高のハレの実現」そこに注がれているということが歌われています。自らを社畜と虐しながら、耐え難きを耐え、忍び難きを忍び「ハレ」を夢見ながら健気に「ケ」の日常をすごしている、日本人ってそんな民族だよ、と。
「噫また不意に接近している淡い死の匂いで 」という詞の「死」の一語に対しては「TPOをわきまえてない」と批判されてるが、これは間違っています。ここで「死」というケガレを投入したのは「ハレ」と「ケ」の概念関係に「ケガレ」を加味するべきか否か?椎名林檎さんはこの問題が未だ決着していないことを示唆してるはず!この闘いもまだ諦めないでガンバレNIPPON!(あ、こんな事を書いてるうちにコートジボワール戦敗北)
右翼的表現で私がまず思いおこすのはYAPOOSの戸川純作詞『君の代』という曲です。「真白い布に鮮血のいろ たなびく国のひとりのおのこ 昭和も遠くなりにけりされど 金色のオーラ放ちてやまむ…変わらぬ慈愛 君、我が愛よ」ラブフォーエバーを「君」に対する敬愛の念に準えた歌ですが、右翼的というのならこれぐらい潔く清々しく!…「混じり気が無い」もう混じってるから何を言ってもしょうがない、サムライブルーもシアン100%ではないですし。

「君」といえば、アライ=ヒロユキさん著「天皇アート論」という本が7月に出版予定です。昨日はその触りの紹介、予告編の講演がありました。「天皇」という取り扱い注意な題材とアートはどのように関わってきたかを、アライさんが長年培ってきた知識に基づき、公平な視点で論じた客観的なテキストになっているようです。紹介された絵画作品の中には、象徴天皇が文字通りシンボライズなモチーフとして落とし込みやすい点で「天皇」表現の奥行きの浅さを感じるものもあり、そこが課題だと感じました。アート問題以前の歴史的な考証もされているのでとても興味深いです。

jinm
『アーマード・ジンム』2005年制作(五月人形の神武天皇にラバーで作ったガスマスクを装着)
長崎の「語り部」被爆者が修学旅行生に「死に損ない」と暴言を浴びた件で、某竹田氏が「ニセ被爆者、反日活動をやめろ」の旨をツイッターで呟いたそうですが、その前に自虐ファミリーヒストリー(731)の検証をしてほしいですね。