日別アーカイブ: 2018年5月6日

解説コーナー(2)

説明すればするほど更に理解が遠のく巨大版画『ディスリンピック2680』の解説第二弾!

(以下会場解説より)
「ディスリンピック2680」は優生思想によって統制されたとある国のとある都市=ディスリンピアにて、近未来2680年(西暦2020年)に開催予定の国際体育大会である。今作ではその民族の祭典ディスリンピックの開幕式典の様子が描かれている。
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●トラックとフィールド
このトラックとフィールドは、大きく3つに分別されたチームによって式典のパフォーマンスが行われている。左側は知力体力に長けた青年たちの『甲チーム』、中央は性別的に二番手である乙女の集団『乙チーム』、右側は優生学的に排除の対象になった者たちの『丙丁戊チーム』

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『甲チーム』
優秀な人材として育成された彼らであるが、ディスリンピック建設奉仕決死隊の学徒として出陣するところだ。健康も知力も優れた青年が犬死させられる不合理と矛盾!この光景は、1943年の神宮外苑、国立競技場における出陣学徒壮行会の隊列と、ナチス党大会の記録映画『意志の勝利』の作中に見た、ツェッペリン広場にスコップを掲げて集合する国家労働奉仕団の大隊列を参考にして描いた。

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『乙チーム』
二六八〇の人文字マスゲームを演じている彼女たちは、国家の構成員として中庸の心構えと従順さを持つ優秀な分子である(その証拠に分子模型のようなプロポーションをしている)。規則正しい肉体鍛錬により、国家の未来を担う「母性の保護」に勤しむことを誓う巨大モニュメント『ディスリンポス山』には煉獄のごとき(変な体操の)修行によって心身をステージアップさせ、山頂の地上の楽園=民族の花園を目指す少女たちの彫刻が見える。民族の花園には国際優生学学会、ユージェニクスのシンボルツリーがそびえ立ち、民族浄化と国民の健全を祝福している。

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『丙丁戊チーム』
戦前に制定された国民優生法、そして戦後の優生保護法にある「断種」対象の人たち(どんな障害のある人か)を具体的に描くことが大変に苦しく難しいので、遠回しに徴兵検査の劣等に該当する「丙丁戊」の漢字で表現したことをお許しいただきたい。
ここではまだ基礎工事が行われている。セメント鉱山から製造された生コンクリートで打設工事の最中であるが、健全な世界への立ち入りの禁じられた(出生前の)魂が高架橋からブルドーザーによって押し出され、地上では選別機がフルイにかける作業をしている。これら大量の排除された魂たちは、橋脚の足元に掘られた巨大な穴に生コンとともに流し込まれ埋められる。この競技場と大会開催の無事を祈願する『人柱』としてディスリンポスの神々に捧げられるのである。

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人気No.1キャラ「くちマスク」登場!
前列3名(ならず者風)男達も推しメン。