日別アーカイブ: 2018年5月22日

宝石を食うもの

W.B.イエィツの散文詩『宝石を食うもの』作中の主人公は、漆黒の大坑の壁に並んだ無数の猿たちが、掌に大盛りに盛った宝石をガツガツと飽きることなく食い続ける光景を白昼夢に見たという。これはケルト民族の地獄、己自身の地獄、そして芸術士の地獄で、美と奇異を渇望し、貪った果てに「平和と形状」を喪失し「無形と平俗」に堕する未来の予知だという。
版木をガツガツ彫る地獄のさなか、この詩に描かれた不気味な幻影が頭に住み着き困った。「無形と平俗」に堕する!なんという芸術士の地獄よ!
そして昨夜、何気なく目に入った『絵画者はゾンビになってネオ・アナクロニズムの彼方へ』この一行に恐れを抱く。偽悪醜アナクロの志士が現代美術のゾンビに…。ネオ・アナクロニズムというのは希望の新天地なのか?はたまた地獄か?この中村宏先生の言葉は今後解読しようと思う。

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これは明治時代の理科教科書を切貼りした自作コラージュ