月別アーカイブ: 2018年6月

埼玉のツバクロ

旅のつばくろ淋しかないか?おれもさみしいサーカスぐらし…と淋しいさみしいといった細やかな情緒は麻痺し、暑いという感覚のみが体を支配する埼玉の暑さよ!タクシー運転手さんの話では正午の気温35℃だという。そんな猛暑の中でも丸木美術館の(いちおう)最寄駅である森林公園駅駅舎では、ツバメ達がビュンビュン飛行しながら子育ての真っ最中。二十日前はまだ巣で抱卵してたお母さんが、今日は親指ほどの頭にホワホワの毛の生えた可愛い赤ちゃんツバメに給餌で大忙しで、何か虫のようなものをせっせと運んでいる。
夏を追いかけて北半球広域を旅するツバメほどの長旅をしない私だが、この2ヶ月間、ちょっと遠い北関東埼玉県中部
を東武東上線でたびたび往復した。その目的である「ディスリンピア2680」展も7月8日で終了となる。ツバメの巣立ちを確認する前に、私の興行は東松山市を後にする。東松山よさらば!(あと8日)

(森林公園駅のツバクロ)
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駅構内に多数営巣するツバメ達は手厚く保護され歓迎されている。
なので可愛いホワホワ雛を間近に見物ができる。

詩人の死

昨日6月27日は詩人の石川善助の命日で、正確にいうと行方不明になった日である。1932年のこの夜、石川善助は酒亭・白蛾にて知人と飲み会をしたあと、一人で帰宅途中に雨で増水した側溝に転落。もともと足が不自由なところにお酒が回り、自力で這い上がることができなかったのであろう、と言われている。行方が分からなくなってから七日後、下水道で水死体が発見され詩人仲間に衝撃を与えた。享年32歳の若さだった。
石川善助の書いた北海の漁場風景を硬質な言葉で綴った詩には、鉱物や化学物質の名詞が多く登場する。でもなんだかそれが、ちょっと背伸びをして頑張ってるように見えて私はあまり好きではない。それよりも詩人仲間の尾形亀之助が書いた追悼文『石川善助に』が好きで、これは普段の善助の姿をスケッチしただけの淡々とした文章なのだが、その観察眼が友人に対する愛着を浮き彫りにし、泣けてくる。(生前に一冊の詩集も出せなかった一人の詩人の後姿を思い出す、梅雨らしくない風が強くて暑い夜です)

〈詩集・亜寒帯〉
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没後5年に逸見猶吉、草野心平、宍戸儀一らの有志によって刊行された。

(最後の詩に)
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子供、おまえのいであはいつも壊され、
にがい退屈のなかに坐って、一日悲しく泣くであろう…
(何物も生ずることも滅することも無いのだ。無生とは何ぞ?)

ディスリンピア奉祝曲

先日予告したとおり、丸木美術館に於ける『ディスリンピア2680奉祝曲・序曲』発表会は、無事決行され成功裡に終了!リヒャルト・シットマウスこと安冨歩教授による作曲『〜2680奉祝曲・序曲』は、「ストラヴィンスキー・春の祭典を想起させる野蛮な祝祭感を」という私の要望を汲んで頂き、奉祝式典の雅さをベースに、生贄儀式の血なまぐさい興奮に転じていくような禍々しい典礼の曲となりました。来るべき未来でもあり過去。祝福し且つ呪う。ディスリンピア黙示録の到来を告げる第一のラッパとして相応しい旋律と騒音!(数少ない)参加者の皆様ありがとうございました。残念ながら聴けなかった諸君には今後ユーチューブでみれる機会がある(かも?)乞うご期待!

〈みんなで歌おう〉
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『ディスリンポスの歌』作詞:風間サチコ
私が作詞した国民歌謡を、会場にて共同作曲し列席者一同で斉唱す。
高校野球の歌のように、青少年の心を鼓舞するマーチングソングに仕上がった。(ワンダーフォーゲルのお供にもお薦め)

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トランペットの乙女に用意されたスコア
イントナルモーリみたいなスピーカーは片岡祐介さん作で、ダンボールの外見とは裏腹に高音質!

☆丸木美術館《ディスリンピア2680展》〜7月8日迄
会期は残すところあと11日です(埼玉県は暑いけど)是非ご高覧くださいませ〜

味噌汁は激励する

「ホラを吹きならせ!バラボンを打ちならせ!」セネガルの若き猛虎たちの国歌斉唱が青い芝にこだまする。本日の好ゲームのように爽やかな快晴に、今週中に梅雨明けとの予報を聞くも、梅雨に入ってから私のハラは不調が続き、こちとらのハラの不調は梅雨前線とともに去るという予測はできない。

「トランペットを吹きならせ!」ディスリンピック開幕を記念する「序曲」の発表は、丸木美術館・ディスリンピア2680会場にて、予告通り明日26日午後に実行される予定!詳細な時間は不明で、凡そ2時過ぎではないかと予測されます(大雑把な情報ですみません…)興味のある方はぜひ〜

(豆腐サポの声援は種と国境を越える
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味噌汁の豆腐に浮かぶ激励の笑顔「がんばれカザマランド!」

ディフェンス

(本日は敗北)レプリカントのようなアイスランド選手の統制のとれた守備。そしてこれは、そのディフェンスにも劣らない鉄壁の防御を見せる自動販売機の姿だ。木材と有刺鉄線で作られた頭頂部バリケードの仕様は、戦場のそれと変わらない。この狭いスペースを防御する理由はさっぱり不明だが、有刺鉄線が放つ不穏なキナ臭さは、暗にこの地区の治安悪化を示唆しているのである。

(野戦築城)
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☆ディスリンピック会期終了まであと15日
(私は読めない)英語の記事「TOKYO ART BEAT」で紹介して頂きました〜↓
http://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.en/2018/06/excavating-concealed-truth.html

パダン・パダン・パダン

(わたしは真悟のようにコンピューターにも人格があるのだろうか?)二週間前の朝、今まで一度も受け取ったことのない内容の通知がグーグルフォトから届きました。それは『この日の思い出を見てみよう』という謎の呼びかけとともに三年前のその日、2015年6月7日に撮った写真を見てみろ、と突きつけてくるものでした。これがそのスマホ画面で、並列した自動販売機と解体途中の橋脚が写っています。この手の被写体は一番よく撮る類いのものなので(特定の人間が写っているわけでもなく)グーグルさんから「思い出の写真」と一方的に提示されても困惑しますが、せっかくなので写真を頼りに記憶を辿ると…自販機と橋脚の場所は、恵比寿と渋谷の中間で、徒歩で恵比寿ナディッフから渋谷ナディッフに(スタンプラリーの)移動中ということが思い出された。なぜ三年前のこの日を選んで提示してきたのか?この連絡はこれっきりです。
パダン.パダン.パダン.わたしにつきまとう追憶の足音。…というほどの重みもない普通の出来事よ!

皆様の〈YSC〉所属の自販機
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これが三年前の思い出。この一週間後から青森ACACの滞在制作が始まり、2ヶ月後帰宅したら家中カビに侵されていたことの方が強烈な思い出…

(この日の思い出の品)
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ハダリー選手が手にしているのがスタンプラリーの景品(ボールペンだった)

パリの壁画、そして秋田

美術手帖からの依頼で『パリの壁画、そして秋田』と題した藤田嗣治に関する論評を執筆中で〜す。が…しかし私はパリに行ったことがなく、秋田には少し立ち寄ったような(気がする)その上壁画を描いたことがない(それなのに引き受けた)私がこれらを論ずるには多少無理があり、案の定苦戦している。また悪いことにサッカーW杯が始まりテレビ中継をつい観てしまう。試合は本当に面白い!昨日のフランス対オーストラリア戦では、フランス人選手が審判に足を踏まれたのを敵選手の妨害と勘違いし、寝転がって得意の「大袈裟に痛がる行為」を始めたが「あ、審判か」とわかったとたん、ケロっとして何事もなかったようにしていた。国際的一流選手たちの狡っ辛い行動が楽しみ!(アイスランド軍は〇〇ソンという名前ばっかり。とても守備が強い)
私は進まぬ筆を奮い立たせるため遠いモンパルナスを想いシャンソンを歌う。シャルル・トルネ「詩人の魂」プーランク「愛の小径」オーリック「ムーランルージュの唄」…パリの空の下セーヌは流れ、時も流れる。そして締め切りも迫る!

(プーランクとミヨーが好き)
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ジャン・コクトーとフランス6人組(1名ドタキャンで5人組)によるバレエ「エッフェル塔の花嫁花婿」の登場人物は電報/ライオン/蓄音機/将軍/水着美女/カメラなど。フランス語でさっぱりわからないけど愉快なお話に違いない。

豚肉そっくりさん

先日、道路の白線上に小さい桃色の石を発見した。その時は可愛いと思ったのでポケットに入れて持ち帰り、さっそく水洗いした状態がこの写真。その姿は紛うことなくカレー用にカットされた豚の肉片である。窓辺に置かれ水分が蒸発すると表面が白っぽくなり、今度は茹でた豚肉にソックリに!桃色で可愛いと好感の持てたこの石も、豚肉に見えてくると石への好意も半減してしまった。私は関心の失せたこの石ころを同じ白線上に返却しようと考えているが、玄関の窓辺に放置したまま豚肉石の存在をすでに忘れてしまい、出かける際にポケットに収めることを忘れる。

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トリックスター

近代人は既成概念の虜であって、概念(=亡霊)の世界にしか住めない「生まれながらの死産児」だとドストエフスキーは言った。
先週の土曜日、トークの打合せも兼ねて、丸木美術館の離れ(丸木夫妻の画室)で安冨歩さん達と昼食(冷汁うどん!) をいただきながら談笑。開放的な座敷から、まるで草原のような都幾川河川敷を眺望し「あそこに馬400頭を放牧して草を食べさせ、広場ができたら子供の流鏑馬会とポロ大会を開く」と安冨さんは突飛なアイディアを次々と語られたが、これは実現不可能な夢ではなく「突飛」だと思った時点で私たちは「死産児」である。
私は、この高速回転の思考で矢継ぎ早にポンポンと夢を描いていく安冨さんに「生きている子供」を感じた。たとえ概念に殺されても、自発的に手枷足枷を外せたら生き直しはできそうだ。停滞し死に瀕した物語に再び生気吹き込む
トリックスターは誰か?安冨さんには大きな可能性がある!(ぜひ東松山市長に!)

(手打ちうどん万歳)
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冷たいキュウリ入りゴマ風味味噌汁?に太めの手打ちうどん。美味しかったな〜
緊張気味で100%堪能できなかったので、この箸袋に書かれたヒント「東松山工業団地入口前」を頼りにお店を訪ねもう一度食べたい!

初コンタクテ

シュトックハウゼン『コンタクテ』…これは私が生まれて初めて買った「現代音楽」のCDで、購入した場所は現ナディッフの前身である美術書店アール・ヴィヴァンの池袋店だと記憶している。いつ買ったのか?ぼんやりとした過去を遡ってみると、1992年、セゾン美術館「未来派展」会場に於いて開催された、ルイージ・ルッソロ発明のヘンテコ楽器「イントナルモーリ」の騒音音楽演奏会を聴いた帰りに買ったような気がする。「変なCDを買っちゃたなぁ」というのが正直な感想で、CDラックの中で常に待機中の一枚になってしまった。たまに思い出して聴くのだが、コンタクテ1とコンタクテ2の2曲しか収録されてないのに、この2曲の境界を確認できたことが一度もない。(音楽に集中できてない証拠だ)

(声に出して呼びたい)
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「コンタクテ!」

(安冨さんと初コンタクテ)
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トーク会では質問コーナーの代わりに即興音楽の演奏を行いました。私も地味に参加しています…

予告☆ 6/26 於: 丸木美術館
《ディスリンピック開会式〜皇紀2680年祝典音楽祭》
音楽家・片岡祐介さん&安冨歩さん作曲によるディスリンピック奉祝典礼曲の演奏(すご〜い!)詳細はまた後ほど!