月別アーカイブ: 2022年2月

鴨バイブル

小中学校は1/3ぐらいしか通わず、定時制高校は高度な学習内容ではなかったので、教科書で学ぶべき一般教養の欠落が多分にある私は、この歳になってやっと鴨長明の『方丈記』を読んだ。
前半は京の都に繰返し災禍が襲う地獄絵巻のような描写が続き、後半は荒廃した都から山中に逃れ、3×3mぐらいの簡便な方丈ハウスをこしらえて、主に野草を食べながら気ままに暮らす鴨長明自身の心境が描かれている。既に多くの皆さんがご存知のこの有名随筆に、今更ながら深い感銘を受けたので50歳以降は鴨ライフを指針に生活しようかと思う。

鴨バイブル『校註 鴨長明全集』
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(親類縁者ではないが風間書房に親近感)
編者の簗瀬一雄氏が生涯をかけて蒐集した大量の伝本.写本の中から、もっとも原作に近い資料を活字に起こしてくれた貴重な書籍。単行本での入手不可、超レアな和歌集「鴨長明全歌集」も収録!しかも全文が現代語訳ナシなので、変な誤訳や誤解釈に惑わされず読者各自のフィーリングで読めるから有難い。深緑色のビニール表紙は汚れに強く、ポップコーンを食べた手で触っても大丈夫!こんな良い本がたったの400円!!!

Uボート盆景

昨日3日は節分だったので豆をまき今年一年の無病息災を祈ってみたけど、大好きな煎り大豆が惜しくて外に3粒、内に3粒の合計6粒しか撒かず、撒いた豆を拾い食いしようかと思ったが理性が働きやめた。ケチな人物か、マメに働く人物かどうかは福の神が判断し、多分それ相応(大豆6粒分)のご利益リターンしか期待できないだろう。
こんなに節約(ケチ)を心がけている割に無駄な出費の多い私は、一枚で十分なお盆を四枚も買って、特に日用に使うわけでもなく絵葉書同様にただ眺めているだけで、用の美の「用」を用いず鑑賞のみして無駄をしている。(円形お盆に石と潜水艦を並べて遊んでみた)

(盆景用)
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島や山に見えるように底切りされた水石と、海中から浮上して見えるように作られた錫製Uボート。
(美術で稼いだお金をこのような無用の品に遣っても良い自由)

お盆のごく浅い沼

「感じの良いお盆が欲しい」その願いは昨日あっさり成就した。
お盆の条件「1.すごく古い2.木地(一枚板) 3.刳り貫き」に該当し且つ手頃な価格の品を長らくヤフオクで探し続けていたが、先日好条件のものが見つかり、誰とも競り合うことなくあっさりと落札。それも1枚でよかったのにセットで4枚なので急にお盆が増えた。(当初は長方形希望だったのに円形変形ばかり四枚も!)

だがこの幸運を「やった〜今年も買い物運が絶好調だ!」と喜んでばかりもいられない。なぜなら物欲が達成されるごとに憧れの〈鴨ライフ〉から一歩、また一歩と後退してしまうからだ。骨董への愛着と〈鴨ライフ〉の両立は難しく、私の病的な小物への執着心を玄界灘にでも投棄して身軽に変身しない限り、理想の生活は実現できないことを私は知っている。(鴨ライフとはなにか?それは後日)

(お手入れ前のお盆たち)
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直径30cmほどの木製お盆。四枚まとめて1000円
(右下)楕円形のものが気に入ったのでセット購入。裏に「鏡ヶ浦」と彫ってあるのは房総半島(館山)と何か関係があるのかな?(左上)蓮の葉を彫刻した趣のあるお盆には何をのせようか?

(そこらへんにあった物でお手入れしたお盆たち)
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ルイボスティー/コーヒー/プロッキーを使って塗りの剥げや退色を補い、ワセリンと椿油で軽く艶を出してみた。蔵出しほやほや感がだいぶ解消されたと思う。