月別アーカイブ: 2022年5月

門内に心迷あり

道元の正法眼蔵第十二〈法華転法華〉に「火宅に心迷あり、当門に心迷あり、門外に心迷あり、門前に心迷あり、門内に心迷あり」という凡夫を戒める一文がある。一方、風間ランド門内には宅配ボックスがあり、箱の中には心迷で購入した品々=木製台座/ニュー水石/プラスチックピラミッド(貯金箱)などが連日届けられている。これら物品への執着は我が家が火宅の最前線であることを証明しているが、もちろん反省は無い。

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夜の工芸

一昨日、銀座エルメスの仕事帰りに久しぶりに立寄った鳩居堂で初めてお線香を買った。虚弱児時代に体の複数カ所にすえていたお灸の着火で、お線香には毎日お世話になっていたが、進んで仏壇に手を合わせるような信心の持合せがなく、自ら購入する意思など今まで全くなかった。それなのに自然とお線香に惹かれたのは何の兆候だろうか?(老年先取りのご隠居趣味への傾倒)

可愛い箱にちょっとしか入っていない高級線香『一夜松』にふさわしい線香立ての自作を思い立ち、真夜中に始めたミニ火山型線香立ての粘土工作は朝には終わり一夜にして火山が誕生した。たった一晩で完成した急拵えの線香立てだが私は非常に気に入ってる。

〈一夜松と一夜富士〉
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夜の園芸

「落札した水石が朝には届くだろう」と真夜中に門前の植込みに置いてある宅配ボックスを玄関前に移動させたのだが、ヨイショと持ち上げたはずみで大きな葉っぱの陰に生えてた小さいツワブキを引っこ抜いてしまった。元の植込みに戻そうとしたが暗くて地面が見えず…はてどうしたものか?おお、そうだ!空になったままのあの植木鉢(※4月25日付記事参照)に植えれば良いのだ。

以前は青々とした観葉植物を養い、のち土だけとなり、ついに土すらない空家となった鉢に新生ツワブキはこうして植えられた!(それはつい昨晩のこと)

(昨晩のツワブキ)
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すくすく育つ予感!

(今晩のツワブキ)
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OMG!!!! どうしてぐったりしちゃった?

新室内装飾

方丈ハウスと同サイズのKランド四畳半で終日座っていることの多い私だ。この木造の小部屋は何時間座っていても全く飽きることがなく「空飛ぶドンブリの食物供給は一日一回のみか?それとも3食か?おかわりOKか?」など尽きない疑問の追求を邪魔する者は誰一人いない。
そんな居心地の良い室内はお気に入りの置物で装飾されているが、先日久しぶりに置物をチェンジしてみた。定着していた配置をわざわざ変えたのは、一目で購入を決めた骨董品の台座を飾りたかったから。この黒々とした彫刻の美しい木製台なら毎日眺めても飽きないだろう。

(メンバーチェンジ)
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陶製花器とフィンガーボールのミス香蘭は二軍異動
読者諸君にお馴染みの四次元ボーヤ&ハダリー選手は不動のツートップ

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松の枝がデザインされた正面よりも、何が彫られているのか不明の荒々しい表現主義風の背面の方が素晴らしい(私には背面が正面)。しかしこの力強い造形に負けない壺/仏像/水石など持ってないので、サボテン入りピラミッドを乗っけてみたらピラミッドパワーが増大し今まで以上に呪物感が!!

おかしいぞ?

お昼時、キノコたっぷりつけ汁の素麺を作ってる最中に、うっかりキノコを入れた器を真っ逆さまに砥石の上に落としてしまった。幸いラップをしてたのでそのままひっくり返して回収できたが、流し台にも落ちたシメジを一本発見。「おっとここにも」とよく見たらシメジではなくトカゲ!何処から入ってきたんだろう?可愛いけど早く外に出さなきゃ!私はワイン用の紙袋で捕獲する作戦を開始し、赤ちゃん言葉でトカゲに話しかけながらそ〜っと静かに近づいた…が通常なら気配を敏感に察知しサササと逃げ出すはずなのにピクリともしない。(弱ってるのかも?これは大変)焦ってコップをどかしたところで(やっと)このトカゲが偽物だということに気がついた。普段は何も知らない来客を驚かせている悪戯おもちゃに向かって「どうちたんでちゅか〜どっからきたの〜」と真剣に声をかけた私の頭はどうかしてる(弱ってるのかも?)

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え?トカゲちゃん!? (一瞬心が踊る)

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毎日見てるのに…(紛うことなきマヌケ)

中乗りさん

♪ 木曽のナー中乗りさん 木曽の御嶽さんはナンチャラホイ 夏でも寒いヨイヨイヨイ♪
三橋美智也の美声で繰り返し脳内再生される朗らかな『木曽節』に登場の中乗りさんとは、山で取れた丸太を木曽川に浮かべて下流に運ぶ人のことで、彼らは丸太筏の中央に立ち、長い竿を急流に差しながら巧みに操縦し川を下るのだという。(丸太は荷であり乗物でもある)
足袋も袷も着用しない通年薄着の中乗りさんは、裸足でバランスをとりながら「人間は見た目ではない、心だ」と呟く。丸太が岩にコンっと当たる音、ホトトギスの声が谿を渡る(自分の笠に木葉が一枚張付いていることを中乗りさんは知らない)。
私は歌の美しい情景を想い、今年の夏こそ中乗りさんや船頭さんが常用する笠(円錐形の笠)を自分もかぶるのだ!と決心する。(この笠着用の決意は毎年繰り返してるが未だ実行ならず)

船頭ロマン (ニュー松島下絵より)
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前髪を諦めて畦道

三月に三軒茶屋の美容室でパーマをかけ前髪を切ってもらった。この美容室は世田谷通りに面した雑居ビル2F小部屋で営業してる初めて行くお店で、選んだ理由は、どんな髪質(私のようにガビガビな毛でも)パーマをかける自信がある!!という宣伝と〈国内初!ルアーを売ってる美容室〉という異色なアピールを見て興味を持ったからです(釣りには興味ないけど)。

私はここ数年、斎藤清六(甘栗坊や)のような真ん中わけセット「あぜ道」を持続してますが、ふと「あぜ道」をやめたくなり、こちらのルアーを売ってる美容室にカットを依頼したわけです。伸び放題の髪を切り、前はストパ、後はデジパをかけてもらうと、なるほど確かに他店とは段違いの腕の良さでチリチリにならずに仕上がり、久しぶりに前髪もできました。
施術中、初対面の店長と特にお話することもないのでルアーについて質問してみると、店長曰く「僕は全く釣りに興味がなく従業員の趣味で置いているが、珍しいルアーが揃ってるので遠方から来る客もおり、ルアーを買ったついでに髪を切る客もいる。」とのこと。釣具購入のついでに散髪とは!あまり見ない光景だけど、残念ながらこの日はそのような珍客は来なかったです。

その後、店長に作ってもらった前髪はというと…毛先の刺激のせいかモノモライになったので維持できず従来の「あぜ道」に戻った。(小学生の時、斎藤清六さんにサインしてもらった黄色いTシャツはどこかに消えた)

☆狙い目☆農業機械を賢く落札♪
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昨日はヤフオクから(私には不要の)自走式草刈機などをオススメされた
中には畦草専用マシーンもあり、畦には畦用のお手入れが必要なようだ。

集中力400%(嘘)

渋谷のコピー店に依頼してた原稿が、大型コピー機で400%拡大されて私の所に戻ってきた!大きく育ったなぁ(また彫るのが大変)。昨日からトレース作業に入り、方丈ハウスと同等空間の(3m四方弱)のKランド執務室卓上は三六判の版木にまたもや占領され、お茶や食事はギリギリ落っこちない程度に版を寄せて作った三角形ゾーンですることになる。「さあ集中して頑張るぞ!!」「その前におやつを食べよう」

「さあ頑張ろう」
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FLOW(沖つ国/不老山)の下絵はわざと簡単に描いた。
何故なら、あながち細かいと描線の良し悪しばかり気になって躍動感がなくなるから。

「準備はOK!その前に休憩だ」
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ナッツアイスにバナナとビスケットとナッツをトッピング!

(千貫島風景)
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100年前の松島絵葉書を見ながら、333年前に松尾芭蕉が見たはずのエッジの鋭かった松島を想像して描いた『ニュー松島』十六景をB2に拡大(トレペなので透けてる)。この絵は木版画ではなくアルミ板に肉筆画にする予定。山水画の参考書はお皿宇宙アルバム(こちらの詳細は後日)

(昔なのにNEWとはこれ如何に?)以前アルミに描いた作品をO JUNさんが「これは新しい絵ですね」と褒めてくださったので(調子に乗って)題名にすることに!松島視察で乗った観光船社名も『ニュー松島』…松島の変化は老いではなく、逆に「いつも新しい」ということを示唆した名前にちがいない。

ドンブリ鉢を飛ばす事

鉄道移動中に読むのに丁度よい仏道ショートショート『発心集』を山手線外回でも読む。品川~渋谷(5駅)間で読んだ〈浄蔵 貴所 鉢を飛ばす事〉はこんなお話だった。…..

ブーメランのように空中にドンブリ鉢を飛ばすと、鉢に食べ物が入って戻ってくる〈鉢の法〉という術を操る行者がおり日々これで食べていたが、何故かここ3日間ドンブリが空っぽのままUターンしてくるので「これは変だぞ」と怪しむ。そこで、投げたドンブリを追っかけて行くと、真っ向から飛来してきた別のドンブリの迎撃を受け、食べ物を横奪される瞬間を目撃する。なんという事だ!許さん!憤怒に駆られて敵ドンブリを更に追跡すると山奥の小さな草庵に辿り着いた。

庵の中には謎の老僧が座っており「ドンブリの件について何かご存知ですか?」と行者が訊ねると「はて、知りませんが、もしかしたらウチの童子の仕業かもしれません。」と老僧は答え、背後にいる美麗な童子の方を見ると赤面しながらモジモジしてるではないか。「ああ、やっぱり!すみませんね…この通りです。お詫びにこちらを召し上がってください。」と赤いリンゴを4切れご馳走してくれて、それはこの世のものとは思えない甘露な果物だった!…おしまい

この〈鉢の法〉という術では、ドンブリが空中飛行し戻ってくる何処かのタイミングで食物が盛られるようだけど、折り返し地点に料理人でも待機しているのだろうか?このお話では詳細不明。
ドンブリを空に投げるだけで毎日ご飯の心配が無用とは、こんな素敵なことは無い!(そしてこのお話には仏教的教訓が無い)

(空中戦)
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敵ドンブリに迎撃され器の中身(ラーメン?蕎麦?)を横奪されてしまったのだ!
(替え玉無料では無い)

(昼はフォー)
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(夜はトムヤムクン)
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投げたフォー丼鉢がトムヤムクンになって戻ってきた訳では無い
買ったパクチーの束が大きすぎたので山盛りパクチーで消費してるところ。

機嫌よく

問「機嫌よく過ごすにはどうすればよいか?」
答「私だったら民謡や小唄を唄う」
知らない風土情景や何を言ってるのかわからない歌詞を軽快なメロディーでなぞるだけでも、今日やるべき作業のことなど忘れ、心の憂さは「夕飯は何を食べるか?」程度の軽少な問題が最優先になること間違いなし!

♪ いうたち いかんちゃ おらんくの池にゃ 潮吹く魚がおよぎより よさこい よさこい ♪ という謎めく土佐弁歌詞の『よさこい節』は気分向上に特にオススメで、標準語に翻訳すると「言ったらわるいけど、うちの池には潮吹く魚(鯨)が泳いでますよ。夜に来い  夜に来い」という意味の動物愛護団体には聞かせられない捕鯨自慢の内容だ。(私が最後に鯨を食べたのは11歳。三浦健康学園の夕食に供された鯨カツで、強制的に一口食わされた)

キャラホー!バーババババババー!
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福田こうへい歌唱『南部牛追唄』が好きで聴いてたら、〈福田こうへいが大好きなあなたへ〉というネット広告が届いた(が、大好きという程ではない)。
岩手民謡『南部牛追唄』の不思議な合の手「キャラホー」は「進め」、「バーババババババー」は「静かに止まれ」という牛方から牛への号令だそうだ。(牛には牛用言語で)