日別アーカイブ: 2022年9月9日

鹿さん何故なくの?

最近ことに好きな東北民謡『秋田おはら節』は、深山に分入った男がホロホロと泣いてる鹿を発見し事情を尋ねると「自分を狙う猟師が遠くに見えるが、あの鉄砲で撃ち殺されたら残った家族はどうやって暮らすのだろう?と心配になり泣いているのだ」と鹿が答える可哀想な歌だ。

これに類似した鹿の歌は古代にも存在し、万葉集の3885番・乞食者が詠んだ歌〈鹿のために痛みを述べて〉は、…(前略) 奈良県平群の山中で、鏑矢を手にした狩人の眼前に観念した鹿が現れ「私を殺すなら私の身体を余すところなく贅沢品に利用し、せめて素晴らしいと誉めて下さい。誉めて下さい。」と懇願する…といった内容で『秋田おはら節』と同様に、殺す側の人間(詠人)が、犠牲者である鹿の気持ちを代弁した歌である。

物寂しい秋の奥山にこだまする鹿の声。悲痛な雄叫びに憐憫の情を寄せ、古の人は歌にしたのだろう。しかし鹿が鳴く本当の理由が繁殖期のアピールだと知ると俄に獣臭くなり、佗しい叙情は半減する。(そんなこと構わずに鹿の都合で勝手に鳴けばよい)

(古典作品引用の普遍性)
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鹿の歌の次の次の次の3888番をモチーフにした『FLOW(沖つ国/不老山)』
領く君の塗屋形とはどれでしょう?

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その解説  (素材箇所は誤記、後に訂正)
小さくて読み難いけど石巻(石の蔵)に行ったら読んでみてね!

【展覧会情報】
明日10日から開催のグループ展〈温泉大作戦〉に参加します
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会場:無人島プロダクション(←詳細こちら)
会期:9/10〜9/25
参加作家:アルバート.レオ.パイル、ヴィットリオ.ブロードマン、ケネス.バーグフェルド、モンスター.チェットウィンド、風間サチコ