心眼と聴音機

昨日の深夜、ETV特集『障害者たちの戦争』という番組の再放送をしてました。次の作品のテーマの一つ「国民優生法」を調べている最中なので、逃さず見れて良かったです!
番組の内容は、明治時代に制定された兵役法によって「無用」の烙印を押され、差別が助長された歴史。盲人の相互扶助団体「ライトハウス」がいかに「国民」と認められるために戦って来たか。さらに日中戦争、太平洋戦争下では障害者の動員、徴用がはじまり、実際に動員された人たちのインタビュー取材などで構成されています。
最初に障害者の利用を唱えたのは、昭和13年に国民精神総動員委員長だった元陸軍のカリスマ・荒木貞夫です。「障害者の特殊能力を活用せよ!」特殊能力とその活用とは?…視覚障害者の技能、鍼灸、按摩を産業戦士に施術する「治療奉仕」が主な仕事で、海軍では「技量師」として戦艦に搭乗させていたそうです。今まで徴兵検査ではじかれてきて「これでやっとお国の役に立てた。国民になれた。」と当時の気持ちを語る高齢の男性の姿に複雑な心情がみえました。
そして衝撃的だったのは、太平洋戦争下では視覚障害者の鋭敏な聴力が「特殊能力」として利用さ
れたという事実です!防空監視厰や屋上で、敵艦や敵機の襲来を「耳」で察知する任務をまかされていたというのです。さらに能力をあげるために「敵機爆音集」というレコードをひたすら聴いて識別する訓練もさせられてたとか…。(ローレライ・システムみたい。)

『見えぬ目で見えない敵を打ち破れ!』 『さあ決戦へ!この目忘れて!』
『決戦へ!心のまなこを鉄壁に!』 『心眼を鍛えてのぞめ決戦に!』

…..これは盲人用の国威発揚スローガンです。番組では他に、学童の工場動員が15歳以上と定められていたのに聾唖の学童が11歳で働かされていた事実や、先天性の障害者と空襲などで障害を受けた人、そして傷痍軍人とそれぞれ格差があったことなど紹介されてました。
「大量の障害者を生みだすのが戦争」「〝戦争で格差の流動化〟など絶対ありえない」というのが番組のメッセージでした。まだまだ知らないことが沢山あるな〜もっと勉強しなくては…!
(同じくEテレ「バリバラ」の盲人漫才。「心眼キターッ!」のギャグが大好きです!!!)
90式
九◯式大空中聴音機。代表的な献納兵器です。
機械の集音能力よりも「特殊能力」が上だったのかな?