荼毘とデカビタ

つい3日前は気温30度の地域にいたのに、冷たい雨の降る八王子で革靴を濡らしている不思議。ここに来たのは親類の葬儀に参列するためである。
大きな雨粒で喪服の肩をビタビタと光らせた参列者たちが斎場に集まり着座すると、紫色の鮮やかな袈裟を着た巨漢僧侶が入場し読経を始めた。リズミカルなパーカッション入り声明は、ワールドミュージックのような祝祭のノリもあり、後半の南妙法蓮華経ルフランはミニマル音楽みたいだった。とにかく巨体から発せられるテノールの響きがとても美しい。

仏様を荼毘に付してる(骨を焼いてる)間の控室で、私は巨漢僧侶に「素晴らしい読経でした。芸術ですね!」と話しかけ、それをきっかけに色々な話し(私と同じく僧侶は夜学卒業で、仏門入りを逃れ宅配便の配達員をしてる兄がいる等)をお喋りした。通夜/告別式/初七日を1日に凝縮した式が終わり、僧侶は去り際に「じゃあ、また!」と笑顔で私に挨拶をしたのだった。

「また」とはいつか?
私の葬式の時だったら私は南無阿弥陀仏グループなので呼べない。

(忌中払い)
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デカビタを愛飲してた故人を偲び、献杯のグラスにデカビタが注がれた。(食前に口中を支配するデカビタ味)