日別アーカイブ: 2014年3月16日

焚書と不死鳥

最近、電車の中で本を読んでも乗り物酔いしなくなりました!いままでは活字を目で追ってると必ず気持ちが悪くなるので、乗車時間が長くて退屈な時も本は開かずに中吊り広告など眺めて過ごしてました。どういう体質の変化か分かりませんが兎に角嬉しい。昨日は遠い所に住んでいる友人、彼女のお気に入りの一冊、ブラッドベリの『華氏451』を車内で読みながら恒例の南部古書会館「五反田遊古会」へ…。
今回も遊古会は期待を裏切りません!そして昨日は何故か『梅原北明』祭り!赤いドリルさん出品の「えろちか/エロスの開拓者 梅原北明の仕事特集」を皮切りに「変態資料」「グロテスク」「文藝市場」…とエログロ雑誌大放出なのです。梅原北明に関する情報はネットで探しても少ないので「仕事特集」はありがたい!北明は今一番気になる格好いいアナキスト(と私は思っている)です。「発禁王」こと昭和初期エログロ出版界のオルグ、梅原北明。彼は弱冠26才にして翻訳した『デカメロン』をベストセラーにし、同じ年に雑誌『文藝市場』を創刊、編集、経営!(文藝市場では街頭で原稿の叩き売りをする、というパフォーマンスまで…)その後もシリーズ「変態十二史」雑誌「変態資料」「グロテスク」と警察、内務省の弾圧によって何度も「発禁処分」を食らい刑務所にぶち込まれてもなお手を変え品を変え、恐ろしいバイタリティーで雑誌を刊行してゆきました。
…そう、それはまるで不死鳥。焚刑に処された書籍の山、かつて黒い活字が、踊り、息づいていたであろうページは、もはや白い死灰と化し、支配するものは死の世界。だがしかし、生命はそこにあった。赤く燃える炎は、不死鳥に生命を与え、白い死灰は羽毛となり翼を形成する。火を焚き付けるほどに蘇る命、彼の書いた書物は、紅蓮の炎に羽を広げ、再び生き返るのである。
(な〜んつって!ブラッドベリ風に書いてみた。)
私が梅原北明の仕事に感動を覚えるのは、その反逆性が思想や政治的なものでなく、全てがエロとグロの美意識に由来しているところです。誌面を埋め尽くす博識撩乱の活字、美しい意匠。一流の書店の本棚を飾るのにふさわしい佇まいこそが、教養も美学も無い国家権力の番犬、警察を嘲笑う「反体制」なのです。…ここでサラっと書くのには忍びないので、もっと勉強してから詳細を書こうと思います…。
それにしても『華氏451』やオーウェル『1984』を読んでると、「歴史を抹殺されないように古本を死守しなければ!」という気持ちが滾ってくる。関東大震災、大空襲の火焔地獄を生き抜いた古本達…ありがとう。古本の防人(?)気分で蔵書は増えるばかり。451、1984のディストピアが現実になったら真っ先に<思考犯>で連行されて処刑だろうな。本も私も炎上DEATH!

(昨夜放送されたNHKの特集ドラマ「東京が戦場になった日」つまらなかったな〜。東京大空襲を舞台にした消防隊員ヒロイズム。空襲の阿鼻叫喚、国の愚策、防空描かれず、少年の純粋な使命感とか経営委員の百田が喜びそうだね。雨のちハレルヤには毎日辟易だけど「ごちそうさん」の方が銃後ドラマとして優秀です!)

北明
発禁王。エログロ出版のオルガナイザー!不敵な面立ちの梅原北明(1900〜1946年没)
エログロ誌
昨日の収穫の一部。文藝市場「暑苦(ショック)号」は二冊目!
五反田南部古書会館での古書展、次回開催予定は以下のとおりです。
☆本の散歩道 4/18・19 ☆五反田アートブックバザール 4/25・26 ☆五反田遊古会 5/16・17