月別アーカイブ: 2015年5月

アラジル男

アラジル男・・。そういえば「アラ汁」って本当に新潟の郷土料理だったのだろうか?そして本当に田中角栄の好物だったのだろうか?にわかに心配になったので調べなおしたら、代表格ではないけれど鮭のアラを酒粕で煮た汁物が存在し、角さんの好物の一つであったことを再確認し安心しました。制作時に一級資料として図書館で借りた『田中角栄データ集』という下世話なタレント本からの、正確なデーターに基づいた作画なので間違いはない筈です。「猫のエサだと思って魚屋でアラを買って来たら、旦那様用の食材だった」と語る、家政婦さんの証言でも裏が取れているのだから!(このシリーズ制作の為に決行した新潟への取材旅行=新婚旅行では、田中角栄記念館、山本五十六記念館、刈羽柏崎原発などを巡りましたが、これらの独断先行型の計画が破綻への一里塚だったとは知る由もなく…)

列島改造人間アラジル男は、只今オペラシティアートギャラリーで開催中「高橋コレクション展」にて観覧出来ます。その他戦闘員(センキョテロル、ドボッケン、弾丸レッシャー、ニシキゴイン)も廊下スペースに陳列されております。廊下はまあまあ長く会期は長い!6月28日迄。

arajiru
クールな出立ちのアラジル男に汁の要素ゼロ!これではアラマキ男です。
新潟県村上には鮭皮素材の紳士用ジャケットが実在する。着用男性はさぞかし猫にモテるだろう。
(列島改造人間シリーズ 2002年)

dangan
「弾丸レッシャー絵葉書」は隣接ナディッフにて絶賛発売中!
図版の選択は販売元サイドによるものです。(流線型人気は衰えを知らない)

恐怖の猶予期間

「痛みますか?」「いたくないれふ〜こわいんれふっ!!!」という応答を繰り返しながら約20分、口内でペンチを揮った歯医者の渾身の力もむなしく「腐っているうえに、ネジ曲がってる」という理由で抜歯を断念!腐っているうえに曲がってるのが根性でなくて何よりだったのですが、結局でっかい病院に行って切開手術にてほじくり出さなければならず、この恐怖と不安に余計な猶予期間が与えられました。
歯医者さんから紹介された大病院「国立東京医療センター」には、かつて国立第二病院だった時代に何度か入院してお世話になった思い出がありますが、ここでの衝撃体験は、地獄の絵師 =日野日出志作品との出会いです。中一の頃ナゾの目眩で入院した時に、小児病棟の談話室の本棚にそれらは並んでました。蔵六の奇病、毒虫小僧、わたしの赤ちゃん、地獄変…代表作が5〜6冊あったように記憶しています。日野漫画を読んだことのある方ならお分かりでしょう、これらの作品は病気の子供が読む本として最も不適切な漫画であるということを!…奇病で村八分になる男、育児放棄された奇形の少年などの物語は、健康な児童なら絵空事のホラーで済まされるものが、ここ小児病棟では、より現実に符合し居たたまれない内容となるのです。
この談話室の本棚というのは、入院中に読み終わった本を退院時に納め、また次の患者が読める。という便利なコーナーなのですが、その時はこれと「釣りキチ三平」しか漫画はなくて、貪るように日野日出志を読みました。簡単に禁忌をやぶるその強烈な作風に「漫画は自由でいいな!」と感動したものです。この本の持ち主だったイカした(イカれた)病児は、元気な大人に成長してるでしょうか?私は今でも日野日出志を教えてくれた病気の児童に、感謝と尊敬の念を持ち続けております。

2015-05-08 21.36.56
ショッキング劇場ショッキング劇場と二度記さなければならない恐怖!
『恐怖!!ブタの町』日野日出志(1985年 ひばり書房)

抜歯前夜

親知らずが虫歯になったので、一夜明けたら歯医者で抜かなければなりません。はじめて永久歯を抜歯するので大変不安です。歯医者さんがペンチで引っこ抜くという方法を懇切丁寧に説明してくれたので更に不安になりました。この不安を紛らわさんと雄ヤモリ相手に熱唱して現実逃避にいそしんでます(リサイタルの場は布団の中から台所に移動)。「星の流れに」「カスバの女」「柳ヶ瀬ブルース」などの楽曲はすべて藤圭子バージョンです。藤圭子を歌うときは藤圭子のCDが聴きたい時で、憶えてるメロディーと歌詞を暗唱してますが、これで正しいのかは定かではありません。
件のCDは17年前、職場(スーパー)で納豆の陳列担当だったブラジル人女性にあげてしまって手元にありません。現在の流通価格が高めなので、あげなきゃよかったな〜と少し後悔してます。(帰国後も聴いてくれてるだろうか?)

2015-05-07 23.54.02
泣いて手を振る後ろ影、外人部隊の白い服(♪カスバの女)
…ガラスに張り付く白い影、オスヤモリの白い腹

特火点の窓

紙粘土トーチカのエッジをカッターナイフで削り出していると、むかし行ったあのトーチカこのトーチカ、写真でしか見たことのないトーチカを思い出します。
かつてはそこで息を潜め、ジッーと海を凝視していたのであろう誰かの念が、コンクリートの壁に今でもベットリこびりついてるような薄気味悪い感じ。しかしその仄暗い閉所に切り取られた銃眼より臨む長方形の海の眩いキラキラ感!不気味さと爽快感が一気に押し寄せてくる内部と、大量のコンクリートを使用した単純なのに異様な外観。デッカい捨物から滲み出る寂寞とした風情はなんとも捨て難い。排除困難なコンクリート魂でがんばって風化に耐えて欲しいものです。
トーチカは岬の端っこや小高い丘の変な所にあるので見に行くのは容易でないです。なのでまずは粘土模型からはじめて、みかん箱サイズ、犬小屋サイズといったかんじに完成度を高めていけば、いつかはマイ・トーチカが出来るかも?自分の庭があればチャレンジしたいけど残念なことにここは借家です。

2015-05-03 23.16.03
酔いにまかせて制作した四角いトーチカ1号
しらふで制作した円筒形のトーチカ2号
(触ると白い粉が落ちるので灰色に着色するか目下思案中)

戦時下の形體狂

森美の「シンプルなかたち」展では、自然の模倣から派生した形体や、原始回帰的、プリミティブな簡素さを人間と親和する優美さとして提示してたけど、私はどちらかというと、水平垂直VS 対角線の内紛、革命的な装飾の排除といった背景(強度)のある喧嘩上等なシンプルさが好きなので、好き嫌いで述べてしまうと全体的に好みの「かたち」は少なかったかな。(未だに雑味が革命的と思ってるアートに食傷気味の人にとっては一服の清涼剤にはなるかと…。)
そんな「かたち」に対するこだわりを記した、太平洋戦争末期(昭和19年11月発行)の面白い本を見つけました。その名も『形体の教養』。神風特攻隊が編成され、B29による東京空襲が始るという状況下において『形体の教養』とは?!物資不足のさなかで「茶室の純化」やら「家具の機能美」などが呑気に書かれ時節とのズレ感禁じ得ないこの本が、表向き「日本出版配給株式会社」という民間の取次会社の体をとった「検閲機関」から配給されてるのだから驚きです。
簡素(シンプル)な形体が最も知的で文化的であることを大前提とし、近代産業の最先端である兵器のフォルムがいかに優れているか、必然的に質素(物不足)な状態が即ち本来の日本精神の美である。というような具合に戦時下の苦境を正当化する内容が書かれています。装飾を排した機能美、合理性の頂点としてバウハウスを提示し、これに先んじて形体の純化を完成した、簡素な日本の様式文化(建築、茶の湯、庭園、絵画など)の優秀さを示顕する。一見すると国粋的な内容なので「贅沢は敵だ」というスローガンには反さない訳です。
しかし実は、この日本文化賛美はカモフラージュで、この結論に至るまでの「形体ウンチク」と「バウハウス愛」の記述こそが著者山本隆亮の真の目的であり、その熱い気持ちが文章内で露呈してるのがこの本の面白さです。「誉めときゃ問題ないだろう」ぐらいの防空服への賛辞と、初めてマルセル・ブロイヤーのパイプ椅子に座ったときの「見た丈ではなにかあぶなげであるが、腰かけて見ると存外肌ざわりのよさと共に落ち着いたゆつたりとした感じに驚くのである。之は新しい感覚的な経験である」という驚嘆の声との落差に山本先生のバウハウス愛を感じます!
「簡素」にかこつけてセセッションからバウハウスに至る周辺を賞讃しまくる山本先生ですが、先生自身はドイツ留学などの経験のない、国民学校(小学校)の一教師に過ぎません。東京美術学校(芸大)権威との人脈と戦争末期のドサクサでこの本が出版されたのでは?そんな邪推もできますが、茶碗に盛られるべき米があるかないかの時に、茶碗の形がどうのこうの語るのも或る意味ナンセンスで愉快。あ〜私もパイプ椅子が欲しくなってきた!

2015-05-04 13.25.46
自信に満ちた明快さで形体の教養を書き記した山本隆亮先生。
そのフォルムに対する峻厳な姿勢を緩和する図版男性の柔和な姿は、読者への配慮に違いない。

笹の子

「そんなに生えるんなら食べちゃえば」という意見を頂戴しながら、刈り取った笹の硬い断面をみて「やっぱ食べられそうにないな」と思い、結局捨ててしまいました。そのあとで「笹の子料理」なるものが存在することを知り、「メンマを作ってみればよかったな〜」と自分のチャレンジ精神不足を恨めしく思い後悔してるところです…。来春になってもこの家から追い出されることなく、笹の子の芽吹きに立ち会えるようだったら挑戦しようかと思います。

2015-04-30 17.35.11
二度目の刈り取り(これで約100本)
笹の子はタケノコと同様、米ヌカと茹でればいいそうです。

2015-05-01 20.48.16
峻烈な処罰感情の爆発!
ここまでの経緯は分かりかねるが、いかにダメなオヤジであってもこの仕置きは残酷すぎるのだ。

『ト書き』

「人外交差点」が、日本劇作家協会の会報『ト書き54号』の表紙になりました!
副会長の渡辺えり氏の「現代美術の作品を使いたい」という要望により、当方の作品に白羽の矢がたったとのこと(伝聞)。近未来風景との解説もままあるこの作品も、渋谷駅前の再開発工事が完了すれば懐古的になるでしょう(…ということは製作中には考え及ばず)。現代を意識し表現しても刹那に過去になる、時よ前進!ということです。
『ト書き』は座・高円寺という劇場をはじめ、その他劇場ロビーで無料配布中です。冊数限定。(劇作家協会HPによると希望者には送付も可能トあります。)

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様々な邪眼に監視されるスクランブル交差点を描いた呪術的作品も、デザイナーさんの手に掛かれば(100%おまかせ)POPに変身!DA・YO・NE☆