日別アーカイブ: 2021年5月11日

産業の山脈

ジェームス・ブラウンの「It’s A Man’s Man’s Man’s world」では、男は汽車を車を道路を、そして暗闇を明るく照らすライトをも創りだす、これが男の世界…と歌われてる。
暗黒の地中に血管のように張り巡らせた坑道から、黒い石炭を地上に吸い上げては、道路や鉄路の動脈で近代社会に供給し続ける。誰かが誰かの資源と労働を搾取する。男が、また別の男にそれを売り、別の何かを買う。そう、合理主義の歯車は自然破壊も不平等もガリガリ砕きながら回り続け、機関車は石炭をガンガン燃やし、真っ黒い煤煙で空を焦がしながら産業の血液を流す、これが近代化の世界。

(第一次世界大戦末期の1918年。ヨーロッパの軍艦に石炭補給するための重要な港だった西アフリカ、シエラレオーネの首都フリータウンにスペイン風邪が上陸。不用意な帝国主義者がもたらした感染症は植民地アフリカでも大流行し、1918~19年の1年間で238万人のも死者が出たという。)

『産業の山脈』
TCAA_210322_368のコピー
(近代悪と憎むべきか?鉱山の幻) 懐かしさと禍々しさの相俟る原風景は、中学の修学旅行で見た尾去沢鉱山(秋田県)の凄まじい景色にある。そして、魔法のような産業革命前夜の幻想が美しい、あがた森魚と大貫妙子の歌う「スターカッスル星の夜の爆発」からも鉱山ファンタジーの影響を受けた。