月別アーカイブ: 2023年1月

幻の二番館

芸術新潮1月号・映画特集をみんな読んでくれたかな?私が寄稿した〈アーティストが選んだ3本〉のプロフィール欄には「初めて観た映画は何か?」という質問への回答が書いてあり、「9歳の頃、兄妹3人で映画館に行った『ブッシュマン』『エレファントマン』の2本立て。」が私の答えだ。しかし観たと言っても内容は全くわからず、ただひたすら怖い感覚しかなかったが…。

マンと差別が共通項の大人向け映画2本立てをなぜ子供だけで観に行ったんだろう?まだ小学1年生だった幼い妹が、長時間座って理解不能な映画をガマンできたとは思えず色々謎だらけで、もしかしたら夢と現実を錯誤してるのかもしれない。そうだったら、芸新の記事はウソということになってしまう。(憶えてるか兄妹に確認してみよう)

(芸新1月号より)
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昔は二子玉川園駅前に〈二子東急〉という二番館があり、おそらくバスか地下鉄に乗って兄妹と3人でそこに観に行った。
できたばかりの新玉川線(現.田園都市線)の駅〈二子玉川園〉の名称は、古い遊戯機械がギーギー軋む怖い遊園地・二子玉川園がここにあったから。当時はチンドン屋が奏でる『美しき天然』がよく似合う川っぷちの場末で、私の中ではガロの鈴木翁二が描く陰影の濃い漫画のようにセンチメンタルな映像で再生される。

R.I.P. 先逝く現代の星

数時間前に詩人・天沢退二郎さんの訃報。19日前には音楽家・松平頼暁さんの訃報。芸術家であり研究者でもあるお二人が亡くなったと知り、ご高齢で天寿とはいえ寂しい気持ちが湧いてくる。
現代詩人、現代音楽家が前時代的な存在になってもなお、保守的な21世紀人の懐には収容し難い、鋭利な黒曜石製のヤジリのような神秘的先端であり続ける偉大さ…。生前一度も朗読会や演奏会に行かず、自らお目にかかる行動に移せなかったことを猛省し、ここにご冥福をお祈りいたします。

夜の戦いとトランジェント
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〈夜はやけに舌がそよぐ 戦ぐ舌は刈れ〉
戦ぐ=そよぐと読むのか!知らなんだ。痺れる帯文の天沢退二郎詩集『夜の戦い』は、巨大なエビが人命救助をする夢記述が面白くて何度も読む。
松平頼暁作品集『トランジェント』は、冊子に記述された作曲理論を何度読んでも理解できず(理解が浅いままでも音楽は聞けて、何度か聴くうちにだんだんクセになる)

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夜はやけに舌がそよぐ 戦ぐ舌は刈れ
そんな短文を懐にしまい夜の行軍をしようじゃないか(さあ君も)

眼鏡屋も時にはヤ次馬に(視界良好)

 誰がぴったり嵌めたのか(石の意思で)

 眼鏡屋も時にはヤ次馬に(視界良好)

 雨宿り専用近代建築(外灯つき)

 引き剝された家屋痕(悲鳴と涕泣)

 人の道逸脱防止(ローリングストーン)

 (残像)こんなキノコが昔はあった

 遮蔽と透視(のちに馴染む山岳風景)

 途中で何か思い出した(コンポジション)

 ながら歩行の常態化(足元埋没注意)

 な~るほど(その話もっと詳しく教えてくれ)

 問. 理入と行入どちらが先か?(まずは骨を整えよ)

 超文明仮囲い(束の間のピラミッド)

 石垣 (あなたの背後には空がある)

 漂着物一軍(双生児伝説)

 漂着物二軍(ネバーランド)

 やっと逢えたね (あ、人違いでした)

 過剰な網目に呪詛と海水(おそらく浮かない浮き)

 灰色の親知らずたち(来世はかわいい乳歯)

 松風の公園(いつも誰かを待っている)

 (虚構)アッサンブラージュの始まり

以上は私が赤瀬川さんの写真を見て勝手に書いた大喜利的現代詩全20編で、目に余る( )多用は「国語の先生に添削されそう」と評判だ。
この変な短文がどんな素敵写真に添えられてるか、興味のある皆様はスカイピラミデに行って確認しよう!

(極端に短い詩への憧れ)
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演歌歌手同様に憧れの職業は詩人。

26日から赤瀬川さん写真展

玉川学園前駅の近くにある赤瀬川原平邸(ニラハウス)の書斎に遺された、4万に及ぶ大量秘蔵写真。これら未公開写真の一部が見られる貴重な展覧会『赤瀬川原平写真展 日常に散らばった芸術の微粒子』が今週木曜日からSCAI PIRAMIDE(六本木)にて開催されます。私を含め6名の作家が、各々20点ずつ選んだ合計120点で構成された展覧会です。他の方々がどのような写真を選出したのか未だ知らないので今から楽しみ!

生前お会いしたことのない赤瀬川さんですが、私の母校である武蔵野美術学園(旧美術学校)に一時期在学されてたことや、六本木クロッシング2013にて中村宏さん赤瀬川さんと3人展のように展示させてもらったことなど僅かながら接点があり、再び六本木で展覧会をすることになったのも何かのご縁かもしれません。
(リスペクトを込めて私が勝手に)写真に添えた大喜利的現代詩も、美術学校の先輩として大目に見てくれたら…と思います。

DMです
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会期: 1月26日(木)~3月25日(土)
於: SCAI PIRAMIDE←詳細コチラ

草刈を競う世界

昭和13〜19年に荒川河川敷の草地で開催された新しい競技大会《全日本草刈選手権大会》を皆さんご存知か?この耳馴染みのない草刈競技は、制限時間1時間内に刈り取った量=70点、刈取り後の美しさ=30点の満点100点で採点されるルールで、優勝者には牛1頭が贈られたという。
大会出場者を決める予選会は、本土はもとより外地(樺太や朝鮮半島)でも行われ参加者は2万人に上る。その予選を勝ち抜いた猛者80余名が決戦場(赤羽岩渕の土手)に集い、自慢の鎌をバッサバッサと薙ぎ払い、茫茫とした草を刈る様はさぞかし壮観だったろう!(優勝者の刈取り量はなんと400kg)
大会参加により体力向上、郷土愛・国民精神の作興が望め、更に非常時で不足した飼料及び肥料の増産に寄与できる草刈選手権。その真の目的は、前者ではなく後者(競技が建前の勤労奉仕、すなわちタダ働き)であることは言うまでもない。

(昨年秋、岩渕で2つの巨大水門を見て満足し、地味な〈草刈の碑〉は見ず… 次回は怖くない昼間に行って見物しよう!)

[古戦場]
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新旧の岩渕水門が一望できる河川敷
鎌を握った草刈戦士たちの戦場はここら辺か?

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赤い旧岩渕水門を渡った中之島に〈草刈の碑〉が…
(だが)日没が迫り不気味だったのでUターンしちゃった

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薄暮にそびえる現岩渕水門

びちょびちょのボロ市

「ミニツワくん用の盆栽鉢以外は絶対に買わないぞ!!」と宣誓し、世田谷ボロ市に向かった月曜日。そぼ降る冷たい雨にも負けぬ露天商のテントと、購買意欲メラメラな客たちの雨傘がぶつかり合うボロ市通りを(ゆっくり見ると余計なものを買っちゃうから)早足で過ぎ、代官屋敷(重要文化財)の向かいにある上町天祖神社に行く。例年この参道で植木市が開催されるのだが、悪天候のせいで多肉植物や好事家向けの珍しい東洋蘭の専門店はなく、庭で育てる草花や植木鉢の店がまばらにあるだけだった。

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水溜りに包囲された露店(長靴が必要)

これが噂のイイギリだ!(一枝300円)
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昨年秋、地元商店街にて変わった枯枝を持って立話する老婦人2名と遭遇した。枝にはレーズンに似た干からびた黒い実が房状に付いている。「それ何ですか?」と尋ねると、元八百屋のおばさんが「イイギリという枯れても絶対に実が落ちない不思議な木で、ボロ市で売ってるのよ。」と教えてくれた。私が「へぇ〜じゃあ受験生のお守りにピッタリですね!落ちないから」と軽口を叩くと「さすが上手いこと言うわねェ」と褒められた。受験したことないけどすんません…(受けなきゃ落ちることもない)

ミニツワくん、小さいままでも元気です!
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(どの鉢が似合うかな?小200円/丸型300円)
防寒装備が北方民族みたいな店主が「今日は似た感じの女の人が、似たような鉢を買っていくなぁ…」と言うので「ベレー帽にメガネって恰好ですかね?」と訊くと「そうではない」ときっぱり否定された。何かが似てたのだろう。

(朗報)続々上映決定

恵比寿の写真美術館で先週末行われた映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』試写会は成功裡に終わり、舞台挨拶では監督の川内有緒氏から今後の上映館が続々と決まってることが報告された。
前作『白い鳥』にディスリンピック鑑賞シーンなどを追加し改編された本作品は、全体的にほのぼのムードの映画だが、我が全体主義国家のみが黒い影を落としている(けど大丈夫かな?)。そんなところも注目してみなさんにご鑑賞いただきたい。

3月7日からは写美でも一般公開が始まり、同時にパンフレットも発行されるという。(実は)今年の仕事始めだった初外出はパンフレット掲載用座談会で、川内さん白鳥さんライターさんと鼎談し、昼食にはインドカレー弁当をご馳走になったのだ(私だけ菜食用)。

(チラシ裏面)
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ディスリンピックのようなこわい絵画のほかに
鴨&ハクチョウ等かわいい水禽も多数登場するよ!

予告編YouTubeはコチラ↓
目の見えない白鳥さん、アートを見にいく

(朗報)N松島販路拡大

石巻リボーンアートオリジナル・ニュー松島グッズ(ト~トバッグ&Tシャツ)が、仙台 KANEIRIミュージアムショップ6にて販売開始です!お店ではミニ風間コーナーが設置され、画集『予感の帝国』など関連書籍も陳列されてる模様。仙台のみんなもニュー松島バッグを肩から下げ(他の観光客に見せびらかし) ニュー松島遊覧船に乗って松島見物しちゃおう!(冬の甲板は寒いけど)

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カネイリさん情報はこちら↓
https://kaneiri.shop/shops/museum6

勉強もどき

終日コタツ(方丈ハウスと同サイズ四畳半部屋のテーブル炬燵)に座りっぱなしの私。
これを人は「サボってる」と言うかもしれない。さもありなん、だが怠惰な日々に見えて(実は)勉強中だということを、こちらの勉強用落書き帳で証明させていただきたい。
都立高校(定時制)も武蔵野美術学園も試験でなく面接 (質問にハイ!と元気よく答えるだけで合格)で入学した私は人一倍勉強が苦手、そのくせ学術への憧れが強いのだ。

次作のテーマ〈ユートピア〉を研究するため、世田谷中央図書館で(延長を重ね1ヶ月)借りてるユートピア関連本6冊でお勉強
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落書き帳には本を読んで気になった箇所と自分の解釈を記している。
水晶の柱や窓(ガラス建築)が登場するのが14世紀の地上楽園空想の特色で、これはドストエフスキーが大英帝国万博のクリスタルパレスを批判したことを想起させる。
階級闘争・労働の呪縛からの解放=なまけ者の国、即ちユートピアの原風景というのは社会主義を予感させるものだと思った(現時点では)

勉強の邪魔をするかわいい動物の下敷き
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ベターンとでっかい足と仲良しさんと繋いだ小ちゃいお手て…ラッコは可愛すぎる動物

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(ラッコ裏面は)受験勉強をしたことない人(私)には新鮮な年号ごろ合わせ

ペリー浦賀にくる[1853年] いやでござんす ペリーさん
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なるほどネ!
でも、あっしには関わりのねぇことにござんす

門外漢の見物(覗き見)

東京湾要塞ブーム真っ只中だった20年前。横須賀にある防衛大学校の門衛に「敷地内にある戦争遺跡を見せてください」とお願いするも当然入れてもらえなかった(が、侵入可能な草地だったので勝手に見物)。この後、浦賀ドックに行くがこっちも立入禁止で鉄の門扉に阻まれ何も見えず(向かいのマンション階段に勝手に登り見物)。
このように歓迎されない遺跡見物だったが、つい先日「住友重工から譲渡された造船ドックを新市長が観光に利用すると決定し、たまに公開してますよ」という有力情報を横須賀住民から聞いた。
ペリー市長就任のおかげで鎖国が解かれてたとは知らなんだ。行ってみようかな?

(まだ横須賀にあるかな?)
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戦艦のゴテゴテした異様な檣楼をコンクリートで単純化したカッコいい何か。

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防衛大草丘に屹立するコンクリ砦(弾道と威力を測る所)

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花立台新砲台の観測所内部から覗いた風景(草原&海)

(塀の向こうにあるはずの巨大ドック)
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レンガの段々部分がチラっと見えただけ…