カテゴリー別アーカイブ: 出来事

キメラ漢字

87年前の一昨日27日。詩人・石川善助は酔っぱらって大森駅西口の側溝に落ちて死んだ。私はすっかりこれを忘れてしまい、龍子記念館からほど近い善助落命の地に寄らずに帰ってしまった。
先日龍子記念館を見学し、大森から自宅までの10km(徒歩2時間)の帰路を体錬歩行しようとしたが蒸し暑いので途中で断念。事前に散策の計画を立ていれば、気温湿度に関係なく鎧懸松下坂近辺に側溝跡を探し手を合わせ冥福を祈ったのだが…。
そしてその道すがら緑道公園でこのような看板を見た。立て看には「公◯衛生上害になる行為はしないで下さい近隣の住民が大変迷惑しています トイレ→」と池上警察署から緑道で排泄をする不届者に対する牽制が書かれている。しかし、かつてこの一帯が文士の集う格調高い地域であったことが反映されてるのか、立ちションへの警告は遠回しな表現で、筆致は遠慮がちであり漢字には見たことのない形のものがある。

〈キメラ漢字〉
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公衆の衆と思しき漢字は、象61%:衆39%と象が優勢な嵌合体。
(迷惑の惑は点が不足) 矢印の指す方向のトイレは未確認である。

爆弾散華の池

沖縄慰霊の日は(忘れないように)全国的に休日にすればいいと思う、今日6月23日はたまたま日曜日。前々から気になっていた大田区大森にある龍子記念館に本日やっと行くことが叶い、隣接する龍子公園も見学できました。
日曜の午後だというのに見学者は私一人しかおらず、庭園案内係の男性からマンツーマンで説明していただきました。厳選された植物、石、巨大石塔などで構成された庭の緑陰の向こうには、ハイセンスな日本家屋と60畳もある画室…門をくぐればそこは龍子の美意識宇宙。この龍子宇宙のビッグバーンとも言える〈爆弾散華の池〉は、終戦間際の1945年8月13日、旧家屋が空爆の直撃を受けて大破し、そこに空いた穴を利用して造成した池だという。ここから発生する蚊の軍団は、蚊取線香の煙幕をもろともせず見学者を襲来し、私も顔や腕を何箇所かやられました。受付職員がキンカンをすすめてくれたけど、一番かゆい眉毛の上に塗ったら、眉毛のバリケードを容易に越えて目に侵入するキンカン液で、悶絶すること必至なので丁重にお断りしました。

〈爆弾散華の池〉
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コウホネとガマが群生し水面の見えない池。
この米軍の爆撃で使用人の一名が犠牲になったという。

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隙の無いモダンな意匠と高級建築材が目を奪う美しい建造物は〈絵筆一管〉の努力の賜物と言える。

(爆弾散華/龍巻/獺祭など20点展示中)
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私の好きな絵『爆弾散華』は、池誕生の由来である爆撃の印象を描いた作品。

大田区立龍子記念館
「インスピレーションズ 龍子作品の源流」
〜7月15日まで 入館料200円 (安い!)

彩管報告

下北沢トーク会にご参加の皆様、2時間に及ぶ対談を御清聴くださり誠にありがとうございました。終了間際に林洋子さんが発せられた「有便堂の筆が藤田のフランスのアトリエにあった」という証言により、祖父が商っていた絵筆が海を渡り、パリ郊外に暮らす画伯の手元に届いた可能性が高くなりました。自分とはあまり縁がないと思っていた藤田嗣治と、ほんの僅かですが不思議に繋がりがあることを知り、とても感慨深いです。
トークのために事前に送っていただいた『戦時下に書く』と『旅する画家』を拝読し、私の狭かった藤田嗣治観はだいぶ広がった(ような気がします)。今更ながら昨年のへっぽこ論考〈パリの壁画、そして秋田〉の不出来が悔やまれる…。もし挽回の機会があれば、その時はもっと良い論考を書きたいです。

〈戦争画と私〉
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これは藤田も三点出品した『第二回大東亜戦争美術展』絵葉書集の一枚で、かわいい零戦が幻想的な小堀安雄〈イサベル島沖海戦〉という日本画。おそらくこの戦争画が制作されたであろう、世田谷区深沢の古い画室で、私は幼稚園から小学校まで絵画を学んでいたのだ。

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パリ郊外の小村・ヴィリエ=ル=バクルの古民家に暮らしてた藤田のアトリエの様子(新潮社とんぼの本『旅する画家 藤田嗣治』より)
もしかして卓上の筆立ての中に有便堂の筆があるかも?

この石の思い出を見てみよう

珍しく連投されてきた今朝の〈この日の思い出を見てみよう〉は、先日と同じく4年前の青森滞在中の写真で、画像には森林地帯に人為的に置かれた巨石の姿があった。
これは何かというと、ただの石ではなく屋外展示物で彫刻作品である。確か石の裏側にギリシアか北欧の神が、日本の道祖神のように刻まれていたと記憶する。なんの神様だったか?しばらく思い出す努力をしてみたが全く思い出せないので、ACACのHPを検索すると、正解は神様ではなく、11世紀イングランドに実在したゴディバという貴婦人と彼女の馬だった。この人は増税を目論む領主の夫に抗議するために、素っ裸で馬に跨り市街を一周したという。そんなことで消費税アップが止められるなら、日本の主婦のうち数名がこれの真似をするに違いない。

2015年6月17日
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確かに私はこの石を見た。

思い出せフォト

不定期に、しかし必ず朝の8時に送信されてくる恒例の〈この日の思い出を見てみよう〉が今朝もスマホに届き目を覚ます。今回は4年前の今日6月15日の思い出写真で、そこには青森ACACのアトリエ棟と松の切株に集う青虫の姿が写っている。私はボンヤリとはっきりしない目でこれを見て、先日あった出来事を一気に思い出し朝から憂鬱になってしまった。

(どんなことかというと)3日前の午後、買い物に行く途中に、アスファルト路面に親指の先ほどしかない桃色のヒナが落下したのを見たのだが、天を見上げても営巣できそうな場所はないので、おそらくカラスの落し物に違いない。私には為す術もなくまだ息のあるヒナをそのままにし、遺骸を見るのが怖くて帰りは違うルートで帰宅したのであった。
一方で2015年の青森ACAC滞在制作中にも、様々な小動物の死を目の当たりにし、その大部分はこの八甲田山山腹に建てられたアトリエ棟が舞台であった。写真に撮られたフワフワ青虫(蛾の幼虫)のモヘアちゃんを誤って踏んでしまったり、また違うモヘアちゃんはこの巨大建築に錯乱したのか、自分を包む球状の繭を作らず、コンクリート床に生春巻きの皮みたいな変な物体を作り、糸を吐き尽くし剥き出しのまま死んだ。またある日の朝アトリエ棟に向かうと、外の長い廊下にガラス窓に集まった大量の昆虫の死骸とともに、一羽の小鳥の亡骸があった。清掃員のタミエさんによると、夜間飛行中の鳥にはアトリエの大きな板ガラスが見えず激突してしまうのだという。「ここで死ぬ鳥はみんな可愛い鳥だよ」と亡骸の始末をしながら言ったタミエさんの言葉が印象的で、なお一層小鳥の死を悲しいものにさせた。
美しい自然との対比と調和に成功したかのように見える名建築も、小動物にとっては危険な障害物でしかないことを思い出させ、死ぬとわかっても何もできない不甲斐なさに痛打する〈この日の思い出〉通信よ。送り主グーグルフォト様の思惑とはなんなのか?と雨なので外にも行かずに私は静かに考えているのだ。

2015年6月15日
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確かに私は青森にいた。

あぶさん(居酒屋)

(ドカベンは読んだけど) 1ページも読んだことがない野球漫画『あぶさん』を店名にした居酒屋を四谷で見つけた。主人公あぶさんは酒豪打者で、試合直前に大量の日本酒を飲んでも、ちゃんと打席に立ち結果を出すというから大したものだ。
私も1500ml入り600円の激安チリ産ワインをコップ 2杯飲んでから夜間の仕事に取掛かるが、酒気帯びでも難なく彫刻刀やペンを握ることができるのだ!更にその後、ちゃんと席に座ったまま眠ってしまう確率は、あぶさんの打率より高い(はず)!
私は〈巨人軍を負かしてさえくれたらどのチームでもいい〉ので、巨人贔屓をしない水島先生の作品は大変好感が持てる。しかし『あぶさん』を読んでないので入店資格は無い。

(あぶさんの絵がかっこいい)
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入口に掲げられた多数の写真で、水島新司先生が幾度となく来店した様子がわかる。

Y字郎くん

二週間前に台所の流しで発見した謎の双葉(Y字郎と命名)は、吸水させた不衛生なスポンジに植えてから10日間様子を見ていたが全く成長しないので、芽と根がよく出る液体肥料〈メネデール〉を父から少量分けてもらって、その希釈液を与えることにしました。(栄養分を与えてから4日目)根っこはまだ生えてきませんが、日当たりの良い窓際に置かれているにもかかわらず、さらに日光を求め「くの字」に曲がるという植物らしい貪欲な意志を示すようになりました。

(Y字郎近影)
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私が小学生のころ、母が水と間違えてメネデール希釈液(約200cc)をガブ飲みしてしまう珍事が発生!(コップに入れてテーブルに置いた父が悪い)
(そして)施肥後の母は、それ以上肥えたり身体から新芽や根が出ることもなく平常であった。植物用液体肥料が人間には無効であることが立証された。

生命ぎりぎり

学生時代から四半世紀のあいだ愛聴し続けた大切なカセットテープの劣化が愈々著しくなり、(A面)藤圭子の歌声はさらにかすれ、(B面)青江三奈の声は色褪せつつある。ビヨーンと伸びた箇所が再生するたびに増えてるような気がし、怖くてラジカセに投入できない…
これは大変!放送禁止のネリカン(練馬鑑別所)ブルースが聴けるのはこのテープだけなので、あの救いようのないヤサグレソングを救いにしていた私は今後どうすれば良いか?と困惑していたら、(なんと!) 公序良俗に反する楽曲もちゃんと収録された5枚組CDボックス『艶・怨・演歌:藤圭子』が運よく低価格で手に入りました。奇しくも煩悩と同数108曲収録!童謡から退廃的な反社会演歌まで網羅された名曲集で私の精神の安寧は約束された!

(神テープ)
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B面:青江三奈の「船頭小唄/人生の並木路/影を慕いて/人生劇場/月よりの使者」等は、不世出の天才歌手・藤圭子をも凌ぐ陰影の深さで鬼気迫る歌声。これらの曲が収録されたCDが見つけるのが今後の課題。

〈第4集: 人生・昭和を歌う〉
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5枚中もっともリピート率の高い第4集は、股旅/ヤクザ/飯場/花街など一部の職種に限られた昭和の人生が歌われている。(かえり船・船頭小唄・他人船のベスト船ソング3入り)

〈第1集: オリジナルを歌う〉
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以前リサイクルショップで買ったCD(一枚50円)とダブっちゃったので、芸術と演歌を愛好する者に差し上げても良い(限定一名様)。東京流れもの/命預けます/さいはての女/恋仁義など名曲入り!

水耕栽培

一昨日の深夜、シンク台の蛇口付け根に謎の双葉を発見!掃除のとき見落とし続け蓄積した水垢コーナーに何かよくわからない種子が落下して発芽したらしいが、明らかに生える場所を間違えている。そこで私は、約2mmの丸い種からピョロっとのびた不明植物の赤ちゃんを、使い古しの食器洗いスポンジに移植し水耕栽培を試みることにした。成長し将来は何の植物か判明するはず?

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全く養分のない不潔なスポンジに植えられた赤ちゃん草。(無事に育つだろうか)

止まったら死ぬ

先日出版社に届いた「予感の帝国:読者カード」特選作を見せてもらった。中には感想文の代わりにイラストで読後感を伝えるハガキがあり、そこには「一匹の巨大マグロが予感の帝国表紙を突き破って跳躍している」図が描かれている。このマグロには人間同様に手足があり、さらに丸みをおびたエビスシイラ似の顔を見ると、口にはピースサインをした人間の腕をくわえている。背景の放射状の線と「衝撃」の二文字が画面の迫力を増幅させるマグロ画、その寓意とは何か?

おそらく「泳ぎを止めたら死ぬ」宿命の魚マグロとVサインの腕は、私が創作活動をやめる時が即ち「死」であり、泳ぎ続けた先にはピースサインで祝福されるほどの栄光があることを示唆しているのであろう。読書後の衝動を率直な気持ちで描き、送ってくれた若き匿名読者よ有難う!他にも「この本をどこで知りましたか」という定番の質問に「念力で引き寄せた」と回答してくれた読者、君は正しい。読者カード以外にもAmazonに好意的感想を寄せてくれた2名にもこの場を借りて感謝申し上げます。今後もさっしーに負けない痛快さでマグロのように泳ぎ続ける所存だヨ。

(ネットリテラシーの都合上)
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面白いマグロの代わりにブリューゲルの魚図をごらんください