日別アーカイブ: 2014年2月24日

オリムピック残像

先日、都立写真美術館で開催していた「第6回恵比寿映像祭」をみてきました。
朝海陽子さんの新作を観るのが一番の目的。正直いうと最近の映像作品の「尺」の長さ、そして全てが映像と想像するだけで「たぶん全部観れない。」と消極的な気持ちになってしまったのですがなかなかどうして!とても面白い展覧会でした。
パンフレットを確認したら結局は全部は観れてなかった(観たつもりだったけど!)のですが、内容的には皮肉が込められたような作品が印象にのこりました。
…極貧国アルバニアの首都ティラナの現状を政治家エディ・ラマが誇らしげに語り続ける、アンリ・サラの映像作品「Give me the colors」。投光器に照らされ暗闇に浮かぶペンキで化粧されたアパート群とまったく整備されていない水たまりだらけの街。モザイク状に塗られたケバケバしい壁は、まるで戦争中に施された防空迷彩のようです。「色彩の有効性」の持論を展開するラマ氏の口調と街の風景の違和感が容赦なく映し出されます。
…サンクトペテルブルグで、実際に起きた巨大都市開発をめぐっての市民闘争を歌劇にしたてた、シトー・ジェーラチの映像作品「The Tower」。舞台上段では政治家、司祭、ギャラリスト、芸術家(パブリック系)、企業家が権力を行使した開発の正当性を訴え、下段では詩人、市民芸術家、市民団体、労働者、ギャル、移民、革命家、老人たちが立場ごとに異を唱える。という内容。
ソチ五輪でロシアへの関心昂ってるせいか前のめり気味に観ました…。ところで作品に登場するマヤコフスキーみたいな革命詩人って今でも存在してるのでしょうか?
…タリン・ギル&ピラー・マタ・デュポンの作品。統率されたチアリーディング、一人トレーニングに勤しむボディビルダー、不健全な男子生徒と女子生徒の「盛り上がり」を同時進行で描いた「Ever Higher」と、レニ・リーフェンシュタールのナチスのプロパガンダ映画「オリンピア」のパロディ、健康的すぎて笑える「Gymnasium」。二つの作品ともスポーツという「健全」の裏側にひそむ国家権力の代理戦争的な役割や、健康優良を強要する(大袈裟にいえば…)ファシズム的な力を揶揄している作品です。「ファイヤー!ビクトリー!」と血眼に連呼する優等生女子たちに背筋が凍ると同時に笑ってしまいます。
私的に2020年、近未来TOKYO開催「ディスリンピック」を企画中なので、この作品に共感大。超統制、超健康、超スポーツ、超戦争!新暗黒時代ディストピアのオリンピア。

やたらと熱中したソチ・オリンピックも昨日で閉幕。今回は新しい競技が多くて面白かった〜。
スキーのハーフパイプとか「ストックは必要なのか?」と謎なところも楽しめました。
そして、真央ちゃんには学ぶ所がありました。想像を絶するような期待とプレッシャー。想像すらしていなかった失敗。本人も「取り返しのつかないこと」と表現するほど絶望的なショートの結果に「フリーは滑れるのだろうか?」と心配しましたが、そんな杞憂を払拭する世紀の大演技!
『失敗を返上するのは成功しかない。』そんな真央ちゃんの決意と実行に感動しました。
…真央ちゃんのプレッシャーには足下にも及びませんが、私も制作や展示で「大コケたらどうしよ〜。」という悪夢に悩まされます。どんなに心が傷ついて後悔の念に苛まれただろう…とフリーの演技中に想像して、滅多に他人事では泣かない鬼の目にも涙でした。
23歳の真央ちゃんとタツキ君、ぜひ次回の平昌オリンピックにも出場してほしいです!