月別アーカイブ: 2023年6月

サンキュー甘藷先生

先月参拝した目黒不動尊こと龍泉寺には、お寺なのに大黒天が祀られてたり、変わった鳥居や狛犬があったり、修験道の偉い人のお堂があったりと神仏習合の見どころたくさん!
中でも特に目を見張るビックリ物体は高さ7mもある巨大石碑で、これは江戸時代にサツマイモの普及に貢献した「甘藷先生」こと青木昆陽の功績を讃えた石碑だという。モノリスのように異様にデカい石板は、まるで山中に突如現れた瀑布のような迫力だ。ここまで巨大な石で後世に伝えたいことは、サツマイモ伝来の偉業である。

〈甘藷先生記念碑〉
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明治期に汽車で宮城県から運搬されたのだが、その途中で石が破損しこの大きさになったという。これよりもっと巨大になる予定だったのか!この雄勝石の産地に近い石巻でもこんなジャンボ石碑は見たことがない

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片手にサツマイモ…もしやあなたが甘藷先生?

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不動尊ラブキッズが育ててるサツマイモの畑。甘藷先生に対するリスペクトはお不動さんへの信仰と同等の篤さを感じる。焼き芋を食べるときは「ありがとう甘藷先生」と感謝を述べよう!

焼芋石

近所のスーパーで石焼き芋を購入し、ねっとり甘〜い芋に塩っぱいバターをのせて「うまい!」と独り言をつぶやきながら食べるというささやかな楽しみを繰り返した結果太ってしまった。
スーパーの青果コーナーに置かれた石焼き芋製造マシーンには常時焼き芋があるわけではなく空のときも屡々ある。紙袋に入ったサツマイモが熱々の小石の上に数本並んでるタイミングに出くわすとツイてる気分になってついつい買っちゃうのだった(そして太った)。

紙袋を持ち上げて重い個体を選ぶという欲張り行為の罰として(体重増加)は反省し受け入れるほかないが、紙袋に芋と一緒に入ってた小石は焼芋熱中時代の記念品として保存することにしたので返却はしない。

「なんだろう?」
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とりちゃん、これはなんでしょう?
答:焼芋石

食のヒント(夢の啓示)

〈カップヌードルに熱湯を注ぐ前に乾燥具材だけ集めて保存し、お雑煮の具に転用すれば手抜き&節約できるよ〉という暮らしの知恵を夢の中で伝授された。
これは名案!!と寝ながら思ったが、私はカップヌードルを滅多に食べないのでこの啓示を実行する機会はないだろう。たとえ食べたとしても湯を注ぐ前に謎肉のみ選別し(申し訳ないけど)捨ててしまうのだ。〈肉なしエビ増量を待望〉

(もてあまし)
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第2回茶色セレクションは洋風に赤ワインと… ゴボウとキノコのレンズ豆スープ/プンパニッケル/燻りガッコ&クリームチーズ/エダム/干し貝。どれも味が強くて蘇を引き立てない…
古代珍味〈蘇〉は非常に繊細な味 (甘くも塩っぱくもなく乳臭く淡白)なため、おつまみには不向きだとわかった。

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残り1cmはホットケーキシロップを垂らして焙じ茶のお茶請けにしてみた(むしろ単独の方が良い)
カップラーメンなどの濃厚な味付けで舌が鈍化した現代人には、古代人が超高感度味覚で味わった蘇を堪能することは至難だと判明。研ぎ澄まされた古代人の超感覚を偲ぶ食品、それが蘇だった!

古代の蘇(そ)

時空を超え現代に蘇った古代人のような風貌のキャンドル・ジュン氏の姿を見て、冷蔵庫の奥に眠る〈古代の蘇〉の存在を思い出し、蘇を中心とした茶色いおつまみセレクションで古代風の晩酌をしました。

〈よみがえる古代の蘇〉
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だいぶ前に銀座まほろば館(奈良県物産店)で購入。勿体無くて開封せずにいたら賞味期限が10日以上も過ぎちゃった!(味の劣化については初めて食べる珍味なので判断しかねる)

これが….蘇!
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奈良産吉野杉の箱に入った4㌢の立方体(お値段¥1080)
この高級固形物は牛乳を煮詰めて作った古代食で、栞には「乳搾りもし、蘇を作った第1番目の人が稲麻呂だと長屋王の木簡に書いてある」と記載。

稲麻呂は万葉集に収録されてる〈父母が頭かき撫で幸くあれて言ひし言葉ぜ忘れかねつる〉という防人歌の作者だそうだ。兵役につきながら酪農もしたのか?そして蘇を作って和歌も作ったのか!(優しい父母に美味しい蘇をプレゼントしたのかな?)

茶色く干からびた食卓
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きんぴらゴボウと炊込みご飯(自作)/雪の茅舎とイブリガッコ(秋田ふるさと館)/薄く切った蘇(まほろば館)/干からびたムール貝/帆立貝/ほや酔明/木の実
期待MAXの蘇は、おしどりミルクケーキを柔らかくして甘みを抜いたような味だった!(塩気ゼロでチーズとは全くの別物)
チビチビ齧って滋味を確かめつつ雪の茅舎のラベルに書いてある〈山廃〉の意味を検索。人里離れた山奥の廃村で秘密裏に醸造された密造酒という私の予想は外れ「山卸廃止酛仕込」の略だとわかった(けど意味はよくわからなかった)。

石と猫と先生

(中村宏先生も視聴なさってるか??) 私が現在ドハマりしてるNHKドラマ〈らんまん〉は、植物学者の牧野富太郎博士をモデルにした爽やか青春活劇です。胸熱の感想を誰かと語り合いたいと思ってるのですが、残念なことに今の所2名しか出会ってません…。
先週のお話は主に石版印刷所が舞台。その場面では、31年前に私が武蔵野美術学園で実習したとおり、石灰岩の分厚い板を研磨したのち油分のある画材で描画。それから製版しプレス機で刷るという工程が忠実に再現され「そうそう!重労働だった〜」と劇中では細マッチョな職工が行ってる作業を懐かしく思い出しました。
日本に現存する石版は稀少で、今後の石版画技術継承はさらに難しくなると伺ってたので「現場の指導は誰がしてるのだろう?」と気になり調べたら、なんと学園で教わった
先生の息子さんでした!

〈らんまん〉で石版画指導をされた稲田大祐さんの父上・稲田年行先生は大変な愛猫家で、工房に侵入した猫ちゃんが石版の上を歩いたのを知らずに製版してしまい、浮かび上がった肉球スタンプも絵柄の一部に採用しちゃった!というお話を聞かせてくださった。この可愛らしいエピソードは(アラビアゴム液の酸っぱい臭いとともに)今でもハッキリ覚えています。

〈5月の野生〉
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ドラマの影響を受けそこらへんの草花を生けてみた。
白い花はバイカウツギで花言葉は「思い出」
薄紫の花はキツネアザミで花言葉は「嘘は嫌い」
花器は路上の「ご自由にどうぞ箱」からもらってきた酒器(徳利2本)

不老の秘訣

5月の中村宏先生個展にて貴重な動画を見させてもらった。それは個展オープン前に作品を修正しにいらした先生を撮影したもので、B29が描かれた青空のリタッチなのに何故か黒色の絵具一本のみを持参し、その絵具を筆で画面に少し塗って、指に付けた唾液で伸ばしながら「この絵具はいいよなぁ!ツバでも伸びちゃうんだから!」と喋る90歳の先生のお姿は、以前とちっとも変わらず若々しくダンディーだった。

エレベーターの無い銀座の雑居ビル4Fのギャラリーにお一人でやってきて、チョチョっと作業する身軽さからは全く年齢を感じさせない。どうすれば先生のように矍鑠としたカッコいい老人になれるのか?その秘密が知りたくなり画廊の方に訊いてみると…
〈毎朝ヨーグルトと果物を召し上がる/一日中テレビ(特にNHKドラマ)をよくご覧になる/毎日の散歩は石神井川沿いを1時間(途中ベンチのカップル等を観察)〉と以上の複数情報が得られ、やはり健康的な習慣の持続が美と長寿の秘訣だとわかった。

先生とはNHKドラマをよく視聴することぐらいしか共通点がなく、私は遅寝遅起きなので朝食なんて年に数回しか食べないのだ!さらには慢性的な運動不足…。
心を入れ替えて私も川沿いを散歩しなくては!そして真面目なアウトドア様式カップルと再び遭遇したい。

「空襲1945」2022年(アクリル絵具/キャンバス)
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鬼気迫る大胆な構図 (右の暗がりは防空壕だそうです)

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平野のはずの浜松市街地をあえて崖にしたことで天地が逆さになるような恐怖感が伝わってくる。
ここで展示の新作&近作「戦争記憶絵図」は全て非売品で、のちに相応しい美術館へ寄贈する計画だとうかがった。ご自身の画業を〈不発弾〉に例えた先生、その自作への愛情と覚悟を私は知った!

質量不変の不思議

昨日6/8「関東地方が梅雨入りしたとみられる」とぼんやりした発表があり、あっという間に今年も半分過ぎて夏になることを実感する。私はといえば2022年末に終わらせる予定だった大掃除をまだ続けており、家がスッキリと片付く日はまだ先になりそうだ。
この掃除難航の原因は何か?それは大量の所有物の中から〈発見〉と〈紛失〉を繰り返す質量保存のプラスマイナスゼロの法則にあると私は確信している。

(行方不明だった第一次世界大戦期のロマンチック絵葉書が発見されたが、今度は襖に張って毎日眺めていたニュートン記念堂の印刷物と必需品の円形テンプレートが行方不明←大小の化粧品の蓋で代用)

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今も昔もこの世に存在しない巨大建築
(を出力した紙が行方知れず)

お気に入りの時計(腕輪)

親知らず抜歯をきっかけに始まった歯科通いは、処置が必要な箇所が次々と見つかり今も続く。
昨日は歯科衛生士のお姉さんから歯のクリーニングを受けたのだが、その最中キィーンと唸る道具を持つ手が急に止まり「あら、時計どうしたんですか?壊れてますよ。歯石を取ってる場合ではなく探しに行った方がいいのでは…」と驚いたように私の手首に巻かれた物体について指摘してくれた。だがしかし心配はご無用「ハハハ…この時計は機械が取れた状態のガラクタを(わざわざ)買ったのです」と私が説明すると「あ〜そうなんですね!安心しました」と納得してくれた。
(私たちが話題にしてる時計とは金属の枠とベルトのことで要するに〈ブレスレット〉のことだ)

君はもう騙されたか?
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これは世田谷ボロ市のヤクザな露天商から500円で購入した、私が一番気に入ってる時計(ブレスレット)だよ。

ツッパリ美術学園

〈本日の藁半紙クレヨン画〉任侠やギャングなどアウトローに対する憧憬が、ツッパリまで波及したことがわかる一枚。短ラン男子と長ラン男子を従えたスケバンの恐ろしさは、獰猛な野獣と出くわした絶望と似たものがある。
喫煙する不良群像にも描かれたモクモクとたなびく紫煙には退廃的なムードがあり、その憧れから武蔵野美術学園在学中の私はタバコを吸うふりをしていた。

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小さな口に汚れた歯をのぞかせる美人スケバン

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(学園にて)愛用の長キセルと30年前の私
肺まで吸わずに燻らしただけの煙草銘柄はゴールデンバット/峰/チェリー等

月のステージへ!

先週木曜日掲載の朝日新聞[論壇時評]の絵は、前回のお話「ダム湖底の古民家に集合した木彫りの鯉(自在鉤)を発見した潜水夫」の続きで、それは以下のような内容です。

「湖底探査に参加した潜水夫は巨大鯉の餌食となり、下半身を食いつかれたままボートにあげられた。その上空、月光とともに舞い降りた宇宙服の男たちは、脱け殻となった哀れな潜水夫を天上に誘う天使のようだがそうではない。彼等の正体は月世界進出の戦士で、潜水夫を月に移送し軍隊に招集する目的でやって来たのだ(どちらかというとヴァルキューレ的存在)。その様子を冷徹に監視する陸軍将校の姿が背後に!」

….という私の考えた空想物語は(おそらく)大半の新聞購読者には判らないかもしれませんが、この不可解な寓話は次回も続きます。

5月25日付朝日新聞朝刊[論壇時評]
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新入社員向け激励のような文言「次のステージへ」をもじった題名『月のステージへ!』
宇宙開発の是非を問うシリーズは全3回(すなわち次号完結)