月別アーカイブ: 2015年11月

本が割れて頭も割れて

20年前に現代美術を勉強するために購入した、ドイツTASCHEN社のズバリ『現代美術』という画集を久々に本棚から出しみていたらパックリ割れてしまいました。そこは当時いちばん気に入っていた絵の見開きページ(写真参照)なので、たぶん何度も開いて閉じて弱くなっていたのでしょう。
この本の現代美術というタイトルを鵜呑みにして熱心にみていたものですが、全体の9割が元気いっぱい意味不明のニューペインティングで、ちっとも現代美術の勉強にならねぇということは後に知るのでした。本で紹介された荒々しく汚く巨大な絵画こそが先端芸術と騙されて、こういう作品を作れるように頑張ろう!と大志を抱き触発され、ペインティングを(一枚だけ)描きました。最近押入れから発見されたのでご覧下さい(写真参照)これは折込みチラシのモデルハウス写真の模写です。木パネにペンキと石膏で描かれており、ペンキも白黒青の3色しか持ち合わせておらず(当然アクリル絵具はもってない)黄色っぽい箇所はニスです。大変に表面がもろく、押入れには石膏の白い粉が落ちています。私はこれを厳重に梱包し後々高値で販売しようと(売れないか?)目論んでおるのです。

2015-11-25 02.33.21
これがその割れたページ。
ヴァルターダーンは斧で頭を割られた二名の四角い人物を描いたが、その深淵なる意味を汲み取れぬまま今に至る。

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A.ウールン作、おおらかな弱肉強食の大気を感じさせる恐竜画

バゼリッツ
逆さまの大家G.バゼリッツの有名な作品

ペインティング
住宅をよく描いてた。角張ったものは今も好き。

防コレ(1)

今日もひきつづき堆積資料集のなかからご紹介しましょう。これは昭和11年締結の日独防共協定と15年締結の日独伊三国同盟に関連した紙ものです。国際社会から孤立した日本が強い独逸と同盟を結べた!という熱狂的な歓喜と浮かれ具合、そして鉤十字と日の丸という鮮烈なデザインにひかれてウッカリ集めた代物です。こういうハーケンクロイツとか満州国国旗などの図案のものは人気があって割と高価なので、安く入手できる好機のみの購入でボリュームに不足を感じますが…。
ファシズムの力強い広報に負けて散財しそうなところ自制できたのだから良しとしよう。

防コレ1
日独伊の親密な交流が記録された雑誌、防共記念の木版画、松岡外相の訪独をつたえる写真絵葉書や各国大使の訪日祝賀大会と合唱用?の歌詞カード(ドイツ国家/ナチスの歌/ファシスト党の歌/黒シャツ隊の歌)片仮名で書いてあるのでみんなで歌える。

防コレ2
少国民用の本と着物生地。

国防軍
防共とは無関係ですが、ドイツ国防軍のグラビア誌「ディーヴェーアマハト」
ポーランド侵攻直前の38年から後の40年の国防軍のキビキビした様子がわかります。
ナチ色は薄く、巨大砲台の建設現場、塹壕やバリケード設営が写真付きで報じられてる。
(6冊2000円という破格値で買ったような…そんな記憶がある)

平和は特車にのって

先日につづき今日も蒐集絵葉書の一部です。とにかく戦前の博覧会絵葉書を集めまくった時期があり、特に国防博覧会のヘンテコな戦車や軍艦型のパビリオンにはハマりました。これはその残滓の末尾をかざる戦後の国防博絵葉書です。戦後の防衛部隊といえばもちろん自衛隊ですが、この絵葉書は「平和」にたいする配慮からか、あきらかに自衛隊の広報イベントなのに主催も明記されておらず、会場がどこの自衛隊なのかも不明。だいいち博覧会の名称が『近代科学博覧会』で、どこまで意味をぼやかせるか?そんな挑戦すら感じる!敗戦国だから最新科学を利用してはならんのは重々承知。しかし武器を科学と言い換えるところに戦争の機械化の肯定がある!!科学(なら)素晴らしいよネ。

科学博2
『平和と防衛のための近代科学博覧会』開催年不明
利用するのはあくまでも近代科学!(カタ落ちで我慢!)
主催と開催地はどこなのか?この「藤崎」というのは仙台のデパート。そして絵葉書に塩釜港と書かれてあるので宮城県のようです。ってことはデパート主催で仙台駐屯地で開催されたのかもしれない。戦中も大丸や松坂屋で小規模の国策博覧会が開催されてたので、デパート主催で防衛博がひらかれるのはぜんぜん不思議ではない。

科学博
メインは武器だけど科学だから宇宙開発にもふれてる(一応)

特車
ひゃっほ〜い!楽しそう。「特車展示場で少年達に試乗サービスするM24型軽特車」
M24軽戦車は第二次世界大戦で活躍した米軍の戦車。「特車」というヘンな呼び方は平和に配慮した自衛隊発足当時の名称。戦争に使わないから「戦車」ではない。
定員5名なのに13人以上の児童と隊員が乗車!平和に配慮して安全にはあんまり配慮してない模様…。
今では陸自の音楽隊がパンツァーリート(戦車の歌)を披露するぐらい…時代はかわった!

これは慰められない!

蔵書紹介のために本箱(衣装プラケース)を引っ掻き回してたら「ああ、こんなのもあったけ?」と色々発掘!それはかつてのブームの残滓である戦前戦中の防空/防共/慰問/博覧会/国策広告/オリンピック/エログロナンセンス等々の紙物の類いで、劣化著しくページを繰るごとに紙片が落ちてあんまり触れたくないのですが、せっかく苦労して重たい箱をおろしたのだから、と一部を写真に収めてみました。本日は「慰問絵葉書」のコレクションの一部を紹介いたしましょう。

いもん1
小学校の初等科から高等科までの学童の筆による絵画の数々。
地元の神社の仕切りで慰問袋用に描かされた作品のようです。
これなら慰められそう、という絵は僅かでほとんどが無気力と暴力に支配されている。

いもん2
「悪い人をやっつけろ」のスローガンに行き届いた教育を感じる。
それにしても戦闘場面と兵器の描写が上手すぎる!

いもん3
戦場の記憶に苛まれ夜ごとの悪夢にうなされる蒼白の男。
帰還後の悲壮を予想した学童の絵画をもらった兵隊は何を思うだろうか?
しかし絵葉書が散逸しないでまとまって残ってるということは、学童に描かせてみたら凄く不安定で不吉な作品が多くて、送るのやめてボツにしたものと推測されます。

いもん4
個人的に好きな一枚。
スキー?サーフィン?鑑賞眼の秀でた兵隊さんにしか理解されないような素敵な絵画。

 

吹き溜まりより

29日にロンドンで一日限りのアートイベントがあり、私もそれに蔵書の紹介(画像とコメントのみ)で参加します。影響を受けた本や作品資料を、ということなので、いままで資料の口実で漁ってきた本の吹き溜まり(堆積物)から選んでみました〜。私の解説文は英訳への配慮が足らず自己完結なところを、仲間ががんばって翻訳してくれました。申し訳ない。
一冊目は一番影響うけた本として萩原恭次郎の詩集「死刑宣告」。二冊目はヤル気が出る本としてキッペンベルガーの画集。あとは資料数冊で戦中の雑誌を用意しました。(ロンドンっ子にわかるかな?)

死刑宣告
「死刑宣告」20年あまり愛読してるのでだいぶボロボロ。

キッペンベルガー中身
ドイツのニューペインティングは新表現主義といわれてたっけ?

戦中雑誌いろいろ
戦時下の空元気がつたわるヒロイックな表紙で!

木枯らしにも吹かれず

死に支度をする夢をみた。余命を告げられた私(私は50代の八千草薫の姿をしてる)は、死ぬまでの時間を心穏やかに過ごそうと、好きな曲をカセットテープに集めて母親に贈ったり、絵手紙を書いたり、昔の恋人である(らしい)中村敦夫と古いお寺で待ち合わせをしたり、と実に充実した日々を送っていて、今の自分が覚醒している時よりずっと楽しそうだ。
「ぼんやり階級ハンコ改訂版」を寝る間際まで制作。我ながらその冷笑にみちた作品にイヤ〜な気分にさせられて、こんなイジワルな自分から逃げたい!と布団にもぐって見た夢は望んだとおりの幸福な夢だったなぁ。(どこかに木枯らし紋次郎みたいなカッコいい人はいないかな?)

名刺
こんな名刺では友情も人脈も望むべくもない

ギシツキ
殺伐としたハンコを押し続けた私の顔は、かのギシツキー大公爵のように灰色く無表情だ

ほとんど正気。

おととい外出の帰り道、渋谷駅にて正気でない人物を二人みました。背広着用の男性は、通路の大きな鏡に鼻がくっつくぐらい顔を寄せて、一心不乱に毛抜きでヒゲを抜き続けていました。たぶんもう抜くヒゲは残ってないと見えるその顔は、毛抜きで引っ掻かれ赤くマダラに炎症してます。もう一人の女性は、汚れたクマのプーさんに人間の衣類を着せて赤ちゃんのように大切に抱っこし、時折ニタ〜っと微笑みかけてます。二人とも身なりは普通で、年は自分とおなじ40代ぐらいでしょうか。どのようないきさつで心が乱れてしまったのか?何かが一瞬で瓦解してしまうような出来事があったのか?それともじわじわと精神を蝕む日々があったのか?私はこのように病んでしまった人を見ると、自分という人間はあんがい丈夫だなと思います。
ここ一月ぐらい、新作の下絵に苦心し筆が止まる時間が長く、ボーっと座りながら超焦ってる、という精神的肉体的に不健康な日々が続いてますが、ちょっと気分が優れないぐらいで全然平気です。そういえば、私のまわりの作家たちも制作に金策にと追われてても、皆元気で傍目にはノンキそうにしてる人がほとんどです。やはり、どこか生活を深刻に注視しないズボラ人間に適した過酷な商売なんでしょうかね。

とけい
最近は置時計とお話ししてま〜す。
これぐらい年季の入った時計にはそれなりの人格があるだろう。

おわび

どうやら、この当ブログが数日間「風間」がらみの芸能関係者の名前が出てくる謎の画面に変わっていたようで、昨朝「のっとりか?検閲か? 」との問い合わせの電話で目が覚めました。いろいろ原因を当たってみたところ、単にドメイン使用料金の未払いで消されていただけでした…トホホ。窓黒に来訪して門前払いをくわされた読者の皆様に深くお詫び申し上げます。急ぎ料金支払いを済ませ復活させましたので、引続きのご愛読をよろしくお願いいたします!!

ラッダイト
これは『水晶の夜』と題する予定の作品の下絵の一部。
未来派の巨匠独漫先生(どおくまん)の動的描写を参考にしました。
学校という名の暴力装置を破壊するラッダイト少年の姿です。

モガからの手紙

大正時代のモダンガールから手紙が届いたよ!(ヤフオク経由)

2015-11-02 19.56.19
絵葉書のイラストは蕗谷虹児氏作『絶望』
サインには1923年とあり関東大震災の凄惨を描いた作品と思われます。絶望に耐性のない児童の仕業か?ガシャガシャと鉛筆で心乱れる落書きがされてます。

2015-11-02 19.57.52
「レター有りがとう。貴女のシスターの御らんになったバーセルメスの映画ってバンパイヤーの出るのなら「経験」じゃあなくて?何しろお話ししてね。私ね都合がよかったら三日に伺うわ。文子さんと一しょではいけない?一人だと何だかはづかしいんですもの。私も伺うから貴女もキット家にいらっしゃいネお約束してヨ。 イタンペスター」
(….なぜお友達の家を訪問するのに一人でははづかしいのか?イタンペスターとは何?)

消印は大正13年9月2日。関東大震災から丁度一周年に当たる1日に筆をとったのでしょう。しかし震災に一切触れることなく乙女ちっくな日常が綴られてます。宛先は渋谷で差出しは青山です。死んだ祖父母が「代々木野っ原」「渋谷くんだり」と言ってたのを思い出しますが、渋谷は今よりずっと田園で被害が少なかったのかもしれませんね。東京人のノンシャランな気質からか…。案外こんなふうにケロっとしてるのもいいかな?

2015-10-29 00.27.36
大正時代といえば、今日は東京ステーションギャラリーで「月映展」を観ました。
目次<つくはえ—伴病めり>。。か細くも確かな強撚糸の如き木版の文字に、感涙禁ずること能わざりしよ!!(20才頃から熱心に鑑賞し、ほぼ作品を暗記してるので図録は買わない)
詩画集を見ると詩を書いてみたくなりますが、でもここでは書かない。尾形亀之助も油絵ヤメて詩人になったしな。でも今は美術家をヤメない。